ベトナムでオフショア開発を成功させる方法を解説

オフショア開発とは、海外の子会社や開発会社にシステム開発や運用保守などの業務を委託する開発手法です。

海外ではアメリカと中国、ベトナムといった国がそれぞれオフショア開発を行う会社が増えてきます。

その中でベトナムがIT企業の経済成長が盛んな理由は、人材の教育を推進していることが挙げられます。

スマホアプリ開発やソフトウェア開発などは日本で請け負うことが一般的ですが、ベトナムでは先端技術の高度なレベルを持った人材が多いのが特徴です。

オフショア開発では、製造業やソフトウェア業界、物流業界など幅広い業界のシステムの開発の成功事例が増えています。

しかし、オフショア開発を行うにあたって、日本とベトナムでの言語と文化的な壁があるのが課題となっています。

本記事では、ベトナムでオフショア開発を成功させる方法についてご紹介していきます。

オフショア開発とは

オフショア開発とは、英語に訳すとOffshore Developmentと呼ばれる海外のIT企業・子会社にインフラ構築・システム開発などの業務を委託する開発手法です。

元々はコストを抑える手段として大手企業を中心に開発を行っていて、今では中小企業や自社システムの開発を行う事業会社などに拡大しています。

特にベトナム、インドでオフショア開発が盛んになり、人件費が安いアジア圏の企業に委託することで開発コストの削減を実現してきました。

ITエンジニアのプログラミング言語とコミュニケーションスキル、開発ジャンルなど多彩なスキルを持ったIT人材が多く採用されているのが大きな特徴です。

ラボ型開発

ラボ型開発とは、オフショア開発の一つでラボ型契約を行う際に締結する必要のある契約です。

ある一定期間に海外のエンジニアを確保して開発できるもので、契約形態が準委任契約となります。

海外のエンジニアを採用でき、仕様変更や定期的な案件で優秀な人材を確保したい場合に対応できるのが特徴です。

ベトナムが企業拠点となるオフショア開発の背景

オフショア開発はアジア諸国を中心に広がっており、日本との経済交流やIT需要が盛んになっています。

近年ではITの需要が高まる一方、国内のIT人材のリソース確保がより一層難しくなっていることが課題となっています。

オフショア開発の目的の一つが、IT人材リソースの確保で、国内で開発を行うより開発コストを抑えることです。

ベトナム人は元々向上心が高く、科学・プログラミング・工学・数学などのスキルアップに向けて勉強を続ける人が多いです。

そのため、ベトナムはオフショア開発の業務委託先として人気を集めている理由の一つとされています。

オフショア開発のメリット

IT企業でシステムをオフショア開発で委託すると、人件費が安くなったり優秀なエンジニアが確保しやすいのがメリットです。

オフショア開発は人件費が安いことから、ラボ契約を行うことができ、自社専用の開発チームを構築しやすくなり、スキル・ノウハウが蓄積しやすくなります。

ここからは、オフショア開発のメリットについてご紹介していきます。

日本よりコストが安くなる

オフショア開発は、日本と比べて人件費や事業コストなどが安価である点です。

日本では高スキルなエンジニアを採用するのに、高い費用がかかり、採用が難しいケースがありました。

一方で、ベトナムでは優秀なIT技術者が多く、日本における人材不足やリソース不足を改善する効果があります。

日本国内ではIT人材不足が深刻化していて、オフショア開発では開発業務を委託できるため、人材不足を解消ができるのがポイントです。

優秀なエンジニアが採用しやすい

オフショア開発のメリットの一つとして、優秀なエンジニアが確保しやすい点です。

日本では従来、エンジニアの人材が不足が大きな課題となっており、教育にかける時間とコストがかかるケースが少なくありませんでした。

一方でオフショア開発では、大学でITの専門教育を学んだ人材や前職で実務経験を積んだ人材をスピーディーに確保することができます。

特にベトナムではオフショア開発国として高い人気を集めており、先端技術のスキルを活かせる環境であるのがポイントです。

自社専属の開発チームが構築できる

オフショア開発では、ハイレベルなIT人材が揃いやすく、自社専属の開発チームが構築しやすいことです。

開発チームの体制として、プログラマーやブリッジSE・システムエンジニアなどの開発人員を一年単位で進めることが一般的ですが、オフショア開発は少人数で短期間で開発を進めることができます。

ラボ型開発を採用すると、コミュニケーションや仕事の進め方がよりスムーズになります。

システムの仕様変更や修正があったとき、ITエンジニアにアサインするだけで柔軟な対応ができるのがメリットです。

オフショア開発のデメリット

オフショア開発は高レベルなエンジニアを確保したり人件費や教育コストが抑えられる半面、デメリットが存在します。

それは、言語を扱ったコミュニケーションや進捗の確認が見えにくいといった点です。

オフショア開発を行う上で、これらのデメリット押さえて解説していきます。

コミュニケーションが難しくなる

オフショア開発は日本と海外の方と一緒にチームを組んでプロジェクトを進めることができます。

海外の方と仕事を進める上で、日本人とは言語や文化が異なるため、プロジェクトメンバーとのコミュニケーションが難しくなるのが一つです。

例えば、要件定義の内容や仕様に関する細かい指示が伝わらない場合があり、要求した成果物が得られないリスクがあります。

開発拠点がベトナムを選ぶ場合、日本の文化と異なるため、お互いの文化を受け入れることが必要です。

そのため、言語とのコミュニケーションを円滑に進めるためには日本語特有の表現は避け、ローコンテクストなやり取りを心掛けることが大切です。

進捗管理が把握しづらいケースがある

オフショア開発は日本と海外で同時開発を行うため、対面よりもプロジェクトの進捗が見えにくいという点です。

従来は国内開発のように社内ですぐ進捗を確認できる環境ではないため、開発企業側とのコミュニケーションに齟齬が生まれやすくなります。

そのため、システムをオフショア開発する際は、進捗管理や品質管理の連絡が遅延するリスクをある程度把握する必要があります。

海外との開発でコミュニケーションを円滑にするには、進捗状況を可視化した作業工程表を活用することがおすすめです。

コストや納期が遅延する可能性がある

オフショア開発ではプロジェクトを進めるとき、国内開発より品質管理する難易度が高まります。

最終的にシステムが完成したとしても、本番環境でコードにバグがあったり大幅な作り直しになるというケースが少なくありません。

特にオフショア開発でアジャイル手法で開発する際に、全体的な詳細仕様が決まっていないケースが多いです。

オフショア開発は短納期で開発が完了できるというメリットがありますが、発注者と開発者側とコミュニケーションを取らないと大幅な品質問題を起こす原因になります。

こうした問題を防ぐためには、委託先にブリッジSEを採用し、コミュニケーションの障壁を取り除くことが大切です。

オフショア開発を成功させる方法

オフショア開発を成功するには、仕様や何を作りたいのかを明確にすることを意識することが重要です。

日本と海外メンバーとシステム開発を成功させるにはどうすればいいのか詳しくご紹介します。

上流工程を細かく決め、分かりやすい指示で伝える

オフショア開発でプロジェクトを円滑に進めるには、最初に上流工程を細かく決めて分かりやすい指示で伝えることが大切です。

システム開発は、基本的に上流工程の決定に従ってコーディングから本番テストへと下流工程は進められます。

上流工程はシステム開発の中で、重要な過程で、システムの構想や開発計画を行うフェーズです。

クライアントが要求したシステムが汲み取れないまま進めると、手戻りや作り直しが発生しています。

そのため、海外メンバーと円滑にやり取りするためには、週に1度オンライン会議を行うなどプロジェクトの目的を見直す必要があります。

相手の国の文化を把握する

オフショア開発を活用する際は、発注先の国の言語や文化に違いがあることを把握するようにしましょう。

先方の国の文化を理解しないと、コミュニケーションにギャップが生まれ開発が進みづらくなるリスクがあります。

業務で意思疎通を行うのに、言葉における受け取り型や仕事に対する意識も異なるというのが課題となっているケースが多いです。

オフショア開発では、発注先とコミュニケーションを図っていくために相手の国の文化や習慣を受け入れることが大切です。

開発実績の高い会社に発注する

自社が海外にオフショア開発で依頼する際は、成果物が高品質であるか、同業界の対応実積がいいのか確認するようにしましょう。

開発会社から提供される実績資料も参考になりますが、開発期間や確保できる人数などをチェックすることがポイントです。

オフショア開発には開発言語やフレームワークは何を使っているか、バックエンド開発なのかアプリ開発など企業が得意とする領域がそれぞれ異なります。

自社でオフショア開発を始める場合は、得意な言語や実績、プロジェクト期間について確認するようにしましょう。

品質管理体制を徹底する

オフショア開発の失敗例として、システムの品質が低いということが挙げられます。

システム開発において、品質管理は開発プロセスの設計や開発、テストの各工程で評価・改善をするための重要な工程です。

品質管理の目的は、品質確保や基準達成、セキュリティ性などこれらのシステムの高い品質基準を満たすことです。

オフショア開発で現地人とシステムの要件を把握しないまま進めると、システムの品質が低いという結果につながる可能性があります。

そのため、品質管理に不備が発生しないように現地側でどんなテストを実施しているかコミュニケーションを取ることが大切です。

まとめ

本記事では、ベトナムでオフショア開発を成功させる方法についてご紹介しました。

オフショア開発とは、システム開発やテスト工程、運用保守などを海外に委託する手法です。

ベトナムはオフショア開発の主要な国であり、業務と経験を通じてスキルアップにつながりやすいのが特徴です。

あらかじめ期間を設けて必要な人員を用意することができるため、日本より人件費が安くなります。

しかし、オフショア開発は言語や価値観の障壁があり、意思疎通がなかなか取れないことがあります。

そのため、システム開発を行う上では現地人と円滑にコミュニケーションが取れるように明確な指示や規定を設定することが大切です。