データ活用とは|データ分析との違いやデータ活用の手順、メリット、活用事例を紹介

2023年7月19日

「データ分析」と「データ活用」は密接に関連していますが、異なる概念です。この記事では、「データ活用」について、その手順、メリット、そして事例を紹介します。

ビジネスや意思決定の際にデータを活用することは、今後ますます重要性が高まっていくでしょう。成功事例から学び、競争力を高めるためのヒントを得ましょう。

データ活用とは

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データ活用とは、ビジネスや意思決定においてデータを活用し、価値を生み出すプロセスです。ビジネスプロセスの中でデータを継続的に利用することで、業務の効率化や生産性の向上など、ビジネスの成功に貢献します。

総務省の調査「令和2年版 情報通信白書|日本企業におけるデータ活用の現状」によると、大企業の約9割、中小企業の半数以上がデータを活用しているのが現状です。企業のデジタル化が進むにつれ、取り扱うデータの量や種類が増加していることから、データに基づいた意思決定や課題解決がますます重要になっています。

データ活用とデータ分析の違い

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データ活用とデータ分析は密接に関連していますが、異なる概念です。データ分析は、データを収集し、整理し、分析するプロセスを指します。一方、データ活用はデータ分析の結果を活かして意思決定や戦略の策定、実行に役立てるプロセスです。データ分析はデータ活用の一部であり、データ活用はデータ分析の成果を組織全体に広めるための取り組みです。

また、両者には求められるスキルにも違いがあり、データ分析には統計学など数字を処理する専門的なスキルが必要であり、データ活用には実務経験に基づく知識やマーケティング経験など戦略や検証に関するスキルが必要です。

データの活用手順

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データを活用する際の手順は以下の通りです。

  • 1. 目的の明確化
  • 2. データの収集と統合
  • 3. データの加工
  • 4. データの分析手法の選択
  • 5. データの分析
  • 6. 分析結果の可視化と報告
  • 7. 具体的なアクションを計画し展開

1. 目的の明確化

データ活用の最初のステップは、活用する目的を明確にすることです。具体的な目標や課題を設定し、それに対してデータ活用がどのように貢献するかを明確にします。

データ分析を成功へ導くためには、社内で顧客満足度向上や生産コスト削減など、具体的な目標を設定することが重要です。データ分析は、目的を明確化し、社内で話し合うことで、より正確な結果を得ることができます。

2. データの収集と統合

次に、必要なデータを収集し、統合します。企業内部のデータ(例:顧客情報、製品情報、売上データなど)だけでなく、外部からのデータ(例:市場調査データ、競合情報、マーケティングデータなど)やパートナー企業からのデータ(例:サプライチェーン情報、物流情報、顧客情報など)も活用することがあります。

収集したデータを統合することで、企業全体の全体像を把握しやすくなります。さらに、データの分析により、企業の課題や機会を発見し、ビジネス戦略に反映させることが可能です。

3. データの加工

収集したデータは、分析しやすい形に加工する必要があります。データ分析に先立ち、データクレンジング、つまり不要なデータを削除したり欠損値を補完したりするのが重要です。また、データ変換も必要であり、データの形式を整えることで分析のための準備をします。

これには、文字列の変換、日付のフォーマットの変更などが含まれます。さらに、データ集約も必要であり、複数のデータをまとめたり、集計したりすることで、分析がスムーズに進むようにします。

4. データの分析手法の選択

適切なデータ分析手法を選択するには、データの性質や目的に応じて、統計分析、機械学習、ビジュアル分析など、様々な方法から選択することが必要です。また、データの信頼性を高めるために、データクレンジング、データの変換などの前処理を行うことも重要です。

選択した手法に基づいて、データの可視化と解釈を行い、ビジネス上の洞察を得ることができます。選択した手法とデータの性質に基づいて、効果的なデータ分析を行うことで、ビジネス上の問題を解決することができます。

5. データの分析

選択した分析手法を用いて、データを詳細に分析します。この分析には、データの収集、整理、可視化が含まれます。分析によって、パターンやトレンドが発見され、ビジネス上の価値を生み出す情報が抽出されます。

例えば、顧客の行動パターンを分析することで、需要予測やターゲットマーケティングに役立つ情報を得ることができます。また、商品の売り上げと天候の相関関係を特定することで、天候に応じた在庫管理戦略を立てることが可能です。

6. 分析結果の可視化と報告

分析結果をわかりやすく可視化し、報告することは、ビジネスにとって非常に重要です。可視化によって、数値やデータを視覚的に表現し、ビジネス関係者に有益な情報を提供することができます。グラフやチャート、ダッシュボードなどのツールを活用することで、情報をわかりやすく伝えることが可能です。

さらに、ビジネス関係者がより深く理解できるように、分析結果に関する詳細な説明を追加することもできます。例えば、分析方法や仮説の設定など、分析の背景やプロセスについて説明することができます。これによって、ビジネス関係者が分析結果をより深く理解し、結果を活用することができるようになります。

7. 具体的なアクションを計画し展開

分析結果に基づいて、具体的なアクションプランを策定し、実行に移すことが重要です。データの活用には、洞察を得ることだけでなく、実際の業務や戦略に反映させることによって真の価値を生み出すことができます。

例えば、分析を通じて、新しい市場の機会を特定した場合、これを裏打ちするために、市場調査を行うことができます。また、得られたデータをもとに、製品やサービスの改良点を洗い出し、顧客ニーズに合った製品やサービスを提供することが可能です。さらに、競合分析を行い、市場環境の変化に合わせた戦略を立てることもできます。これによって、企業の成長につながる価値を生み出すことができます。

データ活用のメリット

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データを活用することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 意思決定の根拠
  • 需要予測や効果的なマーケティング戦略の立案に役立つ
  • 顧客満足度の向上
  • 市場競争力の強化
  • イノベーションの促進

意思決定の根拠

データ活用による意思決定は、ビジネスにおいてますます重要性を増しています。データを収集し、分析することで、過去のパターンを特定し、未来の展望を予測できます。これにより、企業は、より効果的な戦略を立てることができます。

データの分析は、多くの場合、直感や経験に代わるものとして考えられます。データが提供する客観的な情報を基に意思決定を行うことで、より信頼性の高い結果を得ることが可能です。また、データによって、ビジネスに関する新しい発見や、知られていなかったトレンドの発見が可能になる場合があります。このように、データ分析は、企業の成功に不可欠な役割を果たしています。

需要予測や効果的なマーケティング戦略の立案に役立つ

データ活用により、需要の予測やマーケットのトレンドを把握することができます。これにより、需要予測に基づいた効果的なマーケティング戦略を立案し、競争力を強化することができます。企業は、市場や顧客のニーズを正確に把握し、それに基づいて製品やサービスを提供するために、データ活用を積極的に取り入れる必要があります。これによって、競争優位性を獲得し、市場での地位を強化することができます。

顧客満足度の向上

データ活用により、顧客の行動や嗜好を把握することができます。顧客データを活用して、個別のニーズに応えるサービスや製品を提供することで、顧客満足度を向上させることが可能です。顧客満足度を向上させることで、リピート率の向上や口コミによる新規顧客の獲得など、ビジネスにとって重要な効果が期待できます。また、顧客満足度を向上させることで、企業のブランド価値を高めることができます。

市場競争力の強化

データ活用により、市場や競合他社の動向を把握することができます。競合分析や市場調査を通じて、競争力を高めるための戦略を立案し、市場での優位性を確保することができます。データ活用により、どのような商品が需要が高いかや、どのようなターゲット層に需要があるかなどを把握することが可能です。これにより、競合他社に先んじて、市場に適した商品やサービスを提供することができ、市場での地位を強化することができます。

イノベーションの促進

データ活用により、企業は新しいアイデアを発見し、新しい製品やサービスを提供することができます。

例えば、顧客の行動パターンを分析することで、新しい商品開発のヒントを得ることが可能です。また、データに基づいた市場調査を実施することで、ニーズの変化や新しい市場を発見することができます。これによって、企業は、より先進的な製品やサービスを提供することができ、市場での競争力を高めることが可能です。

データ活用の主な事例

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データ活用の主な事例は以下の通りです。

  • データアナリティクスにより売上20%増加(ヤクルト)
  • 消費行動を理解するAIエージェントの活用(楽天)
  • ビッグデータを活用した新データ分析ツールを宿泊施設に提供(エクスペディア)
  • ペダル踏み間違い時の「急アクセル時加速抑制機能」を開発(トヨタ)
  • Suicaのビッグデータを分析した「駅カルテ」(JR東日本)

データアナリティクスにより売上20%増加(ヤクルト)

ヤクルトでは、アナリティクスとデータ可視化を行うためのソフトウェア「Spotfire」を利用して、ヤクルトのオランダ支社の売り上げを15~20%も伸ばした実績があります。同社はデータを収集・分析し、健康志向が強いコンシューマーが「ヤクルト」を好んで購入していることを見出しました。女性客は少しずつ頻繁に購入するが、男性客は大量のパックをまとめ買いする傾向にあることも分かりました。

具体的には商業ブランドの追跡調査、小売店から受けた注文、気象データ、広告キャンペーン、Googleの検索エンジンから取得するデータ、ヤクルトの公式Webサイトの訪問者数、マスメディアに掲載されたヤクルト関連の記事の分析などのデータをSpotfireに入力し、トレンドを分析してきました。

参考:ヤクルトの売り上げを大幅に伸ばしたデータアナリティクスの秘密|Computer Weekly – ITmedia エンタープライズ

消費行動を理解するAIエージェントの活用(楽天)

楽天では、ビッグデータを分析して消費行動を理解し、マーケティングソリューションに活用するAIエージェント「Rakuten AIris」を開発しました。このエージェントは、機械学習を活用し、消費行動の分析結果をもとに、高精度な拡張ターゲティング広告配信を行うことができます。これにより、購買実績のないユーザー層からも見込み客を抽出し、広告配信が効果的になります。従来の拡張ターゲティング配信と比較し、購買率が5倍以上になったケースもあるという。楽天は今後も「Rakuten AIris」を拡充し、マーケティング活動を支援する予定です。

参考:楽天、ビッグデータを分析して消費行動を理解するAIエージェント「Rakuten AIris」を開発|楽天

ビッグデータを活用した新データ分析ツールを宿泊施設に提供(エクスペディア)

エクスペディア グループは、提携宿泊施設向けに新ツール「お客様情報(Guest Insights)」の提供をしています。同ツールを利用すると、宿泊施設が対象にしたいさまざまな期間やマーケットについて、お客様の居住地、平均客室単価、平均リードタイム、平均宿泊数、平均キャンセル率など、過去のデータや分析データを瞬時に得られます。このツールにより、宿泊施設は顧客の嗜好や需要予測を把握し、より効果的な価格設定やマーケティング施策を展開することができます。

エクスペディア グループは、提携宿泊施設向けツールのさらなる開発を目指し、テクノロジーに投資した費用は昨年だけで 43億米ドルに上ります。

参考:エクスペディア、ビッグデータを活用した新データ分析ツールを宿泊施設に提供開始|観光経済新聞

ペダル踏み間違い時の「急アクセル時加速抑制機能」を開発(トヨタ)

トヨタでは、コネクティッドカーから得られたビッグデータに基づき、ペダルの踏み間違いによる異常なアクセル操作を特定し加速抑制を行う「急アクセル時加速抑制機能」を開発しました。新型車から順次導入するとともに、この機能が入った、既販売車種向けの後付け踏み間違い時加速抑制システムを同時期に商品化を進めてきました。

当開発にあたり、実際の踏み間違い事故発生時に、アクセルペダルが全開で踏まれた状況を分析し、コネクティッドカーから得られたビッグデータと照合することが可能になりました。右折時や一時停止後など、ドライバーが実際に急加速を必要とする状況を除くことにより異常なアクセル操作状況を特定して割り出し、障害物がなくても加速を抑制できるようになりました。

参考:トヨタ自動車、ビッグデータを活用した、ペダル踏み間違い時の「急アクセル時加速抑制機能」を開発、本年夏に導入|トヨタ

Suicaのビッグデータを分析した「駅カルテ」(JR東日本)

JR東日本はSuicaの利用データを分析し、「駅カルテ」と呼ばれる情報を作成しました。この情報により、各駅の利用状況や乗客の動向を把握し、駅周辺の施策やサービス改善に役立てています。駅カルテは、毎月のSuicaの利用データを集計し、JR東日本の首都圏約600駅の各駅について、その利用状況を分析したレポートです。

駅ごとのSuica利用者数を時間帯別・性別・年代別に表示するほか、利用状況に基づき、住宅、オフィス工場、商業、観光、学園の5つの駅タイプを点数で表します。また、対象駅と行き来が多い駅について、地図上に表示しています。

参考:JR東日本、Suicaのビッグデータを分析した「駅カルテ」

まとめ

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この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。

  • データ活用は、ビジネス戦略に役立ち、課題や機会を発見することができる。
  • データ活用により、意思決定の根拠、需要予測や効果的なマーケティング戦略の立案、顧客満足度の向上、市場競争力の強化、イノベーションの促進などのメリットが得られる。
  • データ活用の事例として、ヤクルトの売り上げ増加、楽天のAIエージェント活用、エクスペディアの新データ分析ツール提供、トヨタの急アクセル時加速抑制機能開発、JR東日本のSuica利用データ分析が挙げられる。

データ活用するためのシステムやアプリケーションの設計、開発、運用には、幅広い知識と経験を持ったエンジニアが必要です。そのため、専門企業に外注することをおすすめします。企業選びに迷われた場合は、株式会社エイチビーラボにご相談ください。

株式会社エイチビーラボでは、ベトナムに特化したオフショア開発サービスを提供しております。データ活用を行うためのシステムを開発するために、専門的な知見や経験を持ったエンジニアが在籍しています。データ活用を行うためのシステム開発にお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。ご相談から開発、運用まで親身にサポートいたします。

 

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