はじめに
近年ではAndroidアプリ開発に力を入れている企業やエンジニアが増えており、その中でJavaとKotlinが注目されています。そもそもKotlinとは、GoogleがAndroidアプリ開発でアプリ開発の公式言語として採用したプログラミング言語です。
Webアプリケーション開発とモバイルアプリ開発ではこのKotlinとJavaが挙げられ、アプリケーション開発の中では汎用性が高いといわれています。しかし、KotlinとJavaは特化している機能が異なっていて、プロジェクトの目的に合わせて選ぶことが大切です。
JavaとKotlinはプラットフォームの互換性やメモリの消費量・コードの文法の書き方などが異なります。自社でアプリを開発する際、二つの言語の特徴とデメリットを把握する必要があります。特にITエンジニアを目指している方や新たなキャリア選択を行うときにどの言語を選べばいいのか気になる方は多いはずです。
そこで、今回はKotlinの特徴とJavaとの違いについて徹底的に解説していきます。本記事では、Kotlinを選ぶ理由とJavaとの違いのポイントについて詳しくご紹介していきます。
Javaについて
Javaとは、1995年にSun Microsystems(サン マイクロシステムズ)社が開発したプログラミング言語です。Javaは数あるプログラミング言語の中でも歴史があり、現代の日本で開発され続けています。Javaの機能は複数人で開発する際も作業効率がよく、プラットフォームにとらわれずアプリケーションを開発できます。
なぜなら、Javaはオブジェクト指向として設計されており、ソースコードの再利用や機能追加などを簡単に行うことができるからです。オブジェクト指向の概念を用いることで、複雑なシステムをより管理しやすくし、開発効率を向上させることができます。
また、Javaはガベージコレクション機能に特化しており、自動的にメモリ管理を行い、メモリリークを解放することができます。ガベージコレクションは使用しなくなったメモリを自動で消してもらえることができ、動作を軽減させるのが特徴です。
この機能により、開発者は手動でメモリを解放する必要がなくなり、プログラムの開発が容易になります。これらの機能からJavaはビジネスにも活用されており、基幹システムやスマホアプリ開発などの開発で利用されています。
このようにJavaは汎用性が高く、プログラミングの主要言語の中でもかなりの処理速度も高いのがポイントです。
Kotlinについて
ソースコードがこれらの書き方であれば、アプリケーションの改修やバグが発生するリスクを減らせるのがポイントです。また、Kotlinは安全性が高く、例外エラーが発生しにくい設計となっています。例えば、Kotlinでアプリケーション開発をするとき、Javaで陥りがちな「NullPointerException」を防ぐ仕組みがあります。
NullPointerExceptionは本来、Null参照で起きるエラーで、プログラム実行時にシステム障害を発生させる恐れがあります。そこで、Kotlinであれば、Null値を参照しようとしたときに「Null安全性」と呼ばれる機能でコマンドプロンプトエラーを出力し、システム障害を未然に防ぐことが可能です。
これらの機能からKotlinでは、古いJavaコードをそのまま利用することができ、安全性を損なうことなくシステム全体の改善が図れます。記述量の少なさから短期間でアプリケーションをリリースしやすいので、素早く市場参入したいケースに向いています。特に大規模なアプリケーション開発やチーム開発に向いているのがポイントです。
JavaとKotlinの基本的な違い
特徴 |
Java |
Kotlin |
文法の簡潔さ | 冗長な文法で、型を指定する必要がある。 | 型推論が可能で、よりシンプルな文法で記述できる |
Null安全性 | NullPointerExceptionが発生しやすい。 | Null安全性が組み込まれており、デフォルトでNull不可能。 |
セミコロン | 各文の末尾にセミコロンが必要。 | セミコロンは省略可能。 |
作れるもの | Webアプリケーション、基幹システム、Androidアプリ・IoTなど | サーバーサイドの開発、Androidアプリ |
ソースコード | Kotlinよりもコードの行数が多い | Javaよりコード文がシンプルになる |
サポート |
豊富なドキュメントやチュートリアルが多い | 日本語情報は少ないが、Googleからのサポートが受けられる |
KotlinとJavaの機能を比較すると、パフォーマンスや互換性などといったいくつかの違いがあります。まずJavaにはライブラリとフレームワークがあり、OracleやSpringなどのプログラムに対応していて大規模なアプリケーション開発に使用されています。
Javaのライブラリは、必要な機能をゼロから実装する代わりに、準備されたコードを活用できるのが特徴です。アプリケーション開発でよく利用する機能を1から作る必要がなくなり、開発工数の時間を節約できます。
一方、Kotlinはデータクラスや拡張関数などの豊富な機能を持っているため、アプリ開発において生産性が向上します。特にAndroidアプリ開発では、Kotlinを使用することで短時間でアプリを完成させることが可能です。
Javaは従来の機能から多くのプロジェクトで使用されていますが、コーディングルールが複雑であるため、開発速度はKotlinよりも遅くなる傾向があります。このようにKotlinは簡潔さやNull安全性に優れており、新しいAndroidプロジェクトには特に適しています。
KotlinとJavaはそれぞれ異なる強みを持っているため、開発目的に合った言語を使い分けることが大切です。
開発できるアプリ
Kotlinは、コードの簡潔さからさまざまな種類のアプリケーション開発に活用されています。例えば、Androidアプリケーションやサーバーサイドアプリケーションなどといった開発がその一つです。Kotlinはサーバーサイドアプリケーションにも対応していて、Java仮想マシン(JVM)上で動作するため、既存のJavaからKotlinによる開発に移行するプロジェクトが増えています。
海外企業ではUberやEvernoteなどが使用されていて、日本企業ではYahooニュースやLINEなどが取り入れられています。サーバーサイド開発はKotlinとの相性が良く、シンプルなコード量で開発効率が上がりやすくなるのがポイントです。
また、Webアプリケーション開発に最も適しているのが一つです。Webアプリケーション開発はかつて、現場でJavaが最も使用されていましたが、近年はKotlinで開発する現場が増えてきました。
KotlinはJavaの後継言語といわれていて、Javaよりも互換性が高く開発できます。KotlinはNull参照が起きたとき、コンパイルができないように設計されているのでスピーディーな開発が可能です。このようにKotlinはJavaよりもシンプルで、多方面でのWebアプリケーション開発で活用が広がっています。
Googleからのサポートが充実している
KotlinはAndroidアプリの公式言語として採用したことで、Googleからのサポートが充実しています。KotlinはGoogleがAndroidアプリ開発の公式言語としてKotlinを採用して以来、そのサポート体制は強化されており、多くの学習リソースやドキュメントが提供されています。
Kotlinの公式サポートは、Googleが2017年にAndroid開発向けにKotlinを正式に採用したことがきっかけです。例えば、豊富な公式ドキュメントが用意されており、変数やパッケージの定義の使い方などが記述されています。文法はJavaよりもシンプルに設計されていて、学習教材が多く、習得しやすいのが特徴です。
他にもAndroidアプリ開発でKotlinエンジニアを目指す方にAndroid Studio3.2のLintサポートやオンライン学習コースなどを提供しています。これらのリソースは、初心者から上級者まで幅広いレベルに合わせて学習できるのがポイントです。
これらの特徴から、Kotlinのサポート体制は非常に充実しており、特にAndroidアプリ開発者にとっては大きな利点となっています。
Javaと比べてコードの安全性が高い
KotlinはJavaと比較すると、コードのNull安全性に優れている点が挙げられます。Kotlinでは、NullPointerException(NPE)の発生を防ぎ、コンパイル時にエラーを検出することが可能です。この設計は、変数やオブジェクトにnull値を設定することがデフォルトで許可されておらず、nullを許容する場合は明示的に型の後ろに「?」を付ける必要があります。
一方、Javaは冗長なコードが多く、特に複雑な処理を行う際にはエラーが発生しやすくなります。なぜなら、Javaは静的型付けの言語であり、すべての変数やメソッドの型を明示的に宣言する必要があるからです。アプリ開発の規模が大きくなると、コード文が複雑になり、エラー修正に時間がかかってしまうケースがあります。
そこで、KotlinではNull安全が実装されていて、コード記述のNull参照によるエラーを未然に防ぐことが可能です。コードの構文はシンプルであり、設計段階から安全性を重視しており、多くのエラーを事前に防ぐ仕組みが整っています。
そのため、Kotlinはこの高い安全性からAndroid開発に加えて、サーバーサイド開発やデスクトップアプリケーション開発などの分野で活用が広がっています。これらの安全性の高さからKotlinは今後、あらゆるプラットフォームでの開発が増え、多くの企業で採用され続けると考えられます。
JavaとKotlinの文法比較
文法要素 |
Javaの記述例 |
Kotlinの記述例 |
変数宣言 |
String str = “abc”; | var str = “abc” |
定数 |
final String str = “abc”; | val str = “abc” |
コメント |
println(“”Hello World””) //コメント | /`*`コメント`*`/
println(“”Hello World””) |
型推論 |
int num = 123; | var num = 123 |
Null安全 |
String str = null; | var str: String? = null |
条件分岐 |
if (condition) { … } | if (condition) { … } |
KotlinとJavaはどちらもJava仮想マシン上で動作するオブジェクト指向プログラミング言語ですが、構文にはいくつかの違いがあります。KotlinはJavaをベースにJava仮想マシンで動作するGroovy(グルービル)やScala(スカラ)といった言語の構文を採用しているからです。
Javaでは型を明示的に指定する必要がありますが、Kotlinでは型推論が可能で型を省略することができます。型推論とは、プログラミング言語が変数や関数の型を自動的に推測する機能です。型推論を用いれば、コード記述で全ての変数や関数に型を指定しなくても、エラーを早期にチェックすることができます。
これらの違いからもわかるように、KotlinはJavaよりもシンプルで安全性の高いコードを書くことができるため、多くの開発者から支持されています。
変数の定義
Kotlinで変数の定義を行う際は、「val」もしくは「var」を使用するのが一般的です。valは「value」の略称で、Javaでは「final」に相当し、再代入できないデータを保持するための変数を定義したいときに使用します。
一方、varは「variable」の略称で、再代入可能な変数を定義したいときに使用します。Kotlinの変数定義は「var 変数名:データ型=リテラル」の形式が一般的です。Kotlinではvalとvarという2つのキーワードを使用して変数を定義します。valは不変な変数を定義し、一度値が設定されると変更できません。一方、varは可変(mutable)な変数を定義し、後から値を変更することが可能です。
この明確な区別により、開発者は意図的に不変性を持たせることができ、コードの安全性が向上します。
Javaでは、変数を定義する際に明示的にデータ型を指定するのが基本です。例えば、整数型の変数を定義する場合はint number;のように書きます。このような型指定は、コードの可読性を高める一方で、冗長になることが課題でした。
一方、Kotlinは型推論がサポートされており、変数の型を明示的に指定しなくても初期化時の値から自動的に型が推測されるのがポイントです。型を明示的に指定しないことで、コードが直感的になり、他の開発者に伝わりやすくなります。特に新しいチームメンバーや外部の開発者がコードを読む際に流れが分かりやすくなるのがメリットです。
これらの特徴により、KotlinはJavaの時より変数を定義する必要がなくなり、コードの可読性が向上するのがポイントです。
Androidアプリの開発には、JavaよりKotlinが適している
Androidアプリ開発においてKotlinは、Javaに代わる言語として注目されており、推奨言語としてGoogleからサポートされています。Kotlinはコードの簡潔さと可読性を重視して設計されていて従来のJavaより少ない行数で同じ機能を実装できるからです。
このソースコードはJavaを改良して開発されたプログラムなのでコードの構文がシンプルに記述できるのが特徴です。また、KotlinはJavaとの高い互換性を持ち、既存のJavaコードと共存することができます。これにより、既存のプロジェクトにKotlinを段階的に導入することができ、古い部分はJavaのまま維持することができます。
これらの特徴から、KotlinはAndroidアプリを中心とした開発や開発後の新しい機能の追加をしたい方に向いているのがポイントです。KotlinとJavaは、どちらもアプリケーション開発において多くのメリットを提供するプログラミング言語です。
ここでは、Androidアプリの開発でJavaよりKotlinが適している理由について詳しくご紹介していきます。
生産性が高い
Androidアプリ開発でKotlinはJavaよりコーディング文がシンプルであり、生産性の向上につながる点です。KotlinではJavaに比べてコードが簡潔で読みやすく、開発者はより少ない行数で同じ機能を実装できます。
その中でコードのレスポンスタイムが大きく異なり、従来のJavaより高速に処理されやすくなり、迅速な開発が可能になります。一方、Javaはオブジェクト指向プログラミング言語であり、その概念を理解するには時間と労力が必要です。
JavaはWebアプリケーション開発を行う際にコーディングルールが複雑でそれぞれの文法パターンを習得する時間を確保しないといけません。なぜなら、コードの文法はクラスやメソッドを多く定義する必要があるからです。例えば、同じ機能を実装する場合は、Javaでは多くの行数を書かないといけなく、冗長なコードを書くことが避けられません。
そこで、Kotlinではコードの簡潔さと可読性を重視して設計されているため、開発者はより少ない行数で同じ文章機能を実装できます。コードでは構文の省略に加えて、システムに新しい機能も追加することも可能です。
そのため、Kotlinはコードの簡潔さに特化した機能でエラーが起こりにくい設計をしているため、生産性が向上します。これらの特徴から、Android開発でコードが書きやすい言語なため、想定外のバグが置きづらい文法を採用しているのがポイントです。
学習コストがかかりにくく習得しやすい
Androidアプリ開発でKotlinはJavaより文法が簡潔であることから、学習の難易度が低い点です。Kotlinには学習リソースが存在していて、初心者でも学びやすい環境が整っているからです。その中で初心者から学習できるドキュメントやチュートリアルが提供されており、分からない部分を調べやすくなります。
一方、Javaは文法やルールは比較的多く、学習ハードルが高いという特性があります。これにより、初心者はエラーを見つけるのが難しく感じるケースがあり、プログラムが正しく動作しない原因を特定するのに時間がかかる場合があるのがその一つです。
このようなエラー処理やデバッグのスキルも同時に磨く必要があり、これが学習の負担を増加させてしまいます。
そこで、Kootlinであれば、Javaの文法をシンプルで少ないコード行数で実装できるため、開発時間を大幅に短縮できます。
例えば、同じ機能を実装する際にKotlinではJavaよりも少ない行数で済むことが多く、これによりプログラマーの負担が軽減されます。Kotlinの言語仕様はJavaを改良して生み出されたプログラミング言語で、コードの再利用性に長けていることがポイントです。
また、Kotlinはエラーを未然に防ぐ設計になっており、安全性が高いことも学習コストの低さにつながっています。特にnull安全機能によって、NullPointerExceptionなどの一般的なエラーを防ぐことができます。
エラーの発生を抑えつつ、初心者が安心してプログラミングを進められるのが大きなメリットです。このようにKotlinは学習コストが低く、Androidアプリを作成したい方にとっておすすめのプログラミング言語といえます。
企業でKotlinを採用するエンジニアが増えている
Androidアプリの開発でKotlinが適している一つが、Kotlinを選ぶエンジニアが増えていることです。GoogleがKotlinを公式言語として認定したことで、企業でKotlinエンジニアを採用する開発プロジェクトが増えています。
その中でアジャイル開発では、速度を問われるプロジェクトにおいてKotlinが使用されており、各工程を短いサイクルで開発することが可能です。アジャイル開発とは、アプリ開発において重要な部分を組み合わせてシンプルにした開発手法です。
アジャイル開発ではKotlinと組み合わせることで、コードの記述量が少なくて済み、プロジェクト内のコミュニケーションも円滑になります。現状Webアプリケーションやスマートフォンアプリではバックエンド処理をJavaで実装することが多く、これをKotlinに移すと運用保守が簡易になります。
そのため、Kotlinエンジニアは他の言語と比べると、実際のAndroidアプリ開発における需要は増加しているのが一つです。スマホの中でもAndroidアプリのシェア率は高く、日本国内では約5割を占めています。現在ではNetflixやUber・Yafoo! カレンダーなどといったアプリもKotlinで使用したもので、すでに大手企業が開発を行っています。
このようにKotlinはエンジニアからの人気が上がり、従来のプログラミング言語よりも使いやすさに特化しているのがポイントです。Kotlinは開発者側からの人気が高いことから、将来的に活用が広がると予測されます。
まとめ
本記事では、Kotlinを選ぶ理由とJavaとの違いのポイントについて詳しくご紹介していきました。KotlinはJavaを改良して開発されたプログラミング言語で、同じ機能を実現するために必要なコード行数が少ないのが特徴です。
Kotlinではコードの簡潔さに特化しており、従来のJavaでは必要だった冗長なコードを大幅に削減できます。一方、Javaは基本文法の範囲が広く、学習難易度も高いのが一つのデメリットです。従来のJavaはオブジェクト指向の知識が必要になり、メモリ消費が大きいことが課題でした。
そこで、KotlinではJavaよりも簡潔で読みやすいコードを書くことができ、Androidアプリといった小規模な開発に適しています。Javaとの互換性が高いため、Androidアプリに新しい機能やメンテナンスを実施することが可能です。
このようにKotlinはコードの安全性の高さから、アジャイル開発やAndroid開発において大きな利点です。Kotlinを利用する開発者が増えることで、将来的にはJavaを超える案件が増えると予想されます。Kotlinはまだまだ新しい言語であるため、そのシンプルさと安全性などによって、今後も技術的な進化を遂げていくと考えられます。
弊社のプロジェクトの進行速度はかなり速く、中規模のプロジェクトで約2〜3ヶ月かかります。顧客満足度は95%に達します。Power Appsの分野の専門家がおり、5年間の経験があります。コンサルティングと実装を両立することができます。