AIエージェントとエージェンティックAIの違いとは?役割・特徴・ユースケース6選を整理

2026年1月26日
2026年1月26日
AIエージェントとエージェンティックAI

はじめに

AIエージェントとエージェンティックAIは、近年のAI活用において頻繁に登場する用語ですが、その違いや関係性が分かりにくいと感じる人も多いはずです。どちらも業務自動化や効率化を支える重要な概念である一方、担う役割や設計レイヤーは大きく異なります。AIエージェントは個別のタスク実行を担う存在であり、エージェンティックAIは複数の要素を組み合わせて目標達成を目指す仕組みです。

本記事では、両者の役割や特徴を整理し、違いを明確にしたうえで、業務別ユースケースを通じた使い分けの考え方を解説します。AI導入や設計を検討する際の判断材料として役立つ内容をまとめます。

AIエージェントとは

AIエージェントとは、特定の目的やタスクを実行するために設計されたAIの実行主体を指します。ユーザーや上位システムから与えられた指示をもとに、情報収集、判断、アクションを一連の流れとしておこなう点が特徴です。単なる文章生成や応答にとどまらず、外部ツールAPIを利用して処理を進められる点が、従来の生成AIとの違いといえます。

AIエージェントは、業務の一工程や一機能を担う存在として活用されることが多く、役割や行動範囲はあらかじめ定義されます。たとえば、情報検索を専門におこなうエージェントや、入力内容を整理して処理結果を返すエージェントなど、用途ごとに分けて設計されます。このように役割を限定することで、動作の予測性や安定性を高められます。

一方で、AIエージェントの自律性は限定的です。基本的には与えられた指示や条件に基づいて動作し、長期的な目標設定や全体最適の判断までは担いません。そのため、単体で複雑な業務全体を管理するよりも、定型的な作業や部分的な自動化に向いています。AIエージェントは、業務効率化を支える実行単位として、実務に取り入れやすい存在です。

エージェンティックAIとは

エージェンティックAIとは、単一のAI機能に依存するのではなく、目標達成を起点としてAI全体の振る舞いを設計する考え方やシステム構造を指します。個々の処理を単発で実行するのではなく、計画、判断、実行、振り返りといった流れを自律的に回しながら、継続的にタスクを進める点が特徴です。AIエージェントは構成要素の一つであり、エージェンティックAIはそれらを統合する上位概念といえます。

エージェンティックAIでは、最初に達成すべき目標を設定し、その目標に向けてどの行動を取るかをAI自身が判断します。必要に応じて外部ツール複数のエージェントを使い分け、状況に応じた意思決定をおこないます。途中で得られた結果を評価し、次の行動に反映させる仕組みを持つため、長期的な処理や複雑な業務にも対応しやすくなります。

このような特性から、エージェンティックAIは業務全体の自動化や最適化を目的とした設計に向いています。単なる作業効率化にとどまらず、業務プロセスそのものを見直すきっかけとなる存在として、今後のAI活用において重要な役割を担うと考えられます。

エージェンティックAIAIエージェントの関係性

エージェンティックAIとAIエージェントは、しばしば同じ意味で使われることがありますが、正確には役割と概念のレイヤーが異なります。両者の関係性を理解することは、AI活用の設計を考えるうえで重要です。AIエージェントは具体的な動作主体であり、エージェンティックAIはそれらを組み合わせて目標達成を目指す設計思想や仕組みを指します。

ここでは、それぞれの特徴を整理しながら、両者がどんな関係にあるのかを明確にします。

AIエージェントの特徴

AIエージェントの特徴は、明確に定義された役割をもとにタスクを実行する点にあります。ユーザーや上位システムから与えられた指示に従い、情報収集、判断、アクションをおこなう存在として機能します。処理範囲や権限は事前に決められていることが多く、動作の予測性や再現性を重視した設計がなされます。

そのため、AIエージェントは定型業務や部分的な自動化に向いています。特定の処理を安定して繰り返すことが得意であり、業務フローの一部を置き換える形で導入しやすい点が特徴です。一方で、長期的な目標設定や複数タスクの統合的な判断は担わないケースが一般的です。AIエージェントは、実行単位としての役割を果たします。

エージェンティックAIの特徴

エージェンティックAIの特徴は、目標を起点にAI全体の行動を設計する点にあります。単一のタスク実行ではなく、達成すべき目標に向けて計画を立て、必要な行動を選択し、結果を評価しながら処理を進めます。この過程で、複数のAIエージェントや外部ツールを使い分けることが前提となります。

エージェンティックAIは、個々のAIエージェントを統合し、業務全体を俯瞰した判断を可能にします。途中経過を踏まえて次の行動を修正できるため、複雑な業務や長期的な処理にも対応しやすくなります。AIエージェントが部品であるのに対し、エージェンティックAIはそれらを組み合わせて機能させる枠組みといえます。

AIエージェントとエージェンティックAIの違い

AIエージェント エージェンティックAI
概念の位置づけ 実行主体・機能単位 設計思想・システム全体
主な役割 特定タスクの実行 目標達成に向けた全体制御
行動の起点 ユーザーや上位からの指示 事前に設定された目標
自律性 限定的 高い
判断範囲 タスク単位 業務全体・長期的判断
構成 単体で動作することが多い 複数エージェントやツールを統合
得意な処理 定型作業・部分的自動化 複雑業務・プロセス全体の最適化
他要素との関係 上位構造に組み込まれる AIエージェントを内包する
利用イメージ 業務の一工程を置き換える 業務全体を自律的に回す

エージェンティックAIとAIエージェントの違いは、役割の粒度と設計の視点にあります。AIエージェントは、特定のタスクを実行するための実行主体として位置づけられます。指示や条件を受け取り、情報収集や処理、アクションをおこなう役割を担い、動作範囲や権限はあらかじめ定義されることが一般的です。そのため、定型的な業務や部分的な自動化に適しています。

一方、エージェンティックAIは、目標達成を前提にAI全体の振る舞いを設計する考え方やシステム構造を指します。単一の処理にとどまらず、計画、判断、実行、評価を継続的に回しながら業務を進めます。この過程で、複数のAIエージェントや外部ツールを組み合わせ、状況に応じて使い分けます。個々のAIエージェントは構成要素の一つに過ぎません。

このように、AIエージェントは実行単位としての役割を担い、エージェンティックAIはそれらを統合して全体最適を目指す枠組みです。両者は対立する概念ではなく、目的や業務の複雑さに応じて使い分けることで、AI活用の効果を高められます。

業務別ユースケースにおけるエージェンティックAIAIエージェント

業務別に見ると、エージェンティックAIAIエージェント適した活用場面が異なります。どちらが優れているかではなく、業務の性質や自動化の範囲に応じて使い分けることが重要です。

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バックオフィス業務における活用

バックオフィス業務では、経理、人事、総務などを中心に、定型的で繰り返し発生する作業が多く存在します。この領域では、業務の一部を切り出して自動化しやすいため、AIエージェントの活用が効果的です。たとえば、請求書データの整理、勤怠情報の集計、社内申請内容のチェックなどは、あらかじめ定義されたルールに従って処理を進められるため、AIエージェントによる置き換えが進めやすい業務といえます。

一方、月次決算や人員計画の見直しなど、複数の作業が連動し、全体を俯瞰した判断が求められる業務では、エージェンティックAIの考え方が有効になります。業務全体の目標を設定したうえで、必要なデータ収集、処理、確認を段階的に進め、結果を踏まえて次の行動を調整する流れを自律的に回せるためです。バックオフィス全体の効率化を目指す場合には、AIエージェントによる部分最適と、エージェンティックAIによる全体最適を組み合わせる視点が重要になります。

情報収集・分析業務における活用

情報収集や分析業務では、目的や状況に応じて調査範囲や手法が変わるため、柔軟な判断が求められます。この分野では、特定の情報源からデータを取得したり、定型フォーマットでまとめたりする作業にAIエージェントが活用されます。決められた条件で情報を集める処理は自動化しやすく、作業時間の短縮につながります。

一方で、市場動向の把握や競合分析のように、調査結果を踏まえて追加調査や視点の切り替えが必要な業務では、エージェンティックAIが力を発揮します。最初に調査目的を設定し、その目的に沿って情報源を選定し、得られた結果を評価したうえで次の行動を決めるといった一連の流れを自律的に進められるためです。情報収集と分析を分断せず、意思決定までを含めて支援できる点が特徴です。業務の単純化にはAIエージェント、判断を含む分析業務にはエージェンティックAIという使い分けが、実務では有効です。

カスタマーサポート・問い合わせ対応

カスタマーサポート領域では、問い合わせ内容の分類や定型回答の提示など、ルール化しやすい業務が多く存在します。このような一次対応には、AIエージェントの活用が効果的です。よくある質問への回答や手続き案内などは、あらかじめ定義されたフローに従って処理を進められるため、対応スピードの向上や担当者の負担軽減につながります。

一方、問い合わせ内容が多様化し、対応方針の判断や改善が求められる場面では、エージェンティックAIの考え方が有効になります。顧客の過去履歴や対応結果を踏まえながら、どの情報を提示するか、どの段階で人に引き継ぐかを判断し、全体の対応プロセスを最適化するためです。単なる自動応答にとどまらず、運用改善や対応品質の向上まで含めて支援できる点が特徴です。問い合わせ対応を部分最適から全体最適へと引き上げる際に、エージェンティックAIは重要な役割を果たします。

営業・マーケティング業務での活用

営業やマーケティング業務では、情報整理や顧客対応など、個別作業の効率化が求められる場面が多くあります。リード情報の整理やメール配信、レポート作成などは、AIエージェントによる自動化が進めやすい領域です。定型業務をAIに任せることで、担当者は顧客とのコミュニケーションや戦略立案に集中できます。

一方で、施策全体の設計や改善を含む業務では、エージェンティックAIの視点が重要になります。目標とする成果を設定し、その達成に向けてどの施策を実行するかを判断し、結果を分析して次のアクションにつなげる流れを自律的に回せるためです。営業やマーケティングは状況変化が激しい分野であり、単発の自動化ではなく、継続的な最適化が求められます。この点で、エージェンティックAIは業務全体を支援する仕組みとして有効です。

IT運用・システム管理業務

IT運用やシステム管理業務では、監視、ログ確認、障害対応など、日常的に発生する定型作業が多く存在します。この分野では、決められた条件に基づいて処理をおこなえるため、AIエージェントの活用が進めやすい傾向があります。たとえば、システムの状態監視やアラート通知、簡易的な障害切り分けなどは、ルールに従って安定した対応が可能です。

一方で、複数システムが連動する環境や、障害の影響範囲を踏まえた判断が必要な場面では、エージェンティックAIの考え方が有効になります。目標とする稼働状態を前提に、どのログを確認し、どの対応を優先すべきかを判断しながら処理を進められるためです。対応結果を評価し、次の運用改善につなげる仕組みを組み込むことで、運用全体の品質向上にも寄与します。IT運用では、部分的な自動化と全体最適の両立が重要です。

研究開発・専門業務への応用

研究開発や医療、創薬などの専門領域では、扱う情報が高度かつ複雑であり、単純な自動化では対応しきれない場面が多くあります。この分野では、特定の処理を補助する役割としてAIエージェントが活用されます。文献検索やデータ整理、実験結果の初期分析など、作業単位で切り出せる業務は効率化しやすい領域です。

一方、研究テーマの検討や仮説検証、結果の解釈といった工程を含む場合には、エージェンティックAIの設計が力を発揮します。研究全体の目的を起点に、必要な情報収集や解析を段階的に進め、得られた結果をもとに次の行動を判断できるためです。専門家の判断を補完しながら研究プロセス全体を支援できる点は、エージェンティックAIならではの強みといえます。高度な業務ほど、全体を俯瞰する設計が重要になります。

まとめ

AIエージェントとエージェンティックAIは、名称が似ているものの、役割や設計レイヤーが異なる概念です。AIエージェントは特定のタスクを実行する実行主体であり、業務の一部を効率化する手段として活用されます。

一方、エージェンティックAIは目標達成を前提にAI全体の振る舞いを設計する枠組みで、複数のエージェントやツールを組み合わせながら業務プロセス全体を自律的に回します。両者は対立する存在ではなく、業務の複雑さや自動化の範囲に応じて使い分けることが重要です。部分的な改善から始める場合はAIエージェント、全体最適を目指す場合はエージェンティックAIという視点で整理することで、AI導入の効果を最大化しやすくなります。

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