ゲーム開発の基礎知識や注意点を解説【初心者向け】

2021年10月13日

モバイルゲームやオンラインゲームなど、近年急速に成長するゲーム業界が注目される中で、これまでになかったゲームを自分で開発してみたいと考える方も多いのではないでしょうか。

本記事ではゲームを自分自身で開発してみたいと考えている方へ向けて、基礎知識や必要な環境、あると便利なツールなどを初心者でもわかりやすく解説します。

1.近年のゲーム業界の動向

近年、スマートフォンやタブレットの普及によりモバイルゲームやオンラインゲームなどが以前よりも注目されつつあります。
その理由は、課金しなくても無料で気軽にスマートフォンやパソコンでゲームを楽しめるようになったことです。

今後、2020年よりサービスが開始された5Gがさらに普及すれば、ゲーム業界にも大きな変化が訪れると予想されています。
5Gの普及によりさらなる技術の進歩と変化が期待される中で、これまでにはなかった新しいゲームを自分で開発してみたいと考える方も多くなるでしょう。

 

2.ゲーム開発に必要な環境を整える

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ゲームの開発を始めるためには、ただ単にインターネット環境とPCがあれば良いというわけではありません。
ゲーム開発に必要なゲームエンジンや、開発を行うための最低限必要なスペックを持つPC等の環境を整える必要があります。
また、開発目的に適したプログラミング言語を用いることも求められます。

以下では、必要となる環境やゲーム開発に用いられるプログラミング言語等について解説します。

 

ゲームエンジン

ゲームエンジンとは、プログラマーではない全ての人がゲーム開発を効率よく行えるようにするためのソフトウエアの集合体です。
ゲームエンジンで主流になっているものは下記の2種類があります。それぞれの特徴を把握し、作りたいゲームに合ったものを選ぶようにしましょう。

 

    • Unity(ユニティ)
      Unityは100万人以上の開発者が利用しているゲームエンジンであり、世界で最も利用されているといっても過言ではありません。ポケモンGOなどのゲームに利用されています。

      【主な利用シーン】
      ・2DCG・3DCGゲーム両方の開発
      ・PCゲームの開発(Windows・Mac・Linuxなど)
      ・スマホアプリ(Android・iOS)の開発
      ・家庭用ゲーム機に対応したゲーム開発
      ・VRなどのプラットフォームにも対応したゲーム開発

      世界中の人が利用していることから、Unityに関する知識やノウハウなどは書籍やインターネット上で数多く入手することができます。
      そのため、初めてゲーム開発を行う人でも、比較的容易に習得できる扱いやすいゲームエンジンと言えるでしょう。


      Unityには利用料金が発生します。個人開発者の場合、過去1年間の収益・調達資金が10万米ドル以下ならライセンスを無料で使用できます。
      企業やプロジェクトチームとして利用する場合はプランを選択でき、1アカウントあたり年間439~1,980米ドル、大規模なプロジェクトとして契約する場合は年間20席で4,400米ドルとなります。(2021年9月6日時点)
    • Unreal Engine(アンリアル・エンジン)
      Unreal  EngineはEpic Gamesが開発したゲームエンジンで、リアルなグラフィック表現が特徴です。
      フォートナイトなどのゲームに利用されています。


      【主な利用シーン】
      ・2DCG・3DCGゲームの開発
      ・PCゲームの開発(Windows・Mac・Linux・SteamOSなど)
      ・スマホアプリ(Android・iOS)の開発
      ・家庭用ゲーム機に対応したゲーム開発
      ・VRなどのプラットフォームにも対応したゲーム開発

      Unityの機能とほぼ変わりがありませんが、大きな違いはグラフィック面です。
      リアルでハイエンドなゲームを作りたいと考えている方にはおすすめのゲームエンジンです。


      Unityと比べると、Unreal Engineに関するノウハウや知識を得られる無料教材は少ない傾向にあります。
      しかし今後利用者は増加していくことが予想されるため、インターネット上で身に付けられる知識も徐々に増えていくでしょう。
      UnrealEngineの利用料金は、製品をリリースした後に粗収入が100万米ドルを超えた場合にその金額に対する5%のロイヤリティを支払います。そのため、個人開発者の場合は実質無料で使用可能です。
    • Cocos2d-x(ココス・ツー・ディー・エックス)
      Cocos2d-xは、2Dゲーム制作に適したゲームエンジンであり、オープンソースとして公開されているため、誰もが自由に利用できます。
      代表作としてはモンスターストライクや、ディズニーツムツム等が挙げられます。

      【主な利用シーン】
      ・2Dゲームの開発
      ・スマホアプリ(Android・iOS)の開発Cocos2d-xはクロスプラットフォームを採用しているため、単一のソースで複数のOSに対応可能です。

      その上、無料で全機能が使えるようになっており、開発環境が構築しやすく、動作が軽いのも特徴です。

      既にスマホ向けのゲーム制作を行っている個人クリエイターや、開発企業が数多く利用しており、使い勝手の良いゲームエンジンとされています。

 

プログラミング言語の知識

ゲーム開発にプログラミング言語の知識は必須です。
作りたいゲームに合わせて必要となるプログラミング言語が異なるため、まずは何を作るかを明確にすることが大切になります。
また、ゲーム開発に用いられるプログラミング言語は複数あるため、その特徴を理解した上で選定する必要があります。

よく使われているプログラミング言語は、以下の通りです。

    • C#
    • C++
    • JavaScript
    • Swift
    • Ruby

全てを理解する必要はありませんが、各言語の概要・特徴だけでも抑えておくとよいでしょう。

ここでは、先ほど紹介したUnityとUnrealEngineで利用するプログラミング言語について解説します。

 

    • Unityで使用するプログラミング言語:C#(シーシャープ)
      Unityで開発に使用するプログラミング言語は「C#」のみとなっています。
      C#は汎用性があり、様々なことができるプログラミング言語ですが、プログラミング初心者にとっては少し難易度が高めとされています。 

      C#の特徴としては以下が挙げられます。

      • オブジェクト指向型言語
        データとそのデータに対する処理をまとめてオブジェクト(モノ)とし、複数のオブジェ区とを組み合わせてプログラムを組むという手法のことです。
      • Windows以外でも使用できる
        互換環境を使用すればWindows以外の iOS, Linux等どのOSでも動作させることができる言語のため、一度覚えてしまえばいろいろなOSで使用できます。 
    • UnrealEngine:C++(シープラスプラス)
      C++は、Unreal Engineで使用できるプログラミング言語です。
      学習難易度はUnityと比較するとやや高めですが、C言語との互換性もあることから認知度が高く、インターネット上には無料の学習プログラムなども存在します。
       

      C++の特徴としては以下が挙げられます。

      • 手続き型とオブジェクト指向を兼ね備えている
        モノを組み立てるように表現してコンピュータに動作をさせる手続き型と、上から下まで規則性のあるルールで文章を読むように動作するオブジェクト型のプログラミングを兼ね備えています。
        その上、プログラムの実行速度が他の言語に比べて早いことが特徴です。
      • C言語と互換性がある
        C++は、前身であるC言語から派生したプログラミング言語です。そのため多くの技術や情報が蓄積されている信頼性の高さも特徴のひとつです。
        C言語との互換性があり、C言語を用いて作られたシステムをC++に移行することも容易にできます。

 

プログラミング言語の学習方法

プログラミング言語の学習は、プログラミングスクールに通う方法の他にも選択肢がいくつかあります。
例えばドットインストール等の動画で基礎知識が身につく教材や、参考書を購入して独学で学ぶことも可能です。

しかし、独学の場合はわからない部分が出てきた際に解決までに時間を要することも多いです。
そのため、短期間で効率よくスキルを身に付けたい場合はプログラミングスクールやWeb上で開催されているプログラミング講座などに参加することをおすすめします。

 

ゲーム開発用PCに必要なスペック

UnityやUnreal Engineを使用して開発したゲームの動作確認を行うためには、一定基準以上のPCスペック環境が必要となります。

【ゲーム開発に必要なPCスペック】

    • プロセッサー(CPU):「Intel Core i5」程度以上 (※第8世代以降のモデル)
    • メモリ(RAM):16GB以上
    • グラフィックス(GPU):GeForce「GTX 1650」程度以上
    • ストレージ(ROM):SSDで480GB以上

上記は最低限必要なスペックですが、この条件を満たしていても、動作確認等の際にスペック不足が原因でスムーズに動作しないこともあります。
そのためメモリは32GB、グラフィックスはGeForce RTX 2060以上があるとより良いでしょう。

 

あると便利なツール

ここまで紹介してきたゲームエンジンとプログラミング言語に関する知識があれば、基本的なゲーム開発環境は整います。
しかしゲームは総合芸術のため、イラストやドット絵、2DCG・3DCGのほか、音楽や効果音など様々な要素が組み合わさってひとつの作品が完成します。
これらの要素を作成するために必要となるツールをご紹介します。

【ツール例】

    • イラスト・ドット絵、2DCGの作成ツール(CLIP STUDIO PAINT PRO など)
    • 3DCG作成ツール(Blenderなど)
    • 音楽や効果音の作成(フリー音源や、作曲の依頼)


音楽や効果音の作成を第三者に依頼したい場合は、依頼者と受注者をつなぐサービス(サイト)を使用するのもよいでしょう。
依頼から納品、料金の支払いまでのシステムがすでに準備されているためお互いに安心して取引ができます。

 

3.ゲーム開発の流れ

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ゲーム開発の環境が整った状態から開発に着手し、ゲームを完成させるまでの流れを説明します。

 

構想検討・企画

個人で実際にゲーム開発を行う際には、まずは開発を行うゲームの構想をしっかりと練る必要があります。
具体的にはゲームの概要やゲームのUI(ユーザーインターフェース)、オブジェクトを構成する機能等です。

構想段階では紙に書き出すなどして、どんどんイメージを膨らませた上で、イメージを収束・具体化し要件に落とし込むとよいでしょう。
実際にゲーム開発作業を行うのは、ある程度ゲームの概要が固まってからのほうがスムーズに開発を進められます。

また、はじめに関連性が高いゲームが既に市場出回っていないかリサーチも行うとよいでしょう。
既に数多くのゲームがリリースされていますので、あなた自身が作りたいゲームに近い製品が市場に存在する可能性は高いです。
模範となるゲームが見つかった場合は、構造や使われているプログラミング言語等を分析することで、後工程の開発作業を効率化させることができます。

 

試作

企画した内容のをもとに、ポイントを抑えて簡易版を作成します。
企画段階で構想したゲームの魅力が反映されているかなどを含め、実際の動作を確認します。
商品に使用する要素技術についても並行して調査や研究を重ねていき、最終的な完成品に組み込めるように開発を進めていきます。

 

本制作

試作工程で見えた具体像をもとに、本制作を行います。
プログラミングに加え、商品を構築するためにどんな技術を使用するかも1つずつ選定しプランニングを行います。

ゲーム内におけるインタラクションの向上やキャラクターの作成、コントローラーからの入力解析・処理速度や通信制度の向上といったゲームの質を高めるための作業も必要となります。

また、個人でゲーム開発作業を進めるにあたり、必ずどこかで壁にぶつかる場面が出てくるはずです。
インターネット上で検索しても問題解決ができない場合は、自力でトライアンドエラーを繰り返す必要があります。

特にはじめてゲーム開発を行う人は、エラーや不明点が多過ぎて途中で挫折する方が多いです。
開発においては、専門の質問サイト等もありますので、適宜活用しつつ開発を進めるとよいでしょう。

    • teratail(テラテイル)
    • Qiita(キータ)

 

検証

製品としての品質を保証するため、完成したゲームを検証します。
検証項目は企画内容や開発者の意図した通りに動作するかのチェックやプログラムの不具合がないかなどです。
例えば、ゲームのプレイ中にコントローラーを振るという動作が入る場合、それによりユーザーがケガをする危険性は高くないかなど、ユーザーの不利益をいかに少なくするかという視点でチェックを行います。
その他にもゲーム機器やPCのガイドラインに沿っているか、法律との適合性などの視点からも確認する必要があります。

 

4.ゲーム開発での注意点

ここでは、ゲーム開発に着手した方が陥りがちなケースをご紹介します。
事前に注意点を把握した上で、自分自身もそのケースを辿らないよう注意して開発を進めましょう。

 

設計内容が不足している、または過剰

作りたいゲームの完成形が曖昧で、まとまりのない設計内容で開発を始めてしまうと失敗に終わることがあります。
また、設計不足とは逆に、ゲームの内容をもっと良くしようと意気込むあまり、ゲームに組み込む内容や詳細設定が膨大になるケースもあります。

これは一般的に「スコープクリープ」と呼ばれる現象で、タスクとして挙げた内容がほぼすべて不要であるように感じてしまう状況です。結果的にどのタスクを優先すべきかがわからず開発速度が落ち、ゲームを完成させることができなくなります。

設計の段階で、ゲームを楽しくする要素・独自性をもたらす要素・正しく機能するための要素は何かを明確化し、本当に必要なものだけに絞ってタスクを積み上げていきましょう。

 

自分のためのゲームを製作しようとする

ゲーム開発を始めるきっかけは、自分が求める理想のゲームを作りたいという理由が多いことでしょう。
しかし、第三者へ販売することや国内・世界にリリースする目標がある場合は、ユーザーのニーズを把握した上で開発を行ったほうがよいでしょう。

試作段階や開発途中でも可能なかぎりユーザーからのフィードバックを取り入れることで、よりニーズに沿った完成品を作り上げることができます。
販売して利益化などを目指す場合は、自分の楽しみよりもユーザーの意見やニーズを柔軟に取り入れる必要があるでしょう。

 

5.まとめ

個人でゲーム開発を行う際には、プログラミング言語やゲームエンジン等を先に考えるのではなく「どのようなゲームを作りたいのか」を最初に考えるとよいでしょう。
ゲームの概要が決まっていないと、その後の作業工程や必要なプログラミング言語、ゲームエンジン等が定まりません。

加えて、ゲーム市場には既に数多くの製品がリリースされていますので、前例を模範としながら効率よくゲーム開発作業を進めることが大切です。

また、大好きなゲームを制作・開発することでビジネスにつなげたいと考えている場合、主観的な内容では利益を出したり発展させることは難しくなります。

自分自身だけではなく、ユーザーはどんなゲームが楽しいと感じ、近年人気のあるゲームはどんな内容なのかなどの研究を重ね、利益化できるゲームの傾向を探りながら開発を進めるとよいでしょう。

 

 

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