カスタマージャーニーマップとは|その目的や作り方、活用事例について紹介

2023年8月4日

カスタマージャーニーマップは、顧客の視点を重視したサービス改善のために欠かせないツールです。この記事では、カスタマージャーニーマップの作成手順や活用事例を紹介しています。顧客の視点に立った改善策を実現し、ビジネスの顧客満足度向上につなげるために、ぜひこの記事をお読みください。

カスタマージャーニーマップとは

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カスタマージャーニーマップとは、顧客がある商品やサービスを利用する過程を可視化するためのツールです。具体的には、顧客があなたの商品やサービスを知り、購入し、利用し、関与し、必要に応じてリピート購入するまでの経験を理解するために使われます。

このマップを作成することで、顧客がそのプロセスの中で経験するさまざまなステップや感情を示すことが可能です。カスタマージャーニーマップは、顧客の視点を理解し、彼らが直面する問題やニーズを把握するのに非常に役立つツールです。それによって、顧客の満足度を向上させ、忠誠心を育むことができるでしょう。

カスタマージャーニーマップを作成する目的

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次にカスタマージャーニーマップを作成する目的をご紹介します。ここでは3点ご説明します。

  • 顧客視点でサービス全体を見直すため
  • 社内やチーム全体で共通認識を持たせるため
  • 課題の優先度を明確にするため

顧客視点でサービス全体を見直すため

カスタマージャーニーマップを作成する目的の一つとして、顧客の視点を重視してサービス全体を見直すことが挙げられます。これにより、サービス提供者は顧客が直面する課題や喜びを把握し、顧客のニーズに適した改善策を導き出すことが可能です。顧客の視点や経験を重視し、顧客が商品やサービスを利用する際の全体的な体験を理解することを意味します。

通常、企業やサービス提供者は自社のサービスを提供する側の視点で捉えがちですが、顧客視点を持つことで、顧客のニーズや要望、課題を正確に把握することが可能となります。

社内やチーム全体で共通認識を持たせるため

カスタマージャーニーマップを作成する主な目的は、社内のメンバーやチーム全体で顧客の体験について共通の理解を形成することです。顧客の視点に立ってサービスを理解することで、チーム全体が同じ目線で顧客のニーズや課題を把握し、顧客中心のサービス提供ができるようになります。

顧客の視点を理解し、顧客が商品やサービスを利用する際の体験を共有することにより、組織内のメンバーが顧客の視点を共有し、顧客中心のアプローチを取ることで、より良いサービスの提供と組織の成長を促進することが可能です。

課題の優先度を明確にするため

カスタマージャーニーマップを分析することで、顧客の経験において特に重要な課題を見つけ出し、優先順位をつけることが可能になります。これにより、改善すべきポイントや問題を特定し、顧客満足度を向上させるための具体的な対策を考えることができるようになります。

例えば、カスタマージャーニーマップの分析により、商品の購入プロセスにおいて支払い方法の選択が複雑でストレスを感じている顧客が多いことがわかったとします。この課題を優先的に解決することで、顧客の購買体験が向上し、顧客ロイヤルティが高まる可能性があるでしょう。

カスタマージャーニーマップの作成手順

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カスタマージャーニーマップを作成すると、顧客の体験や課題が明確になり、改善策を検討する際に有益な情報となります。初心者でもこの手順に従って取り組むことで、顧客中心のアプローチを実現し、ビジネスにおける顧客満足度向上が期待できます。

  • ゴールの設定
  • ペルソナの設定
  • 縦軸の設定
  • 横軸の設定
  • 顧客行動の整理
  • 顧客感情の整理
  • タッチポイントの設定
  • マッピング

ゴールの設定

最初に、カスタマージャーニーマップの目的やゴールを明確にします。具体的に何を理解したいのか、改善したい点は何かを決めることで、後のステップでの作業が効果的になります。

明確な目的とゴールを設定することで、マップ作成において必要な情報の収集や解釈がスムーズに進み、最終的に顧客体験の改善やビジネスの成果向上につながる効果的なマップを作成することが可能になるでしょう。

ペルソナの設定

ターゲットとなる顧客層をイメージした「ペルソナ(架空の顧客像)」を作成します。ペルソナは、顧客の特性やニーズ、行動パターンを把握するための架け橋となります。

ペルソナを作成することで、顧客の実際の特性や行動を把握し、具体的な顧客像に基づいたマップを作成することが可能です。これにより、顧客中心のアプローチを取りながら、より効果的な改善策や施策を立案し、顧客満足度の向上やビジネス成果の向上につなげることができます。

縦軸の設定

カスタマージャーニーマップは通常、縦軸と横軸で構成されています。縦軸では、顧客の感情や満足度の変化を表現します。例えば、上部には「満足度が高い」、下部には「不満がある」などのスケールを設定します。

顧客が商品やサービスを利用する過程でどのような感情を抱いているのかを把握することで、顧客のニーズや課題をより深く理解し、改善すべきポイントを特定することが可能です。また、感情の変化を表現することで、顧客の体験に対する共感を深め、顧客中心のアプローチを取ることができるようになります。

横軸の設定

横軸では、顧客の購入やサービス利用のステップやタッチポイントを時間的に並べます。例えば、商品の認知、商品の比較、購入、アフターサポートなどの段階を配置します。

顧客が商品やサービスを利用する際のステップやタッチポイントを明確にすることで、顧客の体験をより具体的に理解し、顧客のニーズや課題を把握することが可能です。これにより、より具体的な改善策や施策を立案し、顧客体験の向上やビジネスの成果向上につなげることができます。

顧客行動の整理

顧客行動の整理はカスタマージャーニーマップにおいて、顧客が商品やサービスを利用する際の具体的な行動を把握するための重要なステップです。顧客が取る行動を整理することで、顧客の行動パターンやニーズを把握し、顧客の体験に影響を与える要因を特定することができます。これにより、顧客体験の改善やニーズに合ったサービス提供の検討が可能となります。

具体的には、ウェブサイトを閲覧する、商品を比較する、カートに入れるなど、顧客の行動をリストアップします。

顧客感情の整理

顧客感情の整理はカスタマージャーニーマップにおいて、顧客が商品やサービスを利用する際に抱く感情を把握するための重要なステップです。顧客の感情を整理することで、顧客が体験する感情の変化や要因を把握し、顧客体験に影響を与える要素を特定することが可能です。これにより、感情の変化に合わせてサービスを改善したり、顧客の満足度向上に貢献する施策を検討することが可能となります。例えば、興味関心、幸福感、不安、イライラなど、顧客がどのような感情を抱くかを洞察します。

タッチポイントの設定

タッチポイントの設定はカスタマージャーニーマップにおいて、顧客と企業との接触ポイントを整理するための重要なステップです。顧客接点を特定し、その重要度を評価することで、顧客の体験に大きく影響するポイントを把握することができます。これにより、顧客体験の改善や顧客ロイヤリティの向上に向けた施策の検討が可能となります。

具体的には、ウェブサイト、店舗、カスタマーサポート、ソーシャルメディアなどが含まれます。

マッピング

「マッピング」の手順では、カスタマージャーニーマップを具体的な形で作成することによって、顧客の体験や行動を視覚的に理解しやすくします。これにより、顧客のニーズや課題を把握しやすくなり、改善の方向性や施策の立案に役立ちます。マップを通じて、チームや関係者が顧客の視点に立った共通認識を持つことができるようになり、顧客中心のアプローチを強化する助けとなります。

主なカスタマージャーニーマップの活用事例6選

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ここからはカスタマージャーニーマップの主な活用事例について6点ご紹介します

  • Spotify
  • Amazon
  • LANCOME
  • Starbucks
  • LEGO
  • IKEA

Spotify

音楽ストリーミングサービスのSpotifyでは、曲やプレイリストの共有機能を追加する際にカスタマージャーニーマップを活用しました。このマップは、Spotifyユーザーが曲を聴いてから友人に共有するまでのプロセスを可視化し、2人のユーザーがどのような考えや感情を持ち、どのようなタッチポイントを経験するかを明確に示しています。このマップを通じて、Spotifyはユーザーが音楽を共有する/される際に直面する問題やニーズを理解し、より使いやすいプラットフォームを提供することができました。

ペルソナ設計には、競合他社の分析やユーザーインタビューの調査結果を活用し、名前、年齢、居住地、職業といった基本情報だけでなく、性格や具体的な経歴、Spotifyの利用頻度やシーンなど、より詳細な情報を設定しています。これにより、カスタマージャーニーマップに具体性が増し、ユーザーのニーズや問題を把握することができました。

参照:7 Interesting Real Life Customer Journey Map Examples

Amazon

Amazonは、世界最大級のECサイトの1つであり、独自の技術やカスタムシステムを備えており、顧客を販売プロセスを通じて導くためのカスタマージャーニーマップを持っています。このマップは、最も複雑なものの1つであり、多くの人が読み解くのに数日かかるでしょう。

それでも、マップをいくつかのよりわかりやすいパーツに分割して分析できます。

ここでは、Amazonのカスタマー変換ファンネルを見ることができ、顧客旅行が自社製品によって有効になり、顧客エンゲージメントを最大化するように推進されていることがわかります。

特に興味深いのは、Amazonが各段階での成功指標を含めていることです。これらは、ほとんどのECサイトがモニタリングすべき成功指標であり、インプレッション、リーチ、CTR、リストへの追加、カートへの追加、購入支援、コンバージョン率、ROAS、レビュー、サブスクリプション、リピート購入率などが含まれます。カスタマージャーニーマップの演習を行う際には、成功をモニタリングするためにこれらの重要なメトリックを含めるようにしてください。

参照:7 Interesting Real Life Customer Journey Map Examples

LANCOME

化粧品ブランドの「LANCOME」が作成したカスタマージャーニーマップです。商品を知ってからGoogleで情報を検索し、商品を購入するまでがまとめられています。

ご覧のとおり、カスタマー ジャーニー マップは、さまざまな目標を達成するためにさまざまな方法で使用できるツールです。たとえば、LANCOME はブランド エクスペリエンス ジャーニー、つまり顧客がブランドに対して抱く経験のマップを作成しました。このような分析は、マーケティングおよびコミュニケーション戦略の作成に役立ちます。

商品についてピンタレストやFacebookのようなSNSで検索していることに加え、商品購入後にはシェアするまでを盛り込むなど、SNSの果たす役割も記載しています。 若い女性向けのブランドということもあり、友人との会話やネット上の口コミも接点の1つだと捉えているのが特徴的でしょう

参照:What is a Customer Journey Map? A Beginner’s Guide:

Starbucks

スターバックスでのカスタマージャーニーマップを紹介します。利用者のスターバックス来店前から退店までのカスタマージャーニーが描かれています。満足度を高める体験と、満足を阻害する体験が整理されている点がポイントです。

このマップは、デザイン制作会社であるLittle Springs Designによって作成されました。顧客がオフィスから店舗に訪れ、退店するまでの一連の行動と、その際の感情の変化をまとめています。注文時や席について食事をする時など店舗ならではの顧客体験についても解説しているので、飲食店を展開している方にとっても参考になるでしょう。

参照:Starbucks Experience Map

LEGO

この選択肢には、LEGOが自社のサービスに焦点を当て、ペルソナである「リチャード」という少年の表情を描いたカスタマージャーニーマップが含まれています。マップは、飛行機のフライトを例にとって、サービスの体験前、体験中、体験後の段階を説明するように設計されています。

参照:LEGO’s Building Block For Good Experiences

IKEA

家具量販店の「IKEA」のカスタマージャーニーマップです。 販売されている商品の存在を知り、商品を購入してから自宅で家具を組み立てるところまでの接点をまとめています。店内で商品を見ている時や休憩をとる時の感情なども細かくまとめられているので、店舗を運営している方は参考にしてみてください。

参照:SUNDAY REWIND: Finding Inspiration for Customer Journey Mapping

まとめ

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この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。

  • カスタマージャーニーマップは、顧客のニーズや体験を理解し、顧客満足度とビジネス成果を向上させるために企業に役立ちます。
  • カスタマージャーニーマップでは、縦軸に顧客の感情や満足度レベルの変化を表し、横軸に顧客のステップやタッチポイントを表します。
  • カスタマージャーニーマップを活用している企業には、Spotify、Amazon、Lancome、Starbucks、LEGO、IKEAなどがあります。

顧客向けのサービスの設計、開発、運用には、幅広い知識と経験を持ったエンジニアが必要です。そのため、専門企業に外注することをおすすめします。企業選びに迷われた場合は、株式会社エイチビーラボにご相談ください。

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