Amazon BedrockとAmazon SageMakerの違いとは?目的・機能・選び方を徹底比較【2026年最新版】

2026年6月18日
2026年6月18日
Amazon BedrockとAmazon SageMakerの違い

はじめに

AWSでAI・機械学習の開発を検討すると、必ずと言っていいほど「Amazon BedrockとAmazon SageMakerのどちらを使えばいいのか」という問いに突き当たります。どちらもAWSが提供するAI関連の主要サービスでありながら、目的・対象ユーザー・料金体系・必要な専門知識が大きく異なります。

AWS公式のドキュメント「Amazon BedrockまたはAmazon SageMaker AI?(Decision Guide)」でも、両サービスは「どちらもMLおよび生成AIアプリケーションの開発を可能にするが、さまざまな目的を果たす」と明記されています。両者の違いを正しく理解して選択することが、AI活用の成否を分ける第一歩です。

本記事では、AWS公式情報をもとに両サービスの概要・機能・違いを整理し、自社に合った選択の判断基準を解説します。

Amazon Bedrockとは

Amazon Bedrockとは、生成AIアプリケーションやエージェントの構築に適した、包括的でセキュアかつ柔軟なフルマネージドプラットフォームです。AWS公式サイトでは「先駆的な基盤モデル(FM)、エージェントをデプロイおよび運用するためのサービス、モデルのファインチューニング、保護、最適化のためのツール、アプリケーションを最新のデータに接続するためのナレッジベースを提供する」と説明されています。

2023年のサービス開始以来、世界で数万の企業が生成AI戦略の基盤として採用しています。

※ 関連記事: Amazon Bedrockとは?特徴・基盤モデル・料金・活用事例3選までわかりやすく解説

Amazon Bedrockで利用できる主な基盤モデル

Amazon Bedrockの最大の特徴は、複数のAI企業が提供する多様な基盤モデルに単一のAPIでアクセスできる点です。AWS公式ドキュメントが示す対応モデルには以下が含まれます(サポートモデルは定期的に更新されます)。

  • Amazon Nova(Amazon独自の最新世代基盤モデル群。Nova Micro・Nova Lite・Nova Pro・Nova Canvas・Nova Reelなど)
  • Amazon Titan
  • Anthropic Claude
  • DeepSeek-R1
  • Cohere Command & Embed
  • AI21 Labs Jurassic
  • Meta Llama
  • Mistral AI
  • Stable Diffusion XL

さらにAmazon Bedrock Marketplaceでは、100を超える独自の特殊な基盤モデルを検出・テスト・使用することができます。

Amazon Bedrockの主な機能

モデルの選択とAPI統合 数百の基盤モデルにアクセスし、パフォーマンスとコストのニーズに応じて最適なモデルを選択できます。APIコールを通じて既存のアプリケーションに簡単に統合できます。

データを活用したカスタマイズ ナレッジベース(RAG)・プロンプトエンジニアリング・ファインチューニング・Bedrock Data Automationなど複数のカスタマイズ手段を提供しており、汎用モデルを自社ビジネスに最適化できます。

セキュリティとガードレール Bedrock GuardrailsはAWS公式によると有害コンテンツを最大88%ブロックし、モデルのトレーニングにデータを使用することなく、転送中・保存中のデータを暗号化します。ISO・SOC・GDPR・FedRAMP High・HIPAAなど主要なコンプライアンス基準に対応しています。

コスト最適化 モデル蒸留・プロンプトキャッシュ・インテリジェントプロンプトルーティングなどの機能を提供しています。AWS公式によると、インテリジェントプロンプトルーティングは質を維持しながらコストを最大30%削減できるとされています。

AIエージェントの構築 Amazon Bedrock エージェント・Bedrock Flows・Bedrock AgentCoreなどのツール群で、複数ステップのタスクを自律実行するAIエージェントを構築・デプロイできます。

Amazon Bedrockの料金体系

Amazon Bedrockの料金は、サービスに対して行われたAPIコールの数(トークン数)に基づくPay-as-you-goです。オンデマンド料金・バッチ処理・プロビジョンドスループットの3つの推論オプションがあります。最新の料金はAWS公式料金ページでご確認ください。

参考:Amazon Bedrock 料金(AWS公式)

Amazon SageMakerとは

Amazon SageMaker AI(旧称:Amazon SageMaker)は、機械学習モデルを大規模に構築・トレーニング・デプロイするために設計されたフルマネージドサービスです。AWS公式ドキュメントでは「ノートブック、デバッガー、プロファイラー、パイプライン、MLOpsなどのツールを使用して、基盤モデルをゼロから構築することが含まれる」と説明されています。

2024年12月のAWS re:Invent 2024において次世代プラットフォームとして大幅に刷新され、現在のAmazon SageMakerはSageMaker AI・SageMaker Unified Studio・SageMaker Lakehouse・SageMaker Canvasなどを内包する統合プラットフォームです。

※ 関連記事: Amazon SageMakerとは?機能・料金・活用事例3選をわかりやすく解説

Amazon SageMaker AIの主な構成要素

AWS公式ドキュメントによると、現在のAmazon SageMakerは以下の要素で構成されています。

  • SageMaker AI:MLモデルの構築・学習・デプロイを担うコア機能(旧SageMakerの主要機能を継承)
  • SageMaker Unified Studio:AWSのデータ・分析・AI・MLサービスを組み合わせた統合開発環境
  • SageMaker Lakehouse:S3・Redshift・外部データを統合するデータレイクハウス
  • SageMaker Canvas:ノーコードでMLモデルを構築できるビジュアルツール
  • SageMaker HyperPod:LLMなど大規模モデルのトレーニングに特化したクラスター管理サービス

Amazon SageMakerの主な機能

MLモデルの構築・実験 JupyterLabベースのSageMaker Studioで、TensorFlow・PyTorch・scikit-learnなど主要なMLフレームワークを使ってモデルを開発できます。

大規模分散トレーニング SageMaker TrainingはGPUクラスターを自動スケールし、大規模モデルのトレーニングをフルマネージドで実行します。トレーニング完了後はインスタンスが自動解放されるため、コストの管理がしやすい構造になっています。

ノーコードMLと自動化(AutoML) SageMaker Canvasのノーコードツールとオートメーション機能で、専門知識がなくてもMLモデルを構築できます。

MLOps・モデル管理 SageMaker Pipelines(CI/CDパイプライン)・SageMaker Model Monitor(本番モデルの監視)・SageMaker Clarify(バイアス検出・説明性分析)など、MLライフサイクル全体を管理するMLOpsツールが充実しています。

Amazon SageMakerの料金体系

Amazon SageMaker AIの料金は、コンピューティングリソース・ストレージ・その他サービスの使用量に基づく従量課金です。申し込み後最初の2ヶ月は無料枠があります。また、1年または3年の使用量確約と引き換えにコスト削減が可能なSavings Plansも提供されています。最新の料金はAWS公式料金ページでご確認ください。

参考:Amazon SageMaker AI 料金(AWS公式)

Amazon BedrockとAmazon SageMakerの違いを比較

AWS公式の決定ガイド(Decision Guide)をもとに、Amazon BedrockとAmazon SageMakerの違いを整理します。

AWSのAI階層における位置付け

AWS公式ドキュメントは、AWSのAIスタックを3層で以下のように定義しています。

  1. 最上層:Amazon QなどのAI活用サービス(生産性を向上させるアプリケーション)
  2. 中間層Amazon Bedrock(生成AIアプリケーションを構築するためのモデルとツール)
  3. 下層Amazon SageMaker AI(AIモデルを構築およびトレーニングするためのインフラストラクチャ)

この整理が示す通り、BedrockはAIを「使う・組み込む」サービスであり、SageMaker AIはAIモデルを「作る・鍛える」インフラです。

主要項目の比較表

AWS公式の決定ガイドに記載されている内容をもとに比較します。

比較項目 Amazon Bedrock Amazon SageMaker AI
主なユースケース カスタムモデル開発に多額の投資をすることなく、AI機能をアプリケーションに統合するのに最適 カスタムモデルを必要とする可能性のある、独自または特殊なAI/MLニーズに合わせて最適化
ターゲットユーザー 深層機械学習の専門知識がない開発者や企業向けに最適化 データサイエンティスト・機械学習エンジニア・開発者向けに最適化
カスタマイズ 主に事前トレーニング済みのモデルを使用。必要に応じてファインチューニング可能 完全に制御でき、必要に応じてモデルをカスタマイズまたはゼロから作成できる
料金体系 APIコールの数に基づくPay-as-you-go コンピューティングリソース・ストレージ・その他サービスの使用量に基づく料金
統合方法 APIコールを通じて事前トレーニング済みモデルをアプリケーションに統合 カスタムモデルをアプリケーションに統合し、カスタマイズオプションが多い
必要な専門知識 事前トレーニング済みモデルを使用するための基本レベルのML専門知識 データサイエンスと機械学習スキルの実践的な知識がモデル構築・最適化に役立つ
AWSスタックの位置 中間層(モデルとツール) 下層(インフラストラクチャ)
インフラ管理 不要(フルマネージド) インスタンス選定・管理が必要

Amazon BedrockとAmazon SageMakerはどちらを選ぶべきか

ここでは、Amazon BedrockとAmazon SageMakerはどちらを選ぶべきか、それぞれおすすめのケースを紹介します。

Amazon Bedrockが向くケース

AWS公式ドキュメントでは、以下のようなケースでAmazon Bedrockを選択することが推奨されています。

推論に事前トレーニング済みの基盤モデルを主に使用したい場合 Claude・Llama・Amazon Novaなどの既成の高性能モデルをAPI経由で呼び出し、テキスト生成・要約・Q&A・コード生成・画像生成などの生成AI機能を素早くアプリケーションに組み込みたいケースが該当します。

機械学習の専門チームがいない、またはインフラを管理したくない場合 Bedrockはフルマネージドのため、GPU環境やトレーニング基盤を意識することなく生成AIを活用できます。MLエンジニアがいなくても、アプリ開発者がAI機能を実装できます。

RAGシステムやAIエージェントを迅速に構築したい場合 Bedrockのナレッジベース(RAG)・Bedrock Agents・Bedrock Flowsなどのツール群を使えば、自社データに基づいて回答するチャットボットや、複数ステップのタスクを自律実行するAIエージェントを短期間で構築できます。

多様なモデルを比較・評価しながら最適なものを選びたい場合 Bedrockでは評価ツールを使って複数のFMを比較できるため、ユースケースに最適なモデルを柔軟に選択・切り替えられます。

Amazon SageMakerが向くケース

AWS公式ドキュメントでは、以下のようなケースでAmazon SageMaker AIを選択することが推奨されています。

独自データでカスタムモデルをゼロから構築・学習させたい場合 既製の基盤モデルでは対応できない特殊なドメイン(製造現場の品質検査・医療画像診断・独自言語処理など)のモデルを、自社データで構築したいケースが該当します。

基盤モデルの広範なトレーニング・ファインチューニング・カスタマイズが必要な場合 AWS公式ドキュメントでも「基盤モデルの広範なトレーニング、ファインチューニング、カスタマイズのメリットを享受できるユースケースがある場合はSageMaker AIを検討する」と明記されています。

ML開発からデプロイ・監視までのMLOps全体を管理したい場合 SageMaker Pipelines・Model Registry・Model Monitorなど、MLライフサイクル全体を一貫して管理するMLOpsツールを必要とするチーム・組織に向いています。

データ準備・ETL・分析・ML開発を統合した基盤が必要な場合 SageMaker Unified StudioやSageMaker Lakehouseにより、データの準備から機械学習・SQL分析・BI分析までを一つの環境でシームレスに行いたいエンタープライズ向けのユースケースに適しています。

両者を組み合わせるアプローチ

AWS公式の決定ガイドは、「両方のサービスを組み合わせて生成AIアプリケーションを構築できるシナリオ」があることを明示しています。実際のプロジェクトでは、両者を組み合わせた活用が効果的なケースも多くあります。

代表的な組み合わせパターンとして、SageMaker AIで独自データによるファインチューニングやカスタムモデルの学習を行い、その成果をBedrockのRAGシステムやエージェントと連携させてアプリケーションに組み込むというアプローチが挙げられます。また、SageMaker Unified StudioにはBedrock IDEが統合されており、一つの開発環境からBedrockモデルの探索・生成AIアプリの構築・MLモデルの開発を行える構造になっています。

「最初はBedrockで迅速にPoC(概念実証)を行い、カスタマイズの必要性が明確になった段階でSageMaker AIでのモデル開発に移行する」というステップアップのアプローチも、実践的な選択肢の一つです。

Amazon BedrockとAmazon SageMakerを選ぶ際のポイント

両サービスの選択を迷ったとき、以下の観点から自社の状況を整理することが有効です。

① 「AIを使いたい」のか「AIを作りたい」のかを明確にする 既存の高性能な基盤モデルをアプリケーションに組み込みたいだけであればBedrock、独自のモデルを一から開発・カスタマイズしたいのであればSageMaker AIが基本的な選択指針です。

② 社内の専門スキルを確認する 深層機械学習の専門チームがいない場合はBedrockが扱いやすく、データサイエンティストやMLエンジニアが在籍しているならSageMaker AIのフルポテンシャルを引き出せます。

③ コスト構造の違いを理解する Bedrockはトークン数に基づくAPI課金のため、利用量が読みやすく初期コストを抑えやすいです。SageMaker AIはインスタンス稼働時間に基づく課金のため、大規模・継続的なML開発には効率的ですが、停止し忘れ等によるコスト超過への注意が必要です。

④ 開発スピードと柔軟性のトレードオフを考慮する Bedrockは即時に高性能なAI機能を実装できる反面、モデルの制御範囲はAPIの仕様に依存します。SageMaker AIは完全な制御が可能ですが、モデル開発・インフラ設計に相応の工数と知識が必要です。

⑤ 将来的なスケールと拡張性を見据える 最初はBedrockでスタートし、ビジネスの成長に伴って独自モデルが必要になればSageMaker AIを追加するという段階的な拡張も、AWSエコシステムでは自然に実現できます。

Amazon BedrockとAmazon SageMakerを支援するHBLABのサービス

HBLABは、ベトナムに開発拠点を持つITソリューションカンパニーとして、AWS上でのAI・機械学習開発支援に豊富な実績を持ちます。「自社にはBedrockとSageMakerのどちらが合っているかわからない」「まずPoCから始めたいがリソースが足りない」「SageMaker AIでのカスタムモデル開発を内製化したい」など、フェーズやニーズに応じたサポートをワンストップで提供しています。

Amazon BedrockによるRAGシステム・AIエージェントの構築から、Amazon SageMaker AIを使ったカスタムMLモデルの開発・MLOps基盤の整備、さらには両サービスを組み合わせたエンタープライズ向けのAI開発基盤の構築まで、幅広くご相談いただけます。初回のご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

本記事では、AWS公式情報をもとにAmazon BedrockとAmazon SageMakerの違いを整理しました。要点を以下にまとめます。

AWS公式の決定ガイドが示す通り、両サービスはAWSのAIスタックにおいて異なる層に位置します。BedrockはAIを「使う・組み込む」中間層のサービスであり、SageMaker AIはAIモデルを「作る・鍛える」インフラ層のサービスです。

自社のAI活用目的・チームのスキル・コスト構造・開発スピードの優先度を整理した上で、最適なサービスを選択することが重要です。「どちらか一方だけを選ぶ」という二択ではなく、段階的な活用や両者の組み合わせも視野に入れると、AWS上でのAI活用の幅が大きく広がります。

導入の方針や設計についてお悩みの際は、ぜひHBLABへお気軽にご相談ください

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