バーティカルSaaSのメリット・注意点・5つの導入サービスについて解説

2024年5月31日

はじめに

バーティカルSaaSとは、特定の業界や業種に特化したSaaSのことです。Verticalは「垂直」という意味で、ある業界にとって使いやすくなるように開発されたのが始まりです。

従来のSaaSは、幅広い業界で利用できるよう汎用性の高い機能が搭載されていますが、バーティカルSaaSは特定の業界のニーズに合わせて開発することで、専門的な業務を効率化することができます。

しかし、バーティカルSaaSは特定の業界に合わせた機能が開発されているため、あらゆる課題点も存在します。

本記事では、バーティカルSaaSの課題と導入一覧も合わせてご紹介していきます。

そもそもSaaSとは何か?

SaaS(Software as a Service)とは、ソフトウェアの機能をインターネットを介して提供するソフトウェアのことです。

SaaSはパソコンなどの端末にソフトウェアをインストールする必要がなく、クラウド上にログインするだけで利用できるのが特徴です。

従来のソフトウェアはパソコンなどのデバイスのみにインストールする必要があり、パソコン内に保存されるのが一般的でした。

一方、SaaSはインターネット経由で機能を使用することができ、場所を問わずに利用できます。

スマートフォンやタブレットなどの端末で利用できるSaaSサービスは多く、低コストで導入しやすいのがポイントです。

バーティカルSaaSとは

バーティカルSaaS(Vertical SaaS)とは、特定の業界や業種に特化したSaaSのことです。

バーティカルSaaSは、業界での作業や業務フローに合わせて設計されており、医療機関や建築業界などに提供されています。

例えば、建築業向けのバーティカルSaaSであれば、施行管理、見積書・請求書・顧客管理などの業務を効率化できる機能が備わっています。

そのため、特定の分野の市場にターゲットを当てやすく、競争が少なくなるのが特徴です。

バーティカルSaaSは、自社のニーズに合わせたサービスを提供することができ、業界に精通したサポートを受けることができます。

バーティカルSaaSとホリゾンタルSaaSとの違い

バーティカルSaasとホリゾンタルSaasとの違い

バーティカルSaaSは特定の業種に対応するサービスで、一方のホリゾンタルSaaS(Horizontal SaaS)というサービスが存在します。

ホリゾンタルSaaSとは、一つの業種に限らず、さまざまな業界や業種で使えるサービスです。

これまでの専門的な業種のみに絞ったバーティカルSaaSと異なり、顧客のニーズに適応するように設計されているため、市場規模が大きくなります。

市場規模はどちらもSaaSサービスの中で拡大している状況で、国内の企業にも今後浸透していくと期待できます。

バーティカルSaaSを活用する際のメリット

バーティカルSaaSは、特定の業界に向けられて作られているのであらゆるメリットが期待できます。

バーティカルSaaSはSaaS市場の中で比較的新しい市場で、競争が少なく参入しやすいのがポイントです。

ここでは、バーティカルSaaSのメリットについて解説します。

業務効率が向上する

バーティカルSaaSを導入するメリットの一つが、業務効率化につながる点です。

バーティカルSaaSは、特定の業界の課題に合わせて開発されているため、業務効率が改善されます。

例えば、建築業界では、建築図面や施行状況を社内メンバーと外出先でやり取りすることができます。

現場の情報をクラウド上で管理することができ、進捗状況や連絡事項をスムーズに管理することが可能です。

このようにバーティカルSaaSは、クラウド上で複数人とのデータ管理がシンプルになるので業務効率が向上するのがポイントです。

競争が少なく、市場に参入しやすい

バーティカルSaaSは、ホリゾンタルSaaSよりも競争が少なく市場参入しやすいという点です。

バーティカルSaaSは特定の業界に合わせて設計されているため、市場に焦点が当てやすくなります。

例えば、一般的な機能を備えた業務効率化ツールを開発している企業は多いですが、金融業界専用の業務効率化ツールを開発している企業は多くないケースがあります。

このように競合他社が少ない分、市場でシェアを狙いやすいのも大きなメリットです。

顧客との信頼関係が向上する

バーティカルSaaSは、特定の業界に合わせて開発されるシステムでユーザーの信頼関係が向上します。

バーティカルSaaSの市場規模は小さく、ほかのSaaSからの乗り換えも可能性が低いのが長所です。

SaaSのソフトウェアに関しては、幅広い業界の経験と知見を持った専門家によって開発されます

そのため、業界内にまだSaaSを導入していない企業をターゲットにすることで、業界内の課題を解決することにつながります。

バーティカルSaaSは、選択肢が少なく、サービスの専門性が高いため顧客満足度が向上するのがポイントです。

バーティカルSaaSを導入するデメリット

バーティカルSaaSは特定の業界に絞って市場に参入しやすい半面、デメリットが存在します。

バーティカルSaaSは専門の業界に特化しているサービスなため、選択肢が限られてしまいます。

自社の課題でSaaSの導入を検討している方は、機能が自社の課題にマッチしているかどうか確認することが大切です。

ここでは、バーティカルSaaSを導入するデメリットについて詳しく解説します。

サービスの選択肢が限られている

バーティカルSaaSのデメリットの一つが、サービスの選択肢が限られる点です。

バーティカルSaaSは従来のSaaSより市場が小さく、事業拡大が難しくなる可能性があります。

専門の業界では高いシェアを占めやすいですが、事業領域が狭まってしまうのが難点です。

自社にバーティカルSaaSを導入する場合は、何の業務の課題を解決したいのかをしっかり把握することが大切です。

提供元の会社の環境に左右される場合がある

バーティカルSaaSは導入企業数が少なく、サポート体制が整っていない場合があります。

なぜなら、バーティカルSaaSは特定の業種に特化したSaaSであり、他社製品への移行が困難になる可能性があるからです。

例えば、提供会社がメンテナンスしている間はSaaSが利用できなくなり、ソフトウェア上で管理しているデータにアクセスできないケースがあります。

そのため、ソフトウェアに不具合が起きた場合は、SaaSが使用できないため、代替手段を検討することが大切です。

バーティカルSaaSはデータを複数人で同時に共有しやすい半面、環境の依存度が高いのがデメリットです。

セキュリティリスクがある

バーティカルSaaSは時間と場所に左右されず情報を管理できる半面、セキュリティリスクが上がってしまう点です。

バーティカルSaaSはデータがクラウド上に保存されるため、不正アクセスや情報漏洩などの被害に遭う可能性があります。

特に機密情報を扱う場合は、情報が漏れたことが原因でサービスを不正に利用される危険性があります。

社外秘などを取り扱う際は、従業員全体でセキュリティ教育を実施することがおすすめです。

バーティカルSaaSの導入一覧を5つ紹介

バーティカルSaaSは小売業や建築業などあらゆる業界に導入されており、特定の業務をサポートしています。

バーティカルSaaSが企業でどのような役割で活用されているか気になる方は多いです。

バーティカルSaaSは特定の業界に合わせて作られていて、業務改善にもつながっています。

ここでは、バーティカルSaaSの導入一覧について詳しく解説します。

スマレジ

スマレジとは、飲食業や小売業などの実店舗型に特化したバーティカルSaaSです。

スマレジには、POSレジの機能が利用でき、在庫管理や売上分析・顧客管理などさまざまな機能が搭載されているのが特徴です。

そのため、売上データがクラウド上で保存され、リアルタイムで店舗の売上状況をその場で確認することができます。

他にもソフトウェアに不具合が起こったときの365日電話サポートや、フリーズなどの不具合が起こった場合に復元できるリジュ―ム機能が搭載されています。

スマレジは導入コストが低く、操作性がシンプルなため、店舗側と顧客側にも扱いやすいのが大きなメリットです。

SPIDERPLUS

Spiderplus

SPIDERPLUSとは、建築業やメンテナンス業の業務効率化に特化したバーティカルSaaSアプリです。

これまで1,500社以上の導入実績があり、1ヵ月あたり数十時間の作業時間短縮に成功した事例があります。

SPIDERPLUSは現場での情報共有や進捗状況などの情報をタブレットで一元管理できるのが特徴です。

現場に関わる情報をいつでもどこでも確認できるので、社内のコミュニケーションがスムーズになります。

他にも検査機器との連携ができ、点検黒板の持ち運びが不要になり、労働時間の削減にもつながります。

Ubie

Ubie

Ubieとは、タブレットで問診を行う医療業界向けのバーティカルSaaSです。

UbieはAIを用いて患者さんの症状を解析し、必要な機能を自動的に生成します。

患者さんがタブレットに表示された質問に返答すると、問診表が出来あがり、パソコンの画面で確認できます。

このツールは、AIで約5万本の医学論文と医療機関からのデータを元に学習しているため、精度が高いのが特徴です。

問診結果はカルテに自動的に出力されるため、カルテの作成時間が大幅に削減されます。

Ubieはこれまでの電子カルテの転記作業がなくなり、労働者の負担を減らすことにつながります。

KSAS

Ksas

KSASとは、農業領域の老舗企業「クボタ」の開発したバーティカルSaaSシステムです。

KSASでは、栽培履歴や田植えを行う圃場などの面積などを地図上で記録することができます。

その上、圃場や作付などのデータを記録することで、農業経営の状況を把握することができます。

また、作物や作業の情報を自動で分析することができ、農作物の品質改善を目指しやすいのがポイントです。

KSASは自動で機械の作業の記録や肥料の散布量の設定が行えるので作業効率化につながります。

ANDPAD

Andpad

ANDPADとは、株式会社アンドパッドが提供するクラウド型施行管理システムです。

ANDPADは、現場から施行計画の作成や現場の案件情報などを一元管理できるのが特徴です。

そのため、現場にいるときにタブレットで常に写真や工程表を共有でき、進捗管理もスムーズになります。

また、自社に導入したときのサポートに対応しており、アプリの操作方法などを受けられるのでITツールに慣れていない方に安心して受けられます。

このように、ANDPADは施行管理から受発注業務などの幅広い業務を効率化できるのが大きなメリットです。

バーティカルSaaSを導入する際の注意点

バーティカルSaaSとは、特定の業界に合わせた機能で業務効率が向上する効果があります。しかしその半面、導入目的や運用体制において注意点があります。

それは、バーティカルSaaSを導入する前にどのような課題を解決したいかを明確にすることが大切です。

ここでは、バーティカルSaaSを導入する上での注意点についてご紹介します。

自社の導入目的を明確にする

バーティカルSaaSを自社に導入する前に、導入目的を明確にすることが重要です。

バーティカルSaaSを導入する前に自社で何の業務を効率化したいのかなど目的を明確にさせる必要があります。

目的も決めずにSaaSを導入してしまうと、導入後にかえって操作性が複雑で業務が煩雑になってしまう可能性があります。

そのため、バーティカルSaaSを導入する前には社内の課題を洗い出すことが大切です。

導入後の運用体制を整備する

バーティカルSaaSを導入した後は、自社内で運用体制を整備することが必要です。

SaaSの導入した際は、社内でマニュアル作成やメンテナンスなど非常に多くの作業が発生します。

また、導入した際には、従業員にシステムの操作方法などを教える機会が増えます。

そのため、導入までには担当者や専門のシステム担当にするか兼業にするかなどであらかじめルールを決めておくことが大切です。

まとめ

本記事では、バーティカルSaaSの課題と導入一覧についてご紹介していきました。

バーティカルSaaSとは、特定の業界・業種で必要とされている機能に特化しているため、SaaSでは対応できない業務を効率化することができます。

SaaSは、端末にインストールする必要がなく、契約した時点で使用できるので導入時の負担が少なく済むのが大きなメリットです。

しかし、バーティカルSaaSを選ぶ際は、自社の状況に合わせたソフトウェアを選ぶ必要があります。

バーティカルSaaSを導入を成功する際は、必要な機能や予算など導入前にしっかりと運用体制を整備することが大切です。

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