オフショア開発の5つのメリットと4つのデメリット・対策方法を公開

世界的にエンジニア需要が高まる一方で、経済産業省の調べによると国内のエンジニア人材は、2030年には約80万人が不足するといわれています。

国内のエンジニア人材の不足から、海外のエンジニア人材を活用してシステム開発等を行う「オフショア開発」が近年注目されてきています。

本記事ではオフショア開発を検討されている方のために、その具体的なメリットとデメリット等を分かりやすく解説しています。

オフショア開発の特徴を押さえていただくことができますので、オフショア開発を検討するにあたり、是非参考としてみてください。

 

【目次】 

 

オフショア開発とは?

オフショア開発(offshore development)とは、システム開発やアプリケーション開発などで、海外の開発企業を活用する手法を指します。

オフショア開発は、ベトナム等のオフショア開発国の安価かつ高品質な人材を活用することができるため、コストパフォーマンスが非常に良いです。

アジア諸国を中心にオフショア開発国が増えてきており、ベトナム・インド・中国といった海外諸国では既に多くの日本企業が参入しています。

また、オフショア開発に類似した言葉に、ニアショア開発というものがあります。
ニアショア開発とは、オフショア開発とは異なり「比較的近い距離にある企業へ、業務の一部もしくは全部を依頼」することを指します。

海外等の遠い場所にある企業へ依頼する際には「オフショア開発」、国内の地方にある企業等へ依頼する際には「ニアショア開発」となります。

 

オフショア開発最新動向

情報処理推進機構(IPA)の調べによると、日本では約45.6%の企業が既にオフショア開発を活用しています。

サービス環境が整備されてきたことで、オフショア開発サービスも利用しやすくなりました。
以前は大企業のみが使える選択肢として、オフショア開発が認知されていましたが、現在は中・小企業でも活用できる状況だといえるでしょう。


また世界規模でみても、オフショア開発市場は拡大傾向にあります。
情報処理推進機構(IT人材白書)の調べによると、世界の市場規模は2000年の時点で456億ドルに達しており、2018年には865億ドルまで拡大しています。

オフショア開発先進国である中国やインド等では、すでに人件費の高騰が始まっており、コストメリットが減少しつつあるのが現状です。
一方、オフショア開発新興国のベトナムやフィリピン、ミャンマー等では、人件費は国内エンジニアと比較してかなり安い水準です。

今後も世界的にオフショア開発市場が拡大していくと新興国の需要も更に高まり、先進国同様に人件費の高騰が予測されます。
できるだけ早い段階でオフショア開発市場に参入することができれば、人材確保・コストメリットの面での先行者優位獲得につながるでしょう。

 

オフショア開発の5つのメリット

    1. 開発コストの削減
    2. IT人材が確保できる
    3. 契約期間中は専属開発チームとして活用できる
    4. ITエンジニアの質が高く、品質の維持に繋がる
    5. 中・長期間を見据えた「ラボ型開発」に有利

 

オフショア開発の最大のメリットは、開発コストを安く抑えられることにあります。

日本人エンジニアよりも海外のエンジニアの方が人件費が安いことが、コスト差が発生している主な要因です。

コストはオフショア開発の委託先や委託する条件等によって変動しますが、開発コストをできるだけ抑えたい方には大変おすすめの手段です。

 

開発コストの削減

日本人エンジニアの平均月収は35〜40万円程度ですが、ベトナム人エンジニアであれば平均月収20〜30万円程度なので、日本と比較してかなり安価な水準となっています。
給与水準の差に応じ、見積内の人件費も日本と比較して安価となっています。

システム開発を中長期で行う場合は、期間が長くなるほど人件費の差は拡大するため、単価設定は開発コストに大きな影響を与えます。

 

エンジニアが確保できる

日本国内でのエンジニア需要は大変高いですが、需要に対して供給が追いついていない状況です。
そのため、日本では常に優秀なエンジニアの奪い合いが行われており、国内でエンジニアを確保するのは困難な状況が続いています。

上記のとおり国内でのエンジニア確保は難しい状況ですが、オフショア開発では国内よりもエンジニアが確保しやすいです。

 

契約期間中は専属開発チームとして活用できる

オフショア開発では、海外の開発チームを自社チームとして活用することができます。

チームのメンバーが契約満了まで必ずしも固定される訳ではありませんが、自社チームとして活動を行うため、ノウハウやスキル等を自社や開発チームに蓄積することができます。

 

エンジニアの質が高く、品質の維持に繋がる

海外のエンジニアに委託するとなると、多くの企業が気になるのが、エンジニアの質ではないでしょうか。

オフショア開発の委託先としては、ベトナムや中国、インド、フィリピンなどが挙げられますが、どの国もエンジニアの質は非常に高いです。

国家主導でIT人材の育成に力を入れているところもあり、ベトナムでは政府がオフショア開発やエンジニア人材の育成プロジェクトを国家政策として進めているため、エンジニアの質は年々上昇してきています。

各国の現状と最新動向については、以下の記事で詳しく解説しています。
 オフショア開発の市場規模と最新動向を徹底調査【2021年最新版】

 

中・長期間を見据えた"ラボ型開発"に有利

オフショア開発は、基本的に中・長期間を見据えたラボ型開発での契約を主としています。

従来であればシステム開発などの案件は、請負契約で行うのが一般的でした。

しかし、オフショア開発の場合は、専属チームとして中・長期間取り組むことが前提となっているため、ラボ型開発での契約を行う場合が多いです。

なお、短期間で終了しそうな案件を、オフショア開発で行う場合はコストメリットが薄れるもしくはなくなってしまう可能性があるため他の手段を検討したほうが良い場合もあります。

※オフショア開発の契約に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
 オフショア開発の契約書|契約の種類や契約書締結までの流れを解説!

 

オフショア開発の4つのデメリットと対策方法

    1. 開発におけるコミュニケーションの問題
    2. 品質・進捗状況の管理が難しい
    3. 小規模な案件はコスト削減に繋がらない
    4. 開発チームの国との時差や文化・習慣の違い

 

オフショア開発は確かに優れた開発手段ではありますが、メリットだけでなくデメリットもありますので、十分に理解した上で検討するとよいでしょう。

 

開発におけるコミュニケーションの問題

オフショア開発では委託先が海外になるため、開発チームとのコミュニケーションは基本的に英語もしくは現地の言語になります。
委託先によっては日本語対応しているところもありますが、メンバー全員が日本語対応している訳ではないことは認識しておいたほうがよいでしょう。

また、発注元と開発チームと間に「ブリッジSE」が入ることが多く、ブリッジSEの選定も非常に重要なポイントです。
コミュニケーションクオリティは、製品の品質にダイレクトに影響しますので、事前に想定リスクや対策の検討を行いましょう。

なお、親日国家であるベトナムのオフショア開発に委託する、なども一つの方法です。
親日国家であれば日本人に対する理解が深く、コミュニケーションも比較的取りやすいです。

 

品質・進捗状況の管理が難しい

文化が異なることや物理的な距離があることから、開発チームの進捗状況や品質等の管理は、非常に問題になりやすいです。

日本人であれば納期通りに納入したり、仕様書に沿った成果物を納品しようと考えますが、海外企業では日本と同様に対応してもらえるとは限りません。

そのため、定期的に進捗状況を確認し、納期や品質の管理を行う必要があります。
管理を怠ると、納期直前での遅延発覚や仕様書と異なる成果物の納品につながる可能性があるため、必ず定期的な確認を行いましょう。

決して丸投げせずに定期的な確認を行いながら、開発企業と並走するイメージで取り組むことが大切です。

 

小規模な案件はコスト削減に繋がらない

オフショア開発では、エンジニアの人件費の他にもブリッジSEやその他の管理費用等が一定の規模必要となります。
そのため、小規模・短期間の案件ではコスト削減に繋がりにくく、国内で開発を依頼したほうが結果的に安価となる場合もあります。

オフショア開発はあくまでも、中・長期間の案件で取り組むのに適した開発手法なので、短期案件の場合はコスト面をしっかりと精査する必要があるでしょう。

 

開発チームの国との時差や文化・習慣の違い

オフショア開発は、委託先の国によって時差や文化、習慣等の違いがあります。

日本人と常識が異なるため、検討に際してはどのような文化や習慣があるのかを調べる必要があるでしょう。

委託先の国の理解が乏しいと、開発チームとの軋轢が発生してしまい、最終的に納期や品質に悪影響が出てしまう可能性もあります。

納期や品質の悪化を避けるためにも、しっかりと事前に委託先の国の状況や文化などを調べておくようにしましょう。

 

オフショア開発の注意点

オフショア開発を活用する際には、主に2つの項目に対して注意が必要です。

    • 為替や政治的なリスク
    • オフショア開発企業とのマッチングミス

 

特に為替や政治的なリスクに関しては、昨今は新興国や先進国に関わらず変動が激しいため、事前に理解した上で委託する必要があるでしょう。

また、オフショア開発サービスを提供している企業は各国に多数存在するため、案件の内容や自社との相性等の確認も必要です。

 

為替や政治的なリスク

国内で依頼するのとは異なり、オフショア開発の場合は海外になりますので、費用の支払いは現地通貨で換算されます。
そのため、為替の影響を受けて最終的な開発コストが予定よりも多くなったり、反対に安くなったりする可能性があります。
中長期での依頼が多いオフショア開発は、契約額が大きいため、為替の影響は必ず考慮しておいたほうが良いでしょう。

また、委託先の国の政治的な影響により、開発が遅れたり、プロジェクトの進行自体が難しくなったりもします。
例えばオフショア開発先として、よく候補に上がるミャンマーでは2021年にクーデターが起こりました。
政治的なリスクを予測するのは難しいですが、万が一を考えて代替案を用意しておく必要があるでしょう。

また、新興国のインフラが今後経済の発展とともに整ってくると、中国やインドのように人件費の高騰などが予想されます。
そのため、オフショア開発の最大のメリットである、開発コストの削減に関しては、あまり期待できなくなるかも知れません。

 

オフショア開発企業とのマッチングミス

ひとくくりに「オフショア開発サービス」といっても、その特徴は企業によってさまざまです。
そのため、実際に依頼する際には、必ず自社の案件内容と合うかどうかの検討が必要になります。

    • 契約形態はどのような内容か
    • エンジニアの質やセキュリティに問題はないか
    • 最終的な開発コストは予算内に収まるか
    • 委託先の会社の実績や評判はどうか
    • 委託先の会社の得意分野は自社の案件と合うか

 

最低でも上記に挙げている項目は、必ず確認した上で依頼することが大切でしょう。
オフショア開発企業とのマッチングミスにより開発が失敗に終わってしまわないよう、慎重に取り組む必要があります。

 

オフショア開発はベトナムがシェアNo. 1!

情報処理推進機構の調べによると、2021年時点ではオフショア開発先の約52%をベトナムが占めています。

日本企業の大半も委託先としてベトナムを選択しており、ベトナムのオフショア開発市場は年々拡大傾向です。

その主な理由としては、ベトナムでは政府側がオフショア開発を後押ししている背景があることや、親日国家であることなどが挙げられます。

また、ベトナムのGDP成長率や人口推移などは、右肩上がりに成長し続けており、今後も経済の発展が期待できるでしょう。

同時にベトナム国内のエンジニア人口も年々増えてきており、学校でも政府が促進しているプログラミング学習が実施されています。

その上、人件費等も日本と比較して安いので、開発コストを抑えながら優秀なIT人材を効率的に確保できるのが、ベトナムオフショア開発の一番のメリットです。

※ベトナムオフショア開発に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。 
 ベトナムオフショア開発の現状とは?特徴やメリット・デメリットの紹介

 

まとめ

オフショア開発を利用する際の主な6つのメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット

デメリット

    • 開発コストの削減
    • IT人材が確保できる
    • 契約期間中は専属開発チームとして活用できる
    • ITエンジニアの質が高く、品質の維持に繋がる
    • 中・長期間を見据えた”ラボ型開発”に有利
    • 開発におけるコミュニケーションの問題
    • 品質・進捗状況の管理が難しい
    • 小規模な案件はコスト削減に繋がらない
    • 開発チームの国との時差や文化・習慣の違い

オフショア開発を活用するメリットは非常に多いですが、デメリットへの対策も行う必要があります。

国内の開発会社への委託とは異なり、コミュニケーション面で問題になることも多く、ブリッジSEの存在はとても重要です。

また、品質管理や進捗状況等を定期的に確認する必要があります。

実際にオフショア開発を活用する際には、十分その特徴を理解した上で実施するようにしましょう。

 

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