はじめに
Power Pagesとは、業務データと連携した外部向けWebサイトを、ノーコードやローコードで構築できるMicrosoftのサービスです。従来、顧客やパートナー向けのポータルサイトを作るには、開発コストや運用負荷が大きな課題でした。Power Pagesを活用すれば、Power PlatformやDataverseと連携しながら、安全性や権限管理を考慮したWebサイトを比較的短期間で公開できます。
本記事では、Power Pagesで何ができるのかを整理したうえで、基本的な使い方、料金体系、Power AppsやSharePointとの違い、さらに実務で参考になる3つの活用事例をわかりやすく解説します。
Power Pagesとは

Power Pagesとは、Microsoftが提供するPower Platformの一部として位置づけられる、外部向けWebサイト構築サービスです。業務データと連携したWebページを、ノーコードやローコードで作成できる点が特徴で、顧客や取引先、パートナー向けのポータルサイトなどを比較的短期間で公開できます。従来は、外部公開サイトを構築する場合、Web開発の専門知識やセキュリティ設計が必要でしたが、Power Pagesはこれらのハードルを下げています。
Power Pagesは、Dataverseをデータ基盤として利用し、社内で管理している業務データを安全に外部公開できます。入力フォームや一覧表示などを簡単に作成でき、認証や権限管理も標準機能として備えています。そのため、情報の閲覧範囲や操作権限を細かく制御しながら運用できます。また、Power AppsやPower Automateと連携することで、データ入力後の処理や通知といった業務フローも自動化できます。
単なるWebサイト作成ツールではなく、業務システムの一部として外部との接点を構築できる点がPower Pagesの強みです。開発コストや運用負担を抑えつつ、セキュリティやガバナンスを重視したWeb公開を実現したい企業にとって、有力な選択肢となります。
Power Pagesで何ができるのか
Power Pagesで何ができるのかを一言で表すと、業務データと連携した外部向けWebサイトを、安全かつ効率的に構築・運用できる点にあります。単なる静的なWebページ作成にとどまらず、業務システムの一部として外部ユーザーとやり取りするための仕組みを提供します。
具体的には、顧客や取引先、パートナー向けのポータルサイトを構築できます。Dataverseに格納された業務データをもとに、情報の一覧表示や詳細表示、データ入力フォームを作成し、外部ユーザーが直接操作できる環境を用意できます。これにより、申請や問い合わせ、情報更新といった業務をWeb上で完結させやすくなります。
また、認証や権限管理を標準機能として備えているため、ユーザーごとに閲覧や操作の範囲を制御できます。社内向けと外部向けで情報を分けたい場合や、特定のユーザーだけに機能を公開したい場合にも対応しやすくなっています。さらに、Power Automateと連携することで、入力内容に応じた通知や承認フローなどを自動化できます。
このようにPower Pagesは、外部向けWebサイトを業務プロセスに組み込み、効率化と統制を両立させたい場面で力を発揮します。開発負荷を抑えながら、実務に直結するWeb公開を実現できる点が大きな特徴です。
Power Pagesの主な特徴
Power Pagesとは、外部向けWebサイトを業務システムの延長として構築できる点に大きな特徴があります。一般的なWeb制作ツールとは異なり、データ管理や認証、セキュリティといった業務利用に欠かせない要素があらかじめ考慮されています。そのため、開発工数を抑えながらも、実運用に耐えうるWebサイトを構築できます。
ここでは、Power Pagesを選択する理由となる代表的な特徴を整理します。
ノーコード・ローコードでWebサイトを構築できる
Power Pagesは、ノーコードやローコードを前提とした設計により、専門的なWeb開発スキルがなくてもサイト構築を進められます。画面のレイアウトやコンテンツは、テンプレートやビジュアルエディタを使って作成でき、HTMLやCSSを最初から記述する必要はありません。これにより、業務部門やIT部門が連携しながら、短期間で外部向けサイトを公開できます。
また、必要に応じてコードを追加できる柔軟性も備えています。基本部分はノーコードで構築し、細かな調整や拡張が必要な箇所のみローコードで対応する運用が可能です。このバランスにより、開発スピードと柔軟性を両立できます。従来のフルスクラッチ開発と比べ、要件変更への対応もしやすく、継続的な改善がしやすい点が特徴です。
Dataverseと連携したデータ管理が可能
Power Pagesは、Dataverseをデータ基盤として利用することで、業務データと密接に連携したWebサイトを構築できます。Dataverseは、Power Platform全体で共通して使われるデータ管理基盤であり、構造化されたデータを安全に扱えます。Power Pagesでは、このDataverse上のデータを一覧表示したり、外部ユーザーから入力を受け付けたりできます。
データの更新や参照はリアルタイムで反映されるため、情報の二重管理を避けられます。また、Dataverse側で権限やルールを設定できるため、外部公開時のデータ統制もしやすくなります。単なるWebフォームではなく、業務データと直結した仕組みを構築できる点が、Power Pagesの実用性を高めています。
認証・権限管理を標準で備えている
Power Pagesは、外部向けWebサイトでありながら、認証や権限管理を標準機能として備えています。ユーザーはログインを前提にサイトを利用でき、閲覧や操作の範囲を細かく制御できます。これにより、公開情報と限定情報を明確に分けた運用が可能になります。顧客や取引先ごとに表示内容を切り替えるといった設計もしやすくなります。
権限はDataverseと連動して管理されるため、データ単位での制御が可能です。外部ユーザーが参照できる情報を必要最小限に抑えられる点は、業務利用において重要です。認証やアクセス制御を個別に実装する必要がないため、セキュリティ設計の負担を軽減しながら、安心して外部公開を進められます。
Power Platformとの高い親和性
Power Pagesは、Power Platformの一部として設計されており、他のサービスとの連携がしやすい点が特徴です。Power Appsで作成したアプリや、Power Automateによる業務フローと組み合わせることで、Webサイトを業務プロセスの入口として活用できます。たとえば、外部ユーザーからの入力をきっかけに、承認や通知を自動化するといった使い方が可能です。
また、Dataverseを共通のデータ基盤として利用するため、データの一貫性を保ちやすくなります。社内向けアプリと外部向けサイトで同じデータを扱えるため、情報の重複管理を避けられます。Power Platform全体を活用することで、Power Pagesは単独のWebツールではなく、業務全体をつなぐ役割を果たします。
セキュリティとガバナンスを考慮した設計
Power Pagesは、企業利用を前提にセキュリティとガバナンスを考慮した設計がなされています。Dataverseによるデータ管理や権限制御により、情報の取り扱いルールを統一しやすくなります。外部公開サイトであっても、社内システムと同様の管理方針を適用できます。
また、操作履歴やアクセス管理を通じて、運用状況を把握しやすい点も特徴です。ガバナンスを意識した設計により、無秩序なサイト増加やデータ利用を防げます。結果として、セキュリティリスクを抑えながら、業務効率化を進められます。Power Pagesは、外部向けWeb公開において、統制と利便性を両立したい企業に適したサービスです。
Power Pagesの使い方
Power Pagesは、ノーコードやローコードを前提としているため、初めて利用する場合でも比較的スムーズにサイト構築を始められます。ただし、業務データや認証と連携する特性上、事前に全体の流れを把握しておくことが重要です。利用開始から公開、運用までの手順を理解しておくことで、無駄な手戻りを防げます。
ここでは、Power Pagesを使い始めるための基本的な流れと、テンプレートを活用したサイト作成方法を解説します。
Power Pagesの利用を開始するまでの流れ

Power Pagesの利用を開始するには、まずMicrosoftの環境を整える必要があります。Power Platformを利用できるアカウントを準備し、Power Pagesが有効な環境を作成します。次に、Dataverseを利用するための設定をおこない、データを管理する基盤を用意します。これにより、Webサイトと業務データを連携させる準備が整います。
その後、Power Pagesの管理画面から新しいサイトを作成します。サイトの用途や公開対象を整理し、必要な認証方式や基本設定を決めます。初期段階で目的や構成を明確にしておくことで、後工程のカスタマイズがしやすくなります。利用開始までの流れを把握しておくことが、スムーズな導入につながります。
テンプレートを使ったサイト作成
Power Pagesでは、用途に応じたテンプレートを活用してサイトを作成できます。

テンプレートには、基本的なページ構成やレイアウトがあらかじめ用意されているため、ゼロから設計する必要がありません。これにより、短期間で外部向けWebサイトの形を整えられます。
テンプレートを選択した後は、ページ内容やデザインを調整します。テキストや画像の差し替え、表示項目の変更などは、画面上の操作でおこなえます。必要に応じて独自のページを追加することも可能です。テンプレートを基点にすることで、設計のばらつきを抑えつつ、業務に合ったサイトを構築しやすくなります。
データソースとの連携方法
Power Pagesでは、Dataverseを中心としたデータソースと連携することで、業務データを活用したWebサイトを構築できます。Dataverse上に保存されたデータは、一覧表示や詳細表示、入力フォームとしてサイトに反映できます。これにより、外部ユーザーがWeb上から直接データを参照したり更新したりする仕組みを整えられます。

連携設定は、Power Pagesの管理画面からおこないます。対象となるテーブルや列を選択し、どのデータを表示または編集できるかを指定します。権限設定と組み合わせることで、ユーザーごとにアクセスできるデータ範囲を制御できます。業務データとWebサイトを一体で管理できる点が、Power Pagesの実用性を高めています。
フォームや画面のカスタマイズ
Power Pagesでは、フォームや画面のカスタマイズを通じて、業務に合った操作性を実現できます。入力フォームは、Dataverseのデータ構造をもとに自動生成されるため、基本的な項目はすぐに利用できます。表示順の変更や必須項目の設定などは、画面操作で調整可能です。

また、ページごとにレイアウトやコンテンツを編集でき、外部ユーザーが使いやすい画面構成を作成できます。必要に応じてスタイルの調整や独自要素の追加も可能です。フォームと画面を業務フローに合わせて整えることで、入力ミスの防止や操作負担の軽減につながります。
認証設定とユーザー管理
Power Pagesでは、外部向けWebサイトでありながら、認証設定とユーザー管理を標準機能としておこなえます。サイト利用者はログインを前提とした運用が可能で、ユーザーの属性に応じて閲覧や操作の範囲を制御できます。これにより、不特定多数への公開だけでなく、特定の顧客や取引先に限定した情報提供も実現できます
ユーザー管理はDataverseと連動しておこなわれ、ロールや権限をもとにアクセス制御を設定します。どのページやデータにアクセスできるかを細かく定義できるため、業務要件に応じた柔軟な設計が可能です。認証や権限管理を個別に実装する必要がない点は、外部向けサイトを業務利用するうえで大きなメリットといえます。
公開・運用時の基本設定
Power Pagesでサイトを公開する際は、運用を見据えた基本設定が重要になります。公開前には、ページ構成やリンクの確認、権限設定の見直しをおこない、想定どおりの動作をするかを検証します。特に、外部ユーザーが操作するフォームやデータ表示については、誤操作や情報漏えいが起きないように確認が必要です。
公開後は、運用ルールを明確にしておくことが重要です。データ更新の頻度や管理責任者を決めておくことで、トラブル発生時の対応がしやすくなります。また、業務内容の変化に応じてページや権限を見直すことで、サイトを継続的に改善できます。Power Pagesは構築後の運用を前提とした設計がしやすく、長期的な活用に向いています。
Power Pagesの料金体系
| ユーザータイプ | 月額料金 | 適したサイト |
| 認証済みユーザー | 29,985円 | サインインして利用するサイト |
| 匿名ユーザー | 11,244円 | サインインが不要なサイト |
Power Pagesの料金体系は、外部向けWebサイトをどの程度の規模で利用するかによって考え方が変わります。Power Pagesは、一般的なWeb制作ツールのような月額固定制ではなく、利用形態やアクセス規模を前提としたライセンス体系が採用されています。そのため、導入前に想定ユーザー数や利用シーンを整理しておくことが重要です。
基本的には、Power Pagesは認証ユーザー数や利用容量を軸に料金が決まります。外部ユーザーがログインして利用する場合と、匿名で閲覧する場合では考慮すべきポイントが異なります。業務データと連携したポータルサイトとして利用するケースでは、Dataverseの利用も前提となるため、データ容量や操作回数も含めて検討する必要があります。
また、Power PagesはPower Platformの一部として提供されているため、Power AppsやPower Automateなど他サービスとの併用状況もコストに影響します。すでにPower Platformを導入している企業であれば、追加コストを抑えやすい場合もあります。一方で、外部公開サイトとして本格的に運用する場合は、将来的なユーザー増加を見据えたライセンス設計が欠かせません。
料金体系は変更される可能性があるため、最新情報はMicrosoftの公式情報を確認し、自社の利用規模に合ったプランを選択することが重要です。コストだけでなく、運用負荷や拡張性も含めて検討することで、Power Pagesを効果的に活用できます。
Power PagesとPower Apps・SharePointの違い
| Power Pages | Power Apps | SharePoint | |
| 主な用途 | 外部向けWebサイト構築 | 業務アプリ開発 | 社内情報共有・ポータル |
| 想定ユーザー | 顧客・取引先・一般ユーザー | 社内ユーザー | 社内ユーザー |
| 公開範囲 | インターネット公開前提 | 社内・限定ユーザー | 社内・組織内 |
| 開発方式 | ノーコード・ローコード | ノーコード・ローコード | 画面設定・機能拡張 |
| データ基盤 | Dataverse | Dataverse / 各種コネクタ | SharePointリスト |
| 認証・権限管理 | 外部ユーザー対応可 | 社内ユーザー前提 | 社内ユーザー前提 |
| UIの自由度 | Webサイト向けに高め | 業務画面向け | 比較的低い |
| 外部連携 | API・Power Platform連携 | Power Automate等と連携 | Microsoft製品中心 |
| 主な強み | 外部公開と業務データ連携 | 業務アプリの迅速開発 | 文書管理と情報共有 |
Power PagesはPower Platformの一部として提供されているため、Power AppsやSharePointと混同されやすいサービスです。しかし、それぞれのツールは目的や利用シーンが明確に異なります。外部向けWebサイトに強みをもつPower Pagesに対し、Power AppsやSharePointは主に社内利用を前提としています。違いを正しく理解することで、用途に合わないツール選定を防げます。
ここでは、Power PagesとPower Apps、SharePointの違いを整理します。
Power PagesとPower Appsの違い
Power PagesとPower Appsの大きな違いは、利用対象と公開範囲にあります。Power Appsは主に社内ユーザー向けの業務アプリ作成ツールであり、社員が日常業務で使う画面や入力フォームを構築する用途に適しています。一方、Power Pagesは顧客や取引先など、外部ユーザーが利用するWebサイトを構築することを前提としています。
また、認証や公開方法にも違いがあります。Power Appsは社内アカウントでの利用を想定しており、外部公開には追加の設計が必要です。対してPower Pagesは、外部ユーザー向けの認証や権限管理を標準で備えており、Webサイトとしての公開を前提に設計されています。業務アプリを社内で効率化したい場合はPower Apps、外部との接点を構築したい場合はPower Pagesが適しています。
Power PagesとSharePointの違い
Power PagesとSharePointの違いは、役割と柔軟性にあります。SharePointは情報共有やドキュメント管理を目的としたプラットフォームであり、社内ポータルやチームサイトの構築に向いています。ページ作成や一覧表示は可能ですが、外部向けWebサイトとして高度な業務連携をおこなうには制約があります。
一方、Power Pagesは業務データと連携した外部向けWebサイト構築に特化しています。Dataverseを基盤とし、入力フォームや権限管理を組み合わせた設計がしやすい点が特徴です。SharePointは情報共有を中心とした用途に強く、Power Pagesは外部ユーザーとの業務プロセスをWeb上で完結させたい場合に適しています。
それぞれが向いている用途
Power Pages、Power Apps、SharePointは、それぞれ得意とする用途が異なります。Power Pagesは、顧客や取引先、パートナーなど外部ユーザーが利用するWebサイトを構築したい場合に向いています。業務データと連携した入力フォームやポータルサイトを安全に公開したいケースでは、Power Pagesが適しています。認証や権限管理を標準で備えているため、外部向け業務サイトとしての運用がしやすくなります。
Power Appsは、社内業務の効率化を目的としたアプリ作成に向いています。社員が日常的に利用する入力画面や管理画面を短期間で構築でき、業務プロセスの改善に役立ちます。SharePointは、情報共有やドキュメント管理を中心とした用途に適しており、社内ポータルやチームサイトとして活用しやすいツールです。
このように、公開対象や目的に応じて使い分けることで、それぞれの強みを活かせます。外部向けWeb公開はPower Pages、社内業務アプリはPower Apps、情報共有基盤はSharePointと整理することが、無理のない導入につながります。
Power Pagesの活用事例3選
Power Pagesは、外部向けWebサイトを業務データと連携しながら構築できる点が強みです。単なる情報発信にとどまらず、申込みや予約、問い合わせ対応など、実務に直結する用途で活用できます。Microsoftが提供するテンプレートを活用すれば、具体的な利用イメージを持ちながら導入を検討しやすくなります。
ここでは、実際のテンプレートをもとに、Power Pagesがどんなシーンで活用できるのかを3つの事例で紹介します。
子どもの習い事教室サイト

子どもの習い事教室サイトは、Power Pagesの外部向けWeb公開と業務連携の特性を活かしやすい事例です。このテンプレートでは、教室の概要やスケジュール、料金情報などをWebサイトとして公開できます。さらに、Dataverseと連携することで、受講者情報や申込み内容を一元管理できます。
外部ユーザーは、Web上から申込みフォームを通じて情報を入力でき、管理者側は入力内容をリアルタイムで確認できます。認証や権限管理を設定することで、保護者専用ページを用意し、連絡事項やお知らせを限定公開する運用も可能です。紙やメールでのやり取りを減らし、教室運営の効率化につながる点が特徴です。
参考:https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-pages/templates/after-school
FAQページ

FAQページは、Power Pagesを使って情報提供を効率化する代表的な活用事例です。このテンプレートでは、よくある質問と回答を整理して掲載でき、外部ユーザーが必要な情報を自己解決しやすくなります。Dataverseと連携することで、質問内容をデータとして管理でき、更新や追加も容易になります。
FAQをWeb上で整理することで、問い合わせ件数の削減が期待できます。また、管理者側は質問内容を分析し、利用者の関心や課題を把握できます。単なる静的ページではなく、業務改善につなげられる点がPower Pagesならではの特徴です。
参考:https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-pages/templates/frequently-asked-questions
打ち合わせスケジュール管理サイト

打ち合わせスケジュール管理サイトは、外部ユーザーとの調整業務を効率化する事例です。このテンプレートでは、空き時間をWeb上で公開し、外部ユーザーが希望日時を選択できます。入力内容はDataverseに保存され、Power Automateと連携することで通知や確認作業を自動化できます。
従来のメールによる日程調整では、やり取りが増えがちでしたが、Power Pagesを活用することで調整負荷を軽減できます。認証設定を組み合わせれば、特定の顧客やパートナーに限定した予約管理も可能です。業務効率とユーザー体験の両立を実現できる点が、この事例の魅力です。
参考:https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-pages/templates/book-a-meeting
Power Pagesを導入する際の注意点
Power Pagesは、外部向けWebサイトと業務データを安全に連携できる便利なサービスですが、導入すればすぐに理想的な運用が実現するわけではありません。ライセンスやコスト、設計思想、運用体制などを十分に理解せずに導入すると、想定外の負担が生じる可能性があります。特に、Power Platform特有の前提条件を把握しておくことが重要です。
ここでは、Power Pagesを導入する前に確認しておきたい注意点を整理します。
ライセンスとコストの考え方
Power Pagesを導入する際は、ライセンスとコストの考え方を事前に整理しておく必要があります。Power Pagesは一般的なWeb制作ツールのような固定料金ではなく、利用規模やユーザー数を前提とした料金体系が採用されています。そのため、想定する外部ユーザー数や利用頻度によって、コストに差が生じます。
特に注意したいのは、将来的な利用拡大を見据えた設計です。初期は小規模であっても、利用者が増えるとコストも増加します。また、Dataverseの利用が前提となるため、データ容量や操作量も考慮する必要があります。すでにPower Platformを導入している企業であれば、既存ライセンスとの関係も確認しておくことが重要です。導入前に運用イメージを具体化し、無理のないコスト設計をおこなうことが求められます。
デザイン自由度の制約
Power Pagesは業務利用を前提とした設計であるため、デザイン自由度には一定の制約があります。テンプレートや標準コンポーネントを活用することで、統一感のあるサイトを構築しやすい一方、細かなレイアウト調整や独自デザインを追求する用途には向かない場合があります。
企業のブランド表現や高度なデザイン要件がある場合は、期待との差が生じる可能性があります。必要に応じてスタイルの調整は可能ですが、一般的なWeb制作と同じ感覚で自由に作り込めるわけではありません。
そのため、見た目の自由度よりも、業務連携や運用効率を重視するかどうかを判断基準にすることが重要です。導入前にデザイン要件を整理し、Power Pagesで実現できる範囲を把握しておくことで、後からの認識違いを防げます。
Dataverse前提の設計が必要
Power Pagesを活用するうえで重要な前提となるのが、Dataverseを中心とした設計です。Power Pagesは、Dataverseをデータ基盤として利用することで、業務データとWebサイトを安全に連携します。そのため、従来のファイルベースや他システム中心のデータ管理から切り替える必要がある場合もあります。
導入時には、どのデータをDataverseで管理するのかを明確にし、テーブル構造や権限設計を整理することが欠かせません。設計が曖昧なまま進めると、後からデータ構造の見直しが必要になり、修正コストが増える可能性があります。Power PagesはDataverseと一体で活用することで価値を発揮するため、データ設計を含めた全体像を事前に描くことが重要です。
運用・管理体制の整理
Power Pagesは構築して終わりではなく、運用を前提とした体制づくりが必要です。外部ユーザーが利用するWebサイトであるため、データ更新や問い合わせ対応、権限管理など、日常的な管理業務が発生します。誰がどの範囲を管理するのかを明確にしておかないと、トラブル対応が遅れる原因になります。
また、業務内容の変化に応じてページやフォームを見直す場面も出てきます。運用担当者がPower Pagesの基本操作を理解していれば、軽微な修正は迅速に対応できます。運用・管理体制を整理し、担当範囲やルールを明確にしておくことが、安定した活用につながります。
他サービスとの使い分け
Power Pagesは万能なWebツールではないため、他サービスとの使い分けを意識することが重要です。外部向けWebサイトで業務データと連携する用途には適していますが、社内業務専用のアプリや情報共有には、Power AppsやSharePointの方が適している場合があります。
すべてをPower Pagesで実現しようとすると、かえって設計が複雑になる可能性があります。目的に応じて適切なツールを選び、必要な部分だけをPower Pagesで補う考え方が現実的です。Power Platform全体を俯瞰し、役割ごとに使い分けることで、無理のない導入と運用を実現できます。
まとめ
Power Pagesとは、業務データと連携した外部向けWebサイトを、ノーコード・ローコードで構築できる点が大きな強みです。顧客や取引先向けのポータルサイト、申請フォーム、予約管理など、実務に直結する用途で活用しやすく、認証や権限管理、セキュリティ面も考慮されています。
一方で、Dataverse前提の設計やライセンス体系、デザイン自由度といった注意点も理解しておく必要があります。Power AppsやSharePointとの違いを踏まえ、目的に合った使い分けをおこなうことで、Power Pagesは業務効率化と外部対応を両立する有力な選択肢となります。







