金融DXとは?金融業界の未来を拓くデジタルトランスフォーメーション

2023年5月30日

金融業界にとって、デジタルトランスフォーメーションは避けて通れない道となっています。その一つが、金融DXです。

この記事では、金融DXの概要やメリット、課題、成功事例について解説しています。金融業界の未来を拓く金融DXについて、ぜひ読み進めてみてください。

金融DXとは

金融DXとは、金融業界においてデジタル技術を活用することで、顧客サービスや業務プロセスの改善、効率化を図る取り組みのことを指します。DXとはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略であり、既存のビジネスモデルやプロセスをデジタル技術によって変革することです。

金融DXにおいては、顧客がインターネットやスマートフォンを活用して取引やサービスを利用することが増えており、そのニーズに応えるために金融機関はデジタル技術を導入しています。たとえば、オンラインバンキングやモバイル決済などのサービスがその一例です。また、AIやロボティクス、ブロックチェーン技術なども金融DXにおいて注目されており、業務の自動化や効率化、セキュリティの向上などに役立っています。

金融DXは、金融機関だけでなく、顧客にとっても利便性や使いやすさが向上することで、社会的にも大きな影響を与える取り組みです。

金融DXがもたらすメリットとは

金融DXがもたらすメリットには以下が挙げられます。

  • 顧客ニーズへの対応
  • 生産性の向上
  • イノベーションの推進

顧客ニーズへの対応

金融DXにおける「顧客ニーズへの対応」は、顧客満足度の向上や新規ビジネスの創出が期待できます。また、顧客ニーズを正確に把握することで、顧客の利用継続率を高めることが可能です。利用継続率が高いと競合他社への乗り換えを防ぐことができ、長期的なビジネスの安定性を確保することができます。

金融DXにおいては、ビッグデータ分析やAIを活用することで、顧客のニーズを把握することも可能です。たとえば、銀行の顧客の場合、ATMやネットバンキングを利用することで、どのような取引を行っているのか、いつどのような頻度で利用しているのか、などの情報が蓄積されます。この蓄積されたデータを分析することで、顧客の好みやニーズを把握し、それに合わせた最適なサービスを提供することが可能です。銀行口座を開設した顧客に対して、自動車ローンや住宅ローンの案内を送付することで、顧客への提案力を高めるのもその一例です。

生産性の向上

金融DXによって、業務プロセスの自動化が進むことで、従業員の生産性向上が期待されます。たとえば、AIによって行われる顧客サポートや自動化された業務プロセスによって、従業員が行うべき煩雑な業務から解放され、より高度な業務に集中することが可能です。

また、金融DXによって、従業員の労働環境が改善されることで、生産性向上が期待されます。たとえば、在宅勤務の導入によって、従業員の通勤時間が短縮され、より効率的な働き方が可能になると考えられます。

イノベーションの推進

金融DXによって、新たなビジネスモデルやサービスが生まれ、イノベーションが推進されます。たとえば、ブロックチェーン技術を活用した新しい決済システムや、AIを活用した顧客サポートなどが挙げられます。イノベーションによって、金融業界における収益性が向上することが期待されます。

金融DXの課題

金融DXを推進するためにはいくつかの壁が存在します。ここでは主な課題を3点紹介します。

  • セキュリティの確保
  • デジタル人材の不足と教育
  • 顧客とのコミュニケーション

セキュリティの確保

金融DXを推進する上で最も重要な課題は、セキュリティの確保です。金融業界は、顧客情報や取引データなどの重要な情報を扱っているため、サイバー攻撃や不正アクセスからの保護が必要です。

金融DXによって、運用するシステムの規模や複雑度が増すことから、セキュリティリスクが高まる傾向にあります。このため、金融機関は、情報セキュリティに対する投資を強化する必要があります。具体的には、セキュリティの専門家を採用し、セキュリティ対策のための予算を確保するなどの対策が必要です。

デジタル人材の不足と教育

金融DXを推進するためには、デジタル人材の育成が必要です。金融業界は、デジタル技術の導入が進むことで、これまでの業務プロセスが大きく変化することが予想されます。そのため、従来の業務プロセスに慣れ親しんでいる従業員にとっては、新しいスキルや知識を習得する必要があります。

しかし、デジタル人材の不足が課題となっています。特に、AIやブロックチェーンなどの最新の技術に関する知識を持つ人材が不足していることが問題視されています。このため、金融機関は、デジタル人材の育成に注力する必要があります。

具体的には、社員に対するデジタル技術のトレーニングや、外部の専門家を招いたセミナーの開催などが挙げられるでしょう。また、デジタル人材の育成には、若手社員の積極的な登用も必要です。若手社員は、新しい技術に関する知識を持っていることが多く、デジタル化への取り組みを促進することが期待されます。

顧客とのコミュニケーション

金融DXにおいては、技術の進化に伴い、顧客とのコミュニケーションも変化しています。たとえば、AIを活用したチャットボットを導入することで、顧客からの問い合わせに迅速に対応することができます。また、ビッグデータに基づく顧客分析を行うことで、顧客の好みやニーズを把握し、それに合わせた最適なサービスを提供することができます。

しかし、顧客とのコミュニケーションには課題もあります。たとえば、金融業界においては、個人情報の取扱いに関する法律があり、顧客情報を適切に管理することが求められます。また、金融商品の契約には、曖昧な表現や専門用語が多く含まれることがあり、顧客が理解しづらいという課題もあるでしょう。

このため、金融機関は、より分かりやすい商品案内や、適切な情報管理に取り組む必要があります。また、顧客とのコミュニケーションには、人間同士の対話が必要な場合もあります。金融機関は、チャットボットなどの自動応答システムと、人間のオペレーターを組み合わせることで、顧客からの問い合わせに適切かつ迅速に対応することが求められます。

金融DXの成功事例

ここでは、金融DXの成功事例を3つ紹介します。

  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ
  • リコーリース
  • SOMPOホールディングス

三菱UFJフィナンシャル・グループ

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、金融DXの分野において多くの成功事例を持っています。

例えば、MUFGは、2018年に導入したAIを活用した自動審査システムにより、約15分で住宅ローンの事前審査を行うことができるようになりました。これにより、審査時間の短縮と効率化が実現され、借り手にとってもスムーズな融資が可能になりました。

参考:住宅ローン事前審査、AIが15分で判定 三菱UFJ銀|日本経済新聞

また、MUFGは、顧客のニーズに合わせたデジタルサービスの提供にも力を入れています。例えば、モバイルアプリ「三菱UFJ銀行」をリリースし、スマートフォンから簡単に決済ができるようになりました。手数料が無料で振込ができるようになっています。

さらにMUFGは「MUFG API」と呼ばれるAPIを提供しています。MUFG APIを利用することで、MUFGの金融サービスにアクセスすることができます。これにより開発者や企業がMUFGのサービスを利用して、独自のアプリケーションやサービスを開発することができるようになりました。

参考:Innovation Hub|MUFG

リコーリース

リコーリース株式会社は2021年に経済産業省が推進する「DX銘柄」の「DX注目企業」に選出されました。同社は、「審査業務効率化」と「早期資金化サービス「RiLTA」(リルタ)」の2点が評価されました。

審査業務効率化に関しては、リコーリース株式会社と株式会社リコーが共同で「AI技術を活用した与信モデル」を開発し、リース事業における審査業務の効率化を実現しました。同社は、約40万社の中小企業情報と豊富な業務ノウハウにより蓄積されたAI学習データを活用し、既存の審査システムとAI技術を組み合わせることで、適正かつ迅速な与信判断を実現しました。なお、AI技術を活用した与信モデルは、リース業界では国内初の取り組みとなります。

早期資金化サービス「RiLTA」(リルタ)に関しては、同社が導入企業の従業員が勤務した分の給与の一部を、給与日を待たずして資金化(前払い)できるサービスを開始しました。従業員は、スマートフォンで前払いの申請を完了できます。導入企業は、振り込み作業を省略できるなど、運用管理において業務の効率化を図ることに加え、従業員の多様な資金ニーズにも応えることができます。

参考:「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄 2021」の「DX 注目企業」に選定|リコーリース

SOMPOホールディングス

2021年、SOMPOホールディングスは経済産業省が推進する「DX銘柄」の「DX注目企業」に選出されました。同社は、保険事業を基盤として、モビリティやヘルスケア、ソフトウェアプラットフォームなど幅広い領域において、AIやビッグデータなどの先端デジタル技術の活用を進めつつ、既存事業の枠にとらわれない将来を見据えた取り組みも行ってきました。

SOMPOホールディングスは、リアルデータプラットフォーム(RDP)の構築に取り組んでおり、社会課題解決への貢献とともに、中長期的な利益成長を目指しています。同社は、SOMPOグループ内外の多種多様なリアルデータと、パートナー企業が保有するテクノロジーを強みに、新たな顧客価値の創出を目指しています。

また、SOMPOは、国内損保事業から得られるデータやOne Concern社の被害予測シミュレーションを活用した防災・減災×RDPによって、企業・自治体向けに最適なソリューションを提供し、ニューノーマル下の防災・減災に貢献することを取り組んできました。

参考:DXの取組みに積極的な企業として「DX注目企業2021」に選定|SOMPOホールディングス

まとめ

Electronicinvoicesystem5

この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。

  • 金融DXによって、業務プロセスの自動化が進むことで、従業員の生産性向上が期待される。また、イノベーションが推進され、金融業界における収益性が向上し成長が期待される。
  • 金融DXを推進するためには、セキュリティの確保、デジタル人材の不足と教育、顧客とのコミュニケーションなどの課題がある。

金融業界におけるDXに必要なシステムやアプリケーションの設計、開発、運用には、幅広い知識と経験を持ったエンジニアが必要です。そのため、専門企業に外注することをおすすめします。企業選びに迷われた場合は、株式会社エイチビーラボにご相談ください。

株式会社エイチビーラボでは、ベトナムに特化したオフショア開発サービスを提供しております。金融業界のDXを推進するために、専門的な知見や経験を持ったエンジニアが在籍しています。金融業界のDXにお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。ご相談から開発、運用まで親身にサポートいたします。

人気の投稿

著者

株式会社HBLAB
株式会社HBLAB
HBLABは、顧客満足度の高いサービスを提供し、IT業界全般、特にオフショアに関する情報を参考することで最適な意思決定に役に立つことを目指しています。経験豊富なアドバイザーによる意見やコンサルティングを含む高品質なブログ記事を配信しています。

お問い合わせ

個人情報の取扱いに関する確認事項を必ずお読みの上、お問い合わせ下さい。は必須入力項目です。

Scroll to Top