UATとは?テストを成功するための実施手順をご紹介

2024年4月25日
初めに

UAT(User Acceptance Test)とは、ソフトウェアが仕様要件を満たしているか本番環境に近い環境で問題なく動作するかを検証するテストです。

システム開発において、コンポーネントテスト、結合テスト、システムテスト、受け入れテストの4つの段階に分けられています。

受け入れテストの目的は、開発者側のテストをレビューするだけでなく、実際の利用環境で問題がなく動作できるか確認することです。

システムの完成から稼動までのスケジュールを立てる必要があり、検証すべき機能の優先度をしっかり決める必要があります。

本記事では、UATの特徴とテストの実施手順についてご紹介していきます。

UATとは

UAT(User Acceptance Test)とは、完成したシステムやソフトウェアがユーザーのニーズを満たしているか受入れの判定するテストです。

UATは別名、受け入れテストと呼ばれていて、顧客がシステムの要件やビジネスプロセス・バグがないかなどシステムのリリース前に行われます。

本番環境では、テストの計画→テスト環境の構築→テスト実施の流れで実施します。

受け入れテストは本番環境に近い環境で使用・検証するため、ユーザーがシステムの何らかの不具合が見つけられるのが特徴です。

自社でUATを行うノウハウがない場合は、第三者機関を利用すると各種テストを専門に行うことで信頼性の高い検証を行うことができます。

UATを行う重要性

UATは、開発したソフトウェアがユーザーの業務要件に満たしているかを確認するために確認するテストです。外部の顧客と受け入れテストを行うには、依頼側が求めている要件に満たしているか、バグや欠陥がないかを検証します。

テスト工程で実施される不具合や欠陥は、運用時にユーザーが直面する問題点を示しています。UATを通じて問題を早期に特定し、修正コストや時間を大幅に削減ができるのがポイントです。

このようにUATは、開発プロジェクトの手戻りのリスクを低減し、高品質なシステムを提供できるようになります。

UATテストの種類

Uatテストの種類

開発工程の最終段階として、UATを行うには、ユーザーのニーズに沿った機能要件を対象としたテストを行います。

ソフトウェアテストでは、ソフトウェアの規模や特徴に応じてテストの手法が異なります。

ソフトウェアをテストする際は、開発規模や機能要件に適したテスト手法を行うことが大切です。

ここからは、UATテストの種類について詳しく解説します。

単体テスト

単体テストとは、プログラムを組んだモジュールの機能単位の動作などを単体で確認するテストです。

単体テストの目的は、一つの機能や画面に不具合がないか動作確認を行い、次の工程へつなげるのが目的です。

その中でソースコードやデータモデル、コンポーネント仕様などを詳細設計までに定義された機能を検証します。

ソースコードを実行し、開発段階の早い段階で不具合を発見することができ、手戻りの修正が低減できるのがメリットです。

結合テスト

結合テストとは、単体テストを完了した後に各モジュールを組み合わせて、動作や挙動に不具合がないか検証するテストです。

結合テストでは、データ同士のやり取りや単体テストでは確認できない部分までカバーすることができます。

データ同士やモジュールをそれぞれ組み合わせてテストを実施することで、システムの品質が担保されます。

プログラムの上位階層に位置するモジュールから下位のモジュールへとテストができるので不具合が検出しやすいのが大きなメリットです。

ブラックボックステスト

ブラックボックステストとは、要件定義や仕様書などの内部構造に着目せず、テスト対象の振る舞いを検証するテストです。

システムの入力を与えた場合に、どのような出力がされるのかを確認します。

ブラックボックステストは、入出力のみに着目して行われることが多く、ユーザー視点で実施されるのが特徴です。

ユーザーの立場からは、テストを行うのに第三者でも実行することができるのでユーザーの満足度が高いものになります。

システムテスト

システムテストとは、開発したソフトウェアが本番環境で正しく動作するかを確認するテストです。

システムテストは開発したシステムが仕様に沿って正しく動作するか、全体としての性能の安定性が確保されているかを検証します。

これまでテストでは、システムを構成する各モジュールを個別に検証するテストが主流でした。

一方、システムテストは開発したソフトウェアがリリース後にトラブルが発生しないように、検証することです。

テストを通じて、問題を早期に発見することで、システムの質を向上させることができます。

システムテストは、システム全体の動作や性能に不具合をより早く発見することで、後の大幅な修正や時間を大幅に削減できるのがポイントです。

回帰テスト

回帰テスト(リグレッションテスト)とは、ソフトウェア開発で修正や仕様変更を行なった際に、既存の機能が影響を受けていないかを確認するテストです。

回帰テストの目的は、プログラムを修正や追加の変更した後に、直接手を加えていない箇所に不具合が発生していないかを確認することです。

システムを改変した機能のみでテストを完了したままサービスを提供してしまうと、他の機能に修正が発見されてしまい、ユーザーにとって使いづらいシステムになってしまいます。

このようなリスクを回避するためには、回帰テストを行うことが唯一の有効手段です。

回帰テストによって新しい変更に与える影響を確認することで、システムの品質が向上できます。

UATを実施する流れ

Uatを実施する流れ

 

UATで質の高いソフトウェアを提供するには、「どの機能が最も優先的にテストをするべきなのか」を優先的に絞ることが大切です。

UATは本番環境でテストするのにリリース前に納品をしないといけなく、全ての機能をテストするのには時間が大幅にかかります。

そのため、仕様変更した機能や重要な機能を優先的に決定することが大切です。

ここからは、UATを実施する流れについてご紹介します。

テスト計画の作成

UATを実施する上では、最初にテスト対象となるスケジュールの決定や連絡ル―トを整理することが必要です。

システム開発の全工程で受け入れテストの開始日と終了日を定め、業務範囲を明確にします。

テストを行うのにテスト期間やテスト実施者・重要な業務を優先的に決めることでテスト当日、スムーズに開催することが大切です。

環境の構築

UATのテストシナリオを作成する上で、計画書と仕様書をもとにテスト環境を用意し、事前確認を行います。

仕様書を基に本番と同じマシンやハードウェア、OSからシステム全体の動作を検証していきます。

テスト実施の際にあらかじめ管理表を作っておくとスムーズに作業が進められるのでおすすめです。

UATの環境構築は、テストに多大な時間をかけられないことが多く、何の機能をテストするべきか必要最低限のポイントに焦点を当てることが大切です。

テストの実施

UATでテストシナリオに定められた通りに、受け入れテストを実施します。

受け入れテストでシステムにバグや不具合を発見したら、その箇所を修正し、再度テストを開始します。

テスト計画で立てたシナリオを全て実行し、テストデータや動作に問題がなければ受け入れテストは終了です。

その後、システムの品質に問題がなければクライアントに引き渡す流れになります。

テスト実施では、システムを使う業務に重要度の高い機能からテストを実行することが大切です。

特に大規模システムでは、全ての機能を網羅することは時間とコストが大幅にかかってしまいます。

そのため、受け入れテストを実施する上では、ソフトウェアの全体的な仕様をしっかり把握することが重要です。

UATテストの課題と注意点

UATは重要な機能から優先的にテストができる分、プロジェクトの進捗状況やテスト設計などにも注意することが必要です。

UATを実施する上で注意点を詳しくご紹介していきます。

プロジェクトの遅延の影響

UATはユーザーが利用する機能を優先的に検証できる半面、テストを実施するのに開発工程が後半になるためスケジュールに影響が出るという問題があります。

UATの実施は基本的にテストケースに沿って、ソフトウェアの実行を行って挙動に問題がないか確認します。

特に仕様変更があった場合は、仕様変更した機能を優先的にテストを行うのが一般的です。

しかし、プロジェクトが遅延している状況で必要なテストが不足したまま済ますと、納品後に不具合が発覚して顧客との信頼関係に影響が出るリスクがあります。

このような問題が発生しないように、テスターと開発者とのスケジュール状況を共有することが大切です。

時間とリソースがかかりコストがかかる

UATは開発者が見落としがちな問題を発見できる半面、システムが大規模になるほどコストがかかってしまうのがデメリットです。

UATを行うのにユーザーによっては専門知識を持っていない場合があり、システムに不具合が発見されたときに正確に特定できないことがあります。

その結果、自身が特定した問題と不正確なフィードバックが得られてしまい、時間とリソースがかかってしまいます。

UATを効果的に行うためには、ソフトウェアに関する専門スキルに応じたユーザー選びを選定することが大切です。

ユーザー側の要求定義を明確にする

UATを実施する上で、必ずしも多くの時間を割けるわけではなく、ユーザー側の要求を明確にすることが必要です。

例えば、管理画面で顧客情報の更新作業をしたいという要望があった場合、開発側は要求定義に基づき、顧客情報をCSVファイルのアップロードで一括更新を実現するという要件定義を行うことです。

テストを実行する際に範囲を重要な機能に絞ることによって、どのようなテストを行うか決めやすくなります。

UATをスムーズに実施する際は、発注側の要求定義に基づいてテスト設計・実行を進めることが必要です。

まとめ

本記事では、UATの特徴とテストの実施手順について詳しくご紹介していきました。

UATとは、ユーザー側が実際に近い環境でシステムを使用して、動作に問題がないか確認するテストです。

UATを実施する上で、業務観点の不具合はないかをユーザー目線で確認することで、開発者側が見えなかったものが見えてくることがあります。

ユーザーが満足するソフトウェアを提供するには、テスト計画からシナリオ作成、テスト実施の業務に抜け漏れがないか確認することが大切です。

ソフトウェアがリリース後に不具合の発生を防ぐために状況に合った方法で実施するようにしましょう。

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