アプリ開発に興味があるものの、どのプログラミング言語を使うべきかわからないという方は多いのではないでしょうか。本記事では、Swiftという言語のメリット・デメリットやSwiftを使ったアプリ開発の流れについて解説します。
Swiftとは?
SwiftはApple社が開発したプログラミング言語であり、Apple社製品向けアプリを開発するために使われます。
Apple社製品の中でもiPhoneは私達の生活にとって身近であり、iPhoneで使える便利ツールやゲームの開発の需要は高いです。
また、Swiftはプログラミング言語全体の中でも注目度が高いことで知られています。
プログラミング言語の注目度をまとめた「TIOBE Index for June 2022」でも、Swiftは10位となっており注目度の高さがうかがえるでしょう。
Objective-Cとの違い
Objective-Cは同じくApple社が開発したApple製品向けのプログラミング言語です。C言語をベースに、大規模開発でも使いやすいようオブジェクト指向化しています。
Objective-Cは長らくiPhoneアプリ開発などで使われていました。しかし、最近はSwiftとシェアが逆転しています。
Objective-Cは決して悪い言語ではありませんが、Swiftに比べると性能が低いです。プログラミング言語は他に優秀な言語が誕生すると、シェアを一気に落としてしまうこともあります。「TIOBE Index for June 2022」でも14位となっており、去年よりも順位が低いです。
これからiPhoneアプリ開発を勉強する場合、特にObjective-Cを選択する理由はなく、Swiftを選択した方が良いでしょう。
Swiftで開発できるアプリの種類
Swiftはアプリ開発で人気の高いプログラミング言語ですが、どのようなアプリ開発にも使えるわけではありません。Swiftで開発できる代表的なアプリは次の4つです。
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- iPhoneアプリ
- Macアプリ
- Apple TVアプリ
- Apple Watchアプリ
これらのアプリ開発を行うならSwiftを選択すべきですが、Webアプリや組み込みシステムなどの開発には使えないので注意が必要です。
1つ1つのSwiftで開発できるアプリについて詳しく解説していきます。
1.iPhoneアプリ
iPhoneはApple社が販売する製品でAndroidと並ぶ代表的なスマートフォンです。最近ではガラケーではなくスマホを持つ人が多く、iPhoneのアプリ開発は高い需要を誇っています。
iPhoneはAndroidに比べ、挙動が早かったりMacパソコンと連携させやすかったりといくつもメリットがあるため、iPhoneを選択するユーザーは多いです。
Swiftでのアプリ開発案件の多くがiPhoneアプリ開発となっています。iPhoneアプリ開発は今後も伸びる分野と言えるでしょう。
2.Macアプリ
MacはWindowsと並ぶ代表的なパソコンのOSです。Macはエンジニアの方が多く使いますが、一般ユーザーからも高い人気を誇っています。
Macは扱いやすいGUIを導入しているため操作も簡単なうえに、デザイン性にも優れている点が魅力です。
ただし、MacはWindowsに比べ対応しているアプリの種類が少なくなっています。今後はMacユーザーが増えることが予想されるため、SwiftでのMacアプリ開発の案件も増えるでしょう。
3.Apple TVアプリ
Apple TVとはApple社が提供しているデバイスで、テレビに接続することで映画やゲームなどを楽しむことができます。
SwiftではApple TVで使われるアプリを開発することも可能です。たとえば、動画配信サービスや音楽配信サービスなどのアプリがあります。
4.Apple Watchアプリ
Apple WatchはApple社が提供している腕時計型のデバイスで、iPhoneと連携することで電話やメールなどのツールを使うことができます。
睡眠管理アプリや写真アプリ、タイマーアプリなどをSiwftで作ることが可能です。Apple Watchも人気が高まっているため、需要のある開発分野と言えるでしょう。
Apple Watchの魅力は、Macアプリと連携が可能なことです。たとえば、Macのカレンダーアプリに保存した予定表をApple Watchでいつでも確認することができます。
Swiftでアプリ開発を行うメリット
Swiftでアプリ開発を行うメリットは次の4つです。
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- 学習コストが低い
- アプリの速度を速められる
- フレームワークが多いため開発効率を上げられる
- 安全性が高い
Swiftでのアプリ開発の人気がObjective-Cを抜いたのもこれらのメリットがあったためです。これらのメリットを知っておくことで、初めてSwiftを使いこなせるようになります。1つ1つのメリットについて詳しく解説していきましょう。
1.学習コストが低い
Swiftは学習コストが低く、初心者でも学びやすい作りになっています。Apple社はObjective
-Cの反省を活かし、よりシンプルな言語を生み出しました。Swiftは文法も平易であり、覚えることもあまり多くはありません。
アプリ開発を依頼する側からすれば、学習コストが低い=エンジニアの採用が容易で人件費を抑えやすい、というメリットがあります。
2.アプリの速度を速められる
SwiftはObjective-Cよりも処理速度が早く、iPhoneアプリをサクサク動かすことができ、ユーザーに与えるストレスを減らすことが可能です。Objective-Cよりも最大2.6倍も処理速度が早くなっています。
3.フレームワークが多いため開発効率を上げられる
Swiftでアプリ開発を行う場合、PerfectやSwiftonなど多くのフレームワークを選択することができます。フレームワークとは、開発時に枠組みとして使うものであり、上手く活用すれば作業効率を上げることが可能です。
フレームワークはApple社ではなく他の企業や個人が開発しています。フレームワークの種類が多いということは、それだけ言語としての期待値が高い証でもあるでしょう。
4.安全性が高い
Swiftでのアプリ開発は安全性が高く、思わぬバグが発生しにくいのもメリットです。
たとえばソースコードの記述ミスに気がつきやすかったり、メモリ管理にも気を配りやすかったりと、プログラミング言語としても優秀であると言えます。このあたりもObjective-Cの反省点を生かしているでしょう。
Swiftでアプリ開発を行うデメリット
続いて、Swiftでアプリ開発を行うデメリットを解説します。
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- Androidアプリを同時開発できない
- 開発の参考にできる情報が少ない
- コンパイルが遅い
Swiftでアプリ開発を行う場合はこれら3つに注意しなくてはいけません。1つ1つのデメリットについて詳しく解説していきます。
1.Androidアプリを同時開発できない
SwiftではAndroidアプリは開発できません。Androidアプリ開発ではJavaやKotlinが使われてます。
AndroidとiPhoneアプリを両方提供したい場合、2つの言語を使い分けなくてはいけないため、その分開発コストがかかってしまうのが難点です。
ちなみに、Dart言語でのFlutter開発を行えば、1つの言語でAndroidとiPhoneアプリを両方開発することができます。Dart言語は、JavaScriptの代替としてGoogleが開発した言語であり、FlutterはDartのモバイルアプリフレームワークです。DartとFlutterは現状まだ導入例が少ないですが、iPhoneアプリ開発を行うなら知っておきたい技術と言えます。
2.開発の参考にできる情報が少ない
Swiftはまだ新しい言語であるため、わからない箇所を調べてもネット上に問題を解決できる情報がないことが難点です。特に日本語の情報は少ないため、英語が読めないと苦労するかもしれません。
とはいえ、今後Swiftでのアプリ開発の人気がさらに高まれば、日本語の情報も増えていくことが予想されます。
3.コンパイルが遅い
Swiftでアプリ開発を行う場合、コンパイル時間が他言語に比べ長いのもデメリットと言えます。
コンパイルとは、ソースコードを機械語に翻訳する作業のことです。Swiftは記述の簡易化を重視している分、翻訳に時間がかかってしまいます。
コンパイルが遅いと待ち時間が増えてしまい、開発期間も長くなる可能性があるでしょう。
Swiftでアプリ開発を行う流れ
続いて、Swiftでアプリ開発を行う流れについてみていきましょう。iPhoneアプリ開発などを行う場合、次の4つの流れに従うことが多いです。
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- 設計
- 開発
- テスト・リリース
- 運用保守
1つ1つの開発の流れについて詳しく解説しましょう。
1.設計
まずどのようなアプリを開発するか設計を行います。依頼側は、開発企業の担当者と打ち合わせを行い、アプリのコンセプトや最低限必要な機能などを伝えなくてはいけません。
担当者は最新のトレンドやターゲット層を踏まえ、どのようなiPhoneアプリが最適なのかアドバイスしてくれることが多いです。両社で何度か話し合い、アプリの仕様を固めていきます。
仕様を固めた後は、開発企業が要件定義書を提出するのが一般的です。要件定義書の内容を確認し、こちらの要望を正しく通っているか確認します。
その後、契約書や見積書も渡されるので同じく確認し、問題なければ契約処理を行うのが通常の流れです。
2.開発
契約後、開発企業は要件定義書を元にアプリの設計書を作成します。アプリの表側の処理内容、裏側の処理内容を明確に定め、各プログラムの動作をまとめます。
その後、設計書を元にSwiftでのプログラミングを行うのが通常のフローです。Swift以外にも、JavaScriptやHTML・CSSといった言語が使われることが多いです。
3.テスト・リリース
プログラムが完成したらテストを行います。プログラムのチェック項目を仕様書に沿って洗い出し、要件通りに正しく動くか確認しないといけません。挙動が正しいかだけでなく、ユーザーにとって使いにくい部分がないかも確認します。
テストが完了したら、iPhoneアプリを公開して納品完了です。
4.運用保守
公開後もiPhoneアプリはユーザーの要望やクレームを元に適宜修正を加える必要があります。開発企業は公開後の運用・保守まで対応してくれることがほとんどです。
具体的には、プログラムのメンテナンスやログの確認などを行ってくれます。
iPhoneアプリの場合、プログラムを更新したらユーザーに再度インストールしてもらわないといけません。そのため、更新と同時にユーザーに通知を送るのが一般的です。
iPhoneアプリ開発にかかる費用について
最後にiPhoneアプリ開発にかかる費用について説明しましょう。
iPhoneアプリ開発には60万円前後はかかることが多いです。もちろん、機能が複雑なアプリはさらに費用が上乗せされてしまう場合があるでしょう。
システム開発にかかる費用は設備費と人件費に分かれますが、ほとんどは人件費です。なるべく人件費を抑えて開発できる企業に依頼するのが、費用を抑えるコツと言えます。
たとえば、オフショア開発を行っている企業は、人件費の安い海外に開発を委託しているため費用を抑えやすくおすすめです。
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オフショア開発の5つのメリットと4つのデメリット・対策方法を公開
最後に
この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。
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- Swiftで開発できるアプリの種類:iPhoneアプリ/Macアプリ/Apple TVアプリ/Apple Watchアプリ
- Swiftでアプリ開発を行うメリット:学習コストが低い/アプリの速度を速められる/フレームワークが多いため開発効率を上げられる/安全性が高い
- Swiftでアプリ開発を行うデメリット:Androidアプリを同時開発できない/開発の参考にできる情報が少ない/コンパイルが遅い
- Swiftでアプリ開発を行う流れ:設計/開発/テスト・リリース/運用保守
SwiftはApple製品のアプリ開発には欠かせない言語です。たた、Swiftを扱えるエンジニアは現状多くないため、自社での開発が難しい場合も多いのではないでしょうか。
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