初めに
ゲーム業界において、プレイヤー同士のつながりは非常に重要な要素です。友達とプレイする体験は、ゲームを一層楽しいものとし、プレイヤーの満足度を大きく向上させます。しかし、異なるゲームプラットフォームの存在により、プレイヤーが同じゲームを一緒に楽しむことが制限されてしまうことがあります。こうした状況の中で、注目を集めているのが「クロスプレイ」という概念です。
ただし、注意が必要なのは、同じタイトルであっても、異なるプラットフォームでリリースされている全てのゲームが必ずしもクロスプレイをサポートしているわけではないという点です。本記事では、クロスプレイゲームとは、仕組み、メリットとデメリット、そしてこの機能をサポートしている代表的なゲームについて詳しくご紹介いたします。
クロスプレイゲームとは?
クロスプレイゲームとは、異なるプラットフォーム(例えば、ゲーム機、PC、モバイルデバイスなど)を使用しているプレイヤー同士が、同じゲーム内でオンライン対戦や協力プレイを行うことができる機能を指します。この機能により、異なるデバイスを使用している友人や家族とも、同じゲームを一緒に楽しむことができるため、ゲーム体験がさらに充実します。
例えば、『Minecraft』では、クロスプレイを利用することで、PS4ユーザーとPCユーザーが協力して遊ぶことが可能です。また、『Apex Legends』や『Fortnite』といった近年の人気タイトルも、クロスプレイ対応ゲームとして多くのプレイヤーから高い評価を受けています。これにより、プラットフォームの垣根を越えて、より多くの人々が同時にゲームを楽しめる環境が整備されています。
しかし、注意が必要なのは、同じタイトルのゲームであっても、すべてのプラットフォーム間でクロスプレイに対応しているわけではない点です。一部のゲームは特定のプラットフォーム間でのみクロスプレイが可能であったり、クロスプレイ機能が制限されていることがあります。そのため、プレイヤーは自分の使用しているプラットフォームと、他のプレイヤーのプラットフォームが対応しているかどうかを確認する必要があります。
クロスプレイゲームの歴史と進化
クロスプレイゲームの発展は、異なるプラットフォーム間でのプレイヤーの接続を目指す「マルチプラットフォーム」構想から始まりました。1998年の『Unreal』がPC、Mac、Linux間でクロスプレイを可能にした先駆けとなり、長年の技術的な挑戦や業界の壁を越えて、クロスプレイは進化してきました。
特に近年では、オンラインゲームがよりソーシャルなエンターテインメントへと進化し、『Fortnite』や『Apex Legends』など、多くのゲームがクロスプレイを標準機能として取り入れるようになりました。技術の進歩により、Unreal Engine 4などを使用した開発が容易になり、プレイヤーが異なるプラットフォームでシームレスにプレイできる環境が整っています。
クロスプレイの普及により、プレイヤー同士のつながりが強まり、ゲームに費やす時間や消費が増加するなど、ゲーム業界に新たな価値が生まれています。今後もクロスプレイは、ゲームを単なるエンターテインメントからグローバルなコミュニティをつなぐツールとして発展させていくでしょう。
次の章では、クロスプレイゲームのメリットとデメリットについて詳しく見ていきます。
クロスプレイゲームのメリットとデメリット
メリット | デメリット | |
プレイヤー間のつながり | 異なるデバイス(PC、ゲーム機など)を使っていても、一緒にゲームができるので、友達や家族と遊びやすくなります。 | デバイスの性能差で、プレイヤーが不利になる場合があります。 |
ゲーム人口の増加 | いろんなデバイスから同じゲームに参加できるため、プレイヤーの数が増え、対戦相手や仲間が見つかりやすくなります。 | PCではチート行為が起きやすく、他のデバイスのプレイヤーに不公平な状況が生まれることがあります。 |
マッチング効率 | プレイヤーが多いので、ゲーム内でのマッチング(対戦相手を見つけること)がスムーズになり、待ち時間が短くなります。 | 古いゲーム機やスマホでは、ロード時間が長くなったり、動作が遅くなったりすることがあります。 |
ゲーム体験 | 異なるデバイスを使っている人ともチャットやボイスチャットでコミュニケーションを取りながら、ゲームを楽しむことができます。 | デバイスごとの操作性や性能差が原因で、ゲームの公平性が失われることがあります。 |
クロスプレイゲームのメリット
プレイヤー間のコミュニケーション促進
クロスプレイの導入により、異なるプラットフォームを利用するプレイヤー同士が一緒にゲームを楽しむことができるようになりました。これにより、ゲーム内でのコミュニケーションが増え、友人や新しい仲間との協力プレイがさらに充実します。特に、ボイスチャットやテキストチャットを活用することで、戦略をリアルタイムで共有したり、ゲームの楽しさを共に分かち合うことができ、より一層の一体感が生まれます。
ゲームの人口の増加
クロスプレイは、異なるプラットフォームのプレイヤーが同じゲームにアクセスできるため、結果としてゲームの人口全体を増やすことにつながります。これにより、ゲーム内でのマッチングがスムーズに行われるようになり、プレイヤー同士が対戦したり協力したりする際の待ち時間が短縮されます。これによって、より多くの人が快適にゲームを楽しむことができる環境が整い、ゲームの人気がさらに高まります。
友達や家族とプレイしやすくなる
異なるプラットフォームを使用している場合でも、クロスプレイを通じて友人と一緒にゲームを楽しむことができるのは大きな魅力です。従来は、ゲーム機やPCが異なると一緒に遊ぶことが難しかったものの、クロスプレイの導入により、そのハードルが大幅に下がりました。例えば、友達がコンソールを使用していて自分がPCを使用していても、同じゲームを同時に楽しむことができます。このように、クロスプレイによって友達と簡単に遊ぶことができるようになり、ゲーム体験がさらに楽しいものになります。
このように、クロスプレイには多くの利点がありますが、同時にいくつかの欠点も存在します。次の章では、クロスプレイに伴う課題やデメリットについて詳しく解説していきますので、ぜひ読み進めてください。
クロスプレイゲームのデメリット
プラットフォーム間のバランス問題
クロスプレイの最も大きなデメリットの一つは、プラットフォーム間でのバランスの不均衡です。異なるハードウェアやソフトウェアの特性により、ゲームプレイの質が大きく変わることがあります。例えば、PCプレイヤーは高いフレームレートやカスタマイズ可能な設定を享受できる一方で、コンソールプレイヤーやモバイルプレイヤーは、そのような柔軟性がない場合があります。このような不均衡は、特に競技性の高いゲームにおいてプレイヤー間の公平性を損なうことになり、ゲームの楽しさが減少する恐れがあります。
チーターや不正行為の増加
クロスプレイにおいて最もよく見られる問題の一つが、チート行為です。特にPCプレイヤーは、改造ツールやチートソフトを利用するリスクが高く、これによりコンソールプレイヤーやモバイルプレイヤーが不利になることがあります。FPSのような瞬間的な判断が求められるゲームでは、この不公平さが顕著に表れ、ゲームの公平性が失われる可能性があります。チートの影響を抑えるためには、ゲーム開発者が強力な対策を講じる必要があります。
ロード時間やプレイ環境の違い
クロスプレイにおいては、プラットフォームごとの性能差がゲーム体験に影響を及ぼすこともあります。例えば、PS4のような旧世代のコンソールではロード時間が長くなることがあり、その結果、マッチングが遅れたり、ゲーム進行におけるテンポが崩れることがあります。また、スマートフォンでのプレイでは、本体が高温になりやすく、長時間のプレイに支障が出ることも考えられます。このような性能差がプレイヤーの体験に悪影響を与えることがあります。
人気のクロスプレイゲーム開発エンジン3選
近年、ゲーム開発においては多様なエンジンが提供されており、それぞれが異なる強みを持っています。特に注目されるのは、Epic Gamesが開発した次世代エンジン「Unreal Engine 5」、多機能で使いやすく、幅広い開発者層に支持されている「Unity」、そしてインディー開発者向けに人気の高いオープンソースエンジン「Godot Engine」です。
ゲームエンジン | ライセンス・利用料 | 特徴 | 代表ゲーム |
Unreal Engine 5 | 基本無料、一部ロイヤリティ必要 | 大規模開発向け、高品質グラフィックス、クロスプラットフォーム対応 | Fortnite |
Unity | 基本無料、Plus/Pro版は有料 | ソーシャルゲーム開発に適し、初心者からプロまで幅広く支持 | Fate/Grand Order |
Gobot Engine | MITライセンス(無料) | オープンソース、小規模開発向け、カスタマイズしやすい | インディーズゲーム向け |
Unreal Engine 5
https://www.unrealengine.com/ja
Unreal Engine 5は、無料で利用可能なクロスプラットフォーム対応の次世代ゲームエンジンで、Epic Gamesが開発・提供しています。個人や小規模な開発チームにとっては商用利用でも非常に利用しやすいですが、商業的に成功した場合、売上が一定額を超えるとロイヤリティを支払う必要があります。
Unreal Engine 5は、その前身であるUnreal Engine 4の進化版として登場し、より大規模かつ高品質なゲームやリアルタイムレンダリングが求められるプロジェクトに最適です。日本でも、Unreal EngineはUnityと並ぶ主要なゲームエンジンのひとつとして広く利用されていますが、特にUnreal Engine 5は、ゲーム開発のみならず、映画やテレビ、建築ビジュアライゼーションなどの業界でも大きな注目を集めています。
Unreal Engine 5で制作された代表的な作品のひとつとして、「Fortnite(フフォートナイト)」、「FINAL FANTASY VII(ファイナルファンタジーVII」、などの大作が挙げられます。また、このエンジンは特に大規模なゲーム開発に適しており、その驚異的なグラフィック処理能力と新機能が、よりリアルで没入感のある体験を実現します。NaniteやLumenといった新技術により、開発者はよりリアルタイムかつ効率的に高精細なグラフィックスを描写できるようになっています。
さらに、Unreal Engine 5では、他の開発者が作成したアセットを購入・活用できる「アセットストア」を利用することが可能です。これにより、ゲーム開発の効率がさらに向上し、開発者同士が活発に知識やリソースを共有するコミュニティの存在も、初心者から上級者まで幅広い層に支持されています。
Unity
Unityは、無料で使えるクロスプラットフォーム対応のゲームエンジンで、多くの開発者に利用されています。商用利用を目的とする場合には、収益やプロジェクト規模に応じて、Plus版やPro版を購入する必要があります。Unityは特にソーシャルゲームの開発に適しており、手軽に導入できることから、幅広い分野で利用されています。
Unreal Engine 5と並んで、ゲーム開発エンジンとしてよく話題に上がるUnityは、その使いやすさと多機能さから、初心者からプロフェッショナルまで広く支持されています。代表的な作品として、人気ソーシャルゲーム「Fate/Grand Order」があり、日本市場でも非常に馴染み深いエンジンです。
Unityの大きな強みの一つは、日本語での情報量が非常に多い点です。開発者向けのリソースやコミュニティも充実しており、特に日本国内での開発においては、他のエンジンと比べて情報を収集しやすい環境が整っています。このため、初めてゲーム開発を行う人にも親しみやすく、効率的に開発を進められるでしょう。
Godot Engine
Gobot Engineは、オープンソースでクロスプラットフォーム対応のゲームエンジンです。MITライセンスの下で提供されており、商用利用でも完全に無料で使用することができます。このエンジンは、インディーズゲーム開発者に人気があり、特に小規模な開発チームや個人開発者に向いています。
2024年現在、Gobot EngineはUnityやUnreal Engineに次いで、インディーズゲームの開発において3番目に使用されているエンジンとなっています。そのシンプルな設計と、オープンソースとしての自由度の高さが魅力で、エンジン自体のカスタマイズがしやすい点が、多くの開発者に支持されています。
ただし、日本語の情報が非常に少ないため、日本国内での開発にはややハードルが高いかもしれません。英語を駆使しながら、海外のフォーラムやコミュニティを頼りにする必要があるでしょう。
クロスプレイをサポートしている代表的なゲーム
Fortnite(フォートナイト)
「フォートナイト」は、PS4やPS5、Xbox、Switch、PCといったさまざまなプラットフォームで楽しむことができるゲームです。特に有名人がプレイしていることでも話題となり、多くの方がYouTubeなどでプレイ動画を目にしたことがあるかもしれません。
「Apex Legends」と同様に、バトルロワイヤル形式のシューティングゲームで、ジャンルはTPS(サードパーソン・シューティング)に分類されます。プレイヤーはキャラクターを後ろから見下ろす視点で操作します。
このゲームの大きな特徴は、ただ敵を撃つだけでなく、建築を行える点です。ゲーム中に素材を集め、それを使って砦や防御施設を建てることで、自分を守りながら戦略的に進めることができます。
さらに、「フォートナイト」には、さまざまなゲームモードが用意されているため、遊び方が非常に多彩であることも魅力です。中でも「バトルロワイヤルモード」は基本的なゲームモードとして知られており、他にも、自分や友人と一緒に島を作って楽しむ「クリエイティブモード」なども人気があります。
Apex Legends(エーペックスレジェンズ)
「Apex Legends」は、PS4やPS5、Xbox、Switch、PCなど、複数のプラットフォームでプレイ可能な無料のゲームです。
基本的なゲームプレイは、決められたエリア内で物資を集めつつ、チームで協力して戦い、生き残りを目指す「バトルロイヤル」形式となっています。ゲームのジャンルはFPS(ファーストパーソン・シューティング)で、プレイヤーは常に一人称視点でキャラクターを操作します。
このゲームでは、「レジェンド」と呼ばれる個性的なキャラクターたちが多数用意されており、それぞれが異なる特殊能力を持っています。プレイヤーは、各レジェンドの能力を効果的に活用し、チームのメンバーと連携して戦うことで、最後まで生き残ることを目指します。
Fall Guys(フォールガイズ)
「Fall Guys」は、PS4やPS5、Xbox、Switch、PCなど、様々なプラットフォームでプレイ可能な無料ゲームです。
このゲームの大きな特徴は、最大60人が同時にプレイできる点です。プレイヤーは、可愛らしくもどこかユニークなキャラクターを操作し、「ショー」と呼ばれるレース形式のステージで勝利を目指します。
「ショー」の内容は非常にバラエティに富んでおり、プレイごとにランダムで選ばれます。時にはチームで協力する場面もありますが、最終的にはすべてのプレイヤーを打ち負かして1位になることが目標です。友達とパーティーを組んでプレイしていても、最終的には全員がライバルとなります。
『Fall Guys』の大きな魅力のひとつは、キャラクターに着せることができるスキンの豊富さです。スキンには他のゲームや人気キャラクターとのコラボアイテムも多く含まれており、好きなスキンを選んで、個性豊かなキャラクターでショーに挑むことができます。
Among Us(アマングアス)
「Among Us」は、PS4やPS5、Xbox、Switch、PCなど、さまざまなプラットフォームでプレイ可能なゲームです。このゲームは、人狼ゲームの一種であり、プレイヤー同士が嘘を見破ることがポイントとなるため、「宇宙人狼」とも呼ばれています。
ゲームの中でプレイヤーは、「クルー」と呼ばれる宇宙船の乗組員と、「インポスター」と呼ばれる詐欺師・殺人者に分かれてプレイを進めます。クルーの目的は、宇宙船内でのタスクをすべて完了するか、インポスターを全員追放することです。一方、インポスターはクルーのタスクを妨害しながら、密かにクルーを殺害していきます。ゲームにおいてクルーとインポスターの人数が同じになった時点で、インポスター側の勝利が確定します。
このゲームの最大の特徴は、プレイヤー同士での話し合いが非常に重要な点です。インポスターは自らの正体を隠しつつ、巧みに嘘をつくことが求められます。そしてクルー側は、話し合いを通じて互いの知識を共有し、インポスターを特定することが勝利への鍵となります。
まとめ
クロスプレイゲームは、異なるプラットフォームを使用するプレイヤー同士が一緒に楽しめるという大きなメリットを提供し、ゲーム業界においてプレイヤー同士のつながりを強化する革新的な機能です。その一方で、プラットフォーム間の性能差やチート問題など、いくつかのデメリットも存在します。しかし、技術の進化に伴い、クロスプレイはますます普及し、ゲーム業界全体に新たな価値と可能性をもたらし続けています。今後も、クロスプレイ対応のタイトルは増加し、より多くのプレイヤーが自由に、そしてシームレスにゲームを楽しめる未来が期待されます。本記事では、クロスプレイゲームのメリットとデメリットについて、具体的な事例を詳細に比較・説明しています。
HBLABについて
株式会社HBLAB(エイチビーラボ)は、ベトナムIT企業Top5社の一つに選ばれ、500名以上の熟練したIT技術者を擁するベトナムの有力なオフショア開発会社です。東京にもオフィスを構え、2015年の創業以来、日本企業向けに500件以上のプロジェクトを成功させてきました。HBLABはニューテクノロジー分野での開発に強みを持ち、AI開発に加えて、AR/VRやブロックチェーン技術の最前線での研究開発にも取り組んでいます。
このような技術力を活かし、クロスプレイゲームの開発でも重要な役割を果たしています。クロスプレイゲームは、異なるプラットフォーム間での互換性が求められ、特にネットワークの最適化やデータ同期といった高度な技術が不可欠です。今後、クロスプレイの需要がさらに高まる中、HBLABの技術力はより一層注目されるでしょう。