クラウド移行計画とは?手法やメリット・デメリットを徹底的に解説

2022年6月6日
データベースの種類

「クラウド移行の計画はどうすればいいのか…」
「クラウド移行とは…?」
「クラウド移行にかかる費用は…?」

など、クラウド移行計画について検討、疑問を持たれているシステム担当者も多いでしょう。この記事ではクラウド移行について解説します。

ITインフラについて、オンプレミスを採用するとコストが増えたり、メンテナンスに手間がかかってしまったりすることが大きなネックとなります。

クラウド移行の計画について詳細を知ることで、クラウド移行をスムーズに行うことができるでしょう。オンプレミスでインフラやシステムを運用している企業は知っていて損がない情報です。賢く運用を続けていくために、クラウド移行計画の方法を理解していきましょう。

クラウド移行計画とは

クラウド移行計画を立てている

まずクラウド移行とは、業務上で保管しているデータやアプリケーションなどのデータ資産を、オンプレミス(自社運営システム)からパブリッククラウドプロバイダーのサーバーに移行するプロセスのことを指します。

クラウド移行は大きく以下の特徴があります。

    • コストの削減
    • メンテナンスの利便性の向上
    • セキュリティの向上
    • 運用費用を削減することができる
    • 容量の拡張を柔軟に行うことができる

そしてクラウド移行計画とは、実際にクラウド環境に移行するためにスケジュールを立て、移行対象の選定、移行のテスト準備などを計画を立てることです。計画時にタイトなスケジュールを組んでしまったり、移行対象に漏れがあったりすると、後に大きなトラブルになる可能性があるので十分注意してください。

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クラウド移行の種類

クラウド移行方式は、以下のパターンに分類されます。一つのパターンのみでクラウド移行が行われる訳ではなく、複数のパターンを組み合せて行うこともあります。自社の環境や状況に適した方法でクラウド移行を実施してください。

リホスト

リホストは、既存のコードを変更することなく、オンプレミスのデータをクラウド環境に移行する方法です。特徴としては、既存のソースコードの変更を行う必要がないため、バグが発生しにくいこと、移行する際に複雑な専門知識が必要ないことです。

リファクター

再パッケージ化とも呼ばれます。プログラム外部の挙動はそのままにして、クラウド移行時に内部処理の部分の修正を行います。内部の処理に変更を加えたことでアウトプットの内容が変わっていないか、処理が正常に動作するのか、確認する必要があります。

主に、OSやデータベースなどのインフラ環境に変更を加える際にリファクターの手法が採用されます。

リビルド

アプリケーションを1から再構築する手法です。既存のアプリケーションが古くなり、クラウド移行することができない場合やサポートの有効期間が過ぎてしまい、再構築した方が効率的と判断した場合はこちらの手法が採用されます。

クラウド移行とオンプレミスの違い

クラウド移行とは、先述の通りデータ資産をクラウドに移行することを指します。

それに対して、オンプレミスとは業務上で保管してるデータやアプリケーションなどのデータ資産を、自社の建物内に設置しているサーバーやネットワーク機器を通して運用していくことを指します。

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クラウド移行計画の立て方

クラウド移行計画の立て方に疑問

ここからは、実際にクラウド移行はどのような手順で行われるのか解説していきます。

手順を把握することで、必要な期間や用意するべきドキュメントを理解することができ、スムーズにクラウド移行に進むことができるでしょう。

目的を定める

そもそもなぜクラウド移行を行う必要があるのか?を明確にしなければ計画を立てることは困難でしょう。目的の大部分は利用中のシステムにビジネス上の課題があるからです。

大きく以下に分類することができます。

    • なぜか処理が遅くなりシステムやインフラが原因で業務が滞ることが多くなった
    • ストレージの容量いっぱいになり増量したいが、コストや時間がかかってしまう
    • 災害などで自社で管理しているデータが消失してしまうリスクに備えたい
    • メンテナンスコストを削減させたい
    • 遠隔地からシステムにアクセスし、直接現場にいくことを避けたい

移行対象を洗い出す

クラウドへの移行作業に伴い、現状の把握調査を行うことは、最も時間を使うべきポイントです。事前に現状の課題や移行する項目を洗い出せば、実際にシステムを稼働させるときに手戻り作業を減らすことができ、スムーズに進めることができるでしょう。

本来はIT資産台帳などがあるべきですが、それがない場合は良い機会ですので、あらためて調査することをおすすめします。以下、洗い出し、明文化しておくべき観点になります。

全体情報

    • サーバー名、システム名、用途、システム重要度、利用人数、停止して良い時間帯、提供ベンダー

システム情報   

    • OS種別、IPアドレス、DB以外のミドルウェア、アプリケーション、パッケージ、開発言語/フレームワーク

サーバー情報

    • 物理or仮想、仮想化技術、BIOS

CPU 

    • コア数
    • メモリ容量

データ転送量

    • 送信データ量(MB/月)

移行先の選定については、例えば、対象がシステムの一部なのか、全体なのかといった範囲や、複数ある場合にはどれを移行するかという順序も検討します。移行の優先順位付けは「業務課題」「影響度合い」「担当事情」などの切り口で比較すると判断しやすくなるでしょう。

着手の優先順位を決める

クラウド移行対象システムが複数ある場合、優先順位を決めてシステムを移行する必要があります。システムには相互関係があり、これを理解しないまま進めると移行後に正常に稼働しないことがあるためです。

優先順位の決め方としては「クラウド移行することでメリットを得られるか」「クラウド移行にかかるコスト」「緊急性が高い」などのポイントで考える必要があり、合致するポイントが多い場合は優先順位が高くなります。反対に合致するポイントが少ない場合は、優先順位が低くなってきます。

スケジュールを決める

移行のスケジュールを決める際に以下の観点を抑える必要があります。   

    • サポート期間が迫っているかどうか
    • クライアントの要望などで期限が決まっているか
    • 実際に移行を行うチームやベンダーから提示された期間
    • 決定したスケジュールはコスト面で問題がないか
    • クラウド移行を実行するチームのリソース(人員の数)は適切か

上記の点を踏まえて、期限が差し迫っているアプリケーションなどの移行を優先するように計画を立ててください。また、そのスケジュールがチームやベンダーにとって無理がないか、コストが予算オーバーしていないかを確認しましょう。

クラウド移行の実施

クラウド移行の実施は以下の流れとなっています。

①事前テスト  

    • 本番の同一データを使って、テストサーバー上で移行のテストを実施
    • 問題点を洗い出し、本番環境の移行で問題が起きないようにする

②本番作業

    • 事前に作成したマニュアルをもとに本番移行作業を実施

移行対象の漏れや、移行データの破損が起きないかどうか、移行できるかを本番前にチェックし、安全にデータ移行ができるかを確認しましょう。

動作確認を行う

実際にクラウド移行した後、移行前と同じようにアプリケーションなどのシステムが動作しているか動作確認を行います。確認する観点は移行前と変わらない動作となっているか、変更があった場合想定通りの動作となっているかを確認します。

非機能要件の検討

非機能要件とは、表示された画面や業務ロジックではなく、ストレージ、セキュリティ、通信速度など機能以外の要件を定義したものです。例えば以下が非機能要件に該当します。

    • システムの稼働時間
    • 同時接続人数の確認
    • データ容量の確認
    • ウィルス対策ソフトの確認
    • データベースのバックアップ
    • システムのログはいつまで保存しておくか

クラウドサーバーは、スペックが高いことに越したことはありませんが、その分コストが高くなってしまいます。

とはいえ低スペックのサーバーで運用していると、後々事業が拡大したときに様々な不具合が発生する恐れがあるため、余裕を持ってスペックを調整する必要があります。

既存環境の解約

最後の既存環境の契約を解約する必要があります。

解除した後は、新しい環境にシステムやアプリケーションを移すことが困難になるため、最終的なチェックは忘れないようにしましょう。また、既存環境を契約し続けると余計なコストがかかってしまうため、できるだけ早い解約を心がけましょう。

クラウド移行を実行するメリットとデメリット

クラウド移行のメリットデメリット

メリット1:取り入れやすい

クラウド移行はオンプレミス環境と比較すると初期費用が安く、導入障壁が低いという特徴があります。

専用のサーバーや環境を構築せず、すでにあるサーバーや仮想サーバーを利用するため、初期費用はオンプレミスと比較したときに安く抑えられるのです。

またクラウド上で管理を行うため、物理的なスペースを必要とせず、災害が原因でデータが破損する心配もありません。

メリット2:コストを抑えられる

導入時の初期費用が抑えられる点も特徴ですが、必要な時に必要な分だけサーバーの容量を増減させることができ、コストを抑えられる点もメリットでしょう。

ストレージ不足で回転速度が落ちたり、オーバースペックで費用が無駄になってしまう心配もないのです。浮いたコストを経営上の課題解決に回せる点はメリットでしょう。

メリット3:バージョンアップなどのメンテナンスがいらない

4、5年で訪れる保守期間サイクルや日頃のメンテナンス、バージョンアップなどはクラウドサービス提供会社が対応します。これにより、オンプレミスでは自社で行う必要があった、メンテナンスにかかる工数を削減することができるのです。

万が一障害が発生した場合でも、自社で復旧作業をする必要はなく、クラウド提供者が迅速に対応を行います。ITインフラのメンテナンスやトラブル対応を自社で対応せずに、運用できる点は自社のリソースを逼迫することがないためメリットといえるでしょう。

メリット4:容量の拡張が容易である

クラウド上で運用を行うことによって、必要な時に必要な分だけサーバーの容量を増点させることができます。ストレージ不足で回転速度が落ちたり、オーバースペックで費用が無駄になったりしてしまうことがありません。

デメリット1:カスタマイズができない

自社に合わせてカスタマイズできるオンプレミス環境と比べると、クラウド環境はカスタマイズ性が乏しいというデメリットがあります。

そのため、オンプレミスからクラウド環境に移行を検討する際に、クラウドは必要な要件を満たしていない場合があります。

デメリット2:サーバーの影響を受ける

クラウドにもさまざまな種類があり、ハードウェアや回線を共有している場合、同じ環境を利用している他社の影響を受けます。

その際、他の企業へのサーバー攻撃などが自社のサーバーへ飛び火してくる可能性があります。もちろんクラウドサービス提供側でこのリスクには対策していますが、影響を受ける可能性としてはゼロではないため、デメリットといえるでしょう。

デメリット3:自社システムとうまく連携できない可能性がある

これまで自社で環境構築を行なってきた場合、新たに導入したクラウド環境と連携が取れず、以前と同じような環境構築ができない可能性があります。クラウド移行した後でもやりたいことが実現できるかを事前に確認しておきましょう。

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クラウドへ移行する際のチェックポイントとは

クラウド

クラウド移行を行う際に押さえておかなければならないチェックポイントがあります。

以下の3つに絞ってポイントを解説していきます。

    • リスクを明確化する
    • サーバーの運用にかかる費用を計算しておく
    • サポート体制を確認しておく

リスクを明確化する

オンプレミスからクラウドに移行すると様々な変化が起きます。その場合、一番避けなければならない事態は、現在提供しているサービスが止まってしまうことです。

移行中にトラブルが発生した場合、システムを停止する手順、移行データに問題が起きてもいいようにバックアップをとっておく、そもそもサービスを止めておくことをあらかじめクライアントに報告しておくことも有効です。トラブルが起きた場合を想定し、準備しておきましょう。

サーバーにかかるコストを明確化しておく

クラウドは主に以下の3つの条件で費用が変動します。  

    • スペック
    • ストレージ
    • データ転送

CPU、メモリなどのデータ容量によってサーバーの費用が変動します。こちらは必要に応じて調整することが可能であるため、最初に決めた容量が少なくても問題ありません。

データ転送にかかる費用は各クラウドサービスによって異なるため、事前に確認しておきましょう。

サポート体制を確認しておく

オンプレミスからクラウドサービスに移行すると、運用の内容も大きく変わります。

今まで自社のサーバーメンテナンスの知識があれば良かったのですが、新しくクラウドサーバーの知識まで必要になるのです。

そのため、ある程度クラウドサービスの知識を持った上で、トラブルが発生した際はどこに連絡をすればいいのか事前に確認しておきましょう。

まとめ

この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。

    • クラウド移行計画の立て方
    • クラウド移行のメリットデメリット
    • クラウド移行を行う注意点

クラウド移行を導入することは、業務効率化、コスト削減につながりますがオンプレミスの方がメリットが大きい場合もあります。本記事を読んだ方はこの機会に導入を検討してみましょう。

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