システム開発とは具体的に何を行うのかご存知ない方もいるのではないでしょうか。本記事ではシステム開発の定義や外注にかかる費用、注意点などについて解説します。
システム開発とは?
そもそもシステム開発とは何か、というところから解説します。
システム開発とは企業課題を解決するためのIT技術を生かしてアプリやシステムを開発することです。
たとえば、「営業部の残業時間が多い」という課題があったとします。この場合、顧客管理システムを作り、営業職の事務的な作業を減らす、営業活動に集中させるなどが解決策になるでしょう。
他にも、「自社サイトがハッキング被害に合わないか不安」という課題があった場合は、ログ管理システムを作り、サイトのログを管理し不審アクセスを把握できるようにする、などが解決策になります。
このように、企業の課題を解決するための開発がシステム開発なのです。
反対に課題とは無関係のシステムやアプリの開発は、システム開発には該当しません。たとえば、趣味でスマホアプリを作るなどは基本的にシステム開発とは言わないでしょう。
システム開発とソフトウェア開発の違い
ソフトウェア開発とはWordやExcelなどのソフトウェアを開発することです。1から製品を開発する場合だけでなく、既存パッケージを改良する場合なども含みます。
システム開発は、企業課題を解決するための開発であることに対して、ソフトウェア開発は単にソフトウェアを開発する場合を指します。
つまり、ソフトウェア開発はシステム開発の一部ということです。システム開発では、ソフトウェア開発も含めた会社のシステムの開発を行います。
システム開発の基本的な流れ
システム開発は決められた流れに沿って行うことが多いです。基本的には次の8つの流れに沿って行います。
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- 企画
- 要件定義
- 簡易設計
- 詳細設計
- 開発
- テスト
- リリース
- 運用・保守
いきなり開発フェーズに入ることはなく、要件定義や設計を行った後に開発へと入ります。詳しいシステム開発の工程に関しては以下の記事で解説していますので、併せてお読みいただけるとシステム開発に関する理解がより深まるでしょう。
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システム開発にかかる費用の決め方
システム開発の外注を検討している方は、外注費用がどの程度になるのか気になるでしょう。システム開発の費用は、設備費と人件費に分けるのが基本です。
設備費とはシステム開発に必要なハードウェアやソフトウェアのライセンス料、電気代などのランニングコストなどを指します。設備費に関してはどの企業に外注する場合でも、そこまで料金に差はないでしょう。
問題は人件費です。人件費とは、プログラマーやSEなどシステム開発に携わる人材の工数に対する費用となり、システム開発費用のほとんどは人件費となります。
人件費は次の計算式で決まると考えると分かりやすいです。
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- 人月(1ヶ月間の人員数)*人月単価(人員の平均給料)*開発期間
たとえば、月収50万の人10名で3ヶ月開発する場合、50万*10名*3ヶ月=1500万円の人件費がかかるという計算になります。
システム開発の人件費を抑える方法にはいくつかありますが、代表的なものがオフショア開発を行う方法です。オフショア開発とは海外の人件費の安いエンジニアに委託する方法であり、最近注目されています。オフショア開発について詳しく知りたい方は次の記事を参考にしてください。
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システム開発の具体例
一口にシステム開発といってもさまざまな種類があります。システム開発の中でも代表的なものを5つ紹介しましょう。
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- 顧客管理システム
- ログ管理システム
- 予約管理システム
- POSシステム
- ECサイト
具体例を知ることで、システム開発に関するイメージが湧いてくるでしょう。1つ1つの例について詳しく解説していきます。
1.顧客管理システム
顧客管理システムは顧客情報を一括管理するためのツールです。
管理画面から顧客の住所や会社名、成約率、などの情報をすぐに検索することができます。また、システムによっては名刺を読み込んで顧客情報を自動更新できるものもあり、更新の手間を省くことが可能です。
顧客管理システムを導入することで、営業効率などを上げられるでしょう。
2.ログ管理システム
ログ管理システムとは、システムが出力するエラーログやアクセスログを一元管理するツールのことです。
管理画面からすべてのログを参照することができ、各プログラムに異常がないか調べられます。システムの運用・保守の効率を上げられるほか、障害にいち早く気がつけるメリットもあるでしょう。また、ユーザーのアクセスログなどはマーケティングなどに活用することも可能です。
ログ管理システムの導入ポイントや注意点などは以下の記事にまとめてあります。
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ログ管理システムとは?導入の注意点やポイントについて解説
3.予約管理システム
予約管理システムはお店などのオンライン予約を可能にするツールのことです。ユーザーはシステムから希望日時に予約することができ、決済処理も同時に行えます。
予約管理システムを導入することで、ユーザーがお店で待つ時間を減らすことができ、ユーザー満足度向上に繋げることが可能です。また、システムに蓄積される予約情報は、マーケティングやサービス改善に活用することができます。
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予約システム開発とは?搭載すべき機能やコスト、取り入れるメリットを解説
4.POSシステム
POSシステムとはスーパーなどのレジと繋がるシステムのことであり、レジを通った商品の情報を記録することが可能です。
毎日どの商品がどの程度売れたのかを記録することができます。また、売上を自動で分析する機能がついたPOSシステムもあり、経営戦略に役立てることが可能です。
5.ECサイト
ECサイトとは、オンラインで商品を購入できるサイトのことです。ECはelectronic commerce(エレクトロニックコマース、電子商取引)の略。ユーザーがリアル店舗まで行かなくても商品を購入できるサイトです。例えば、楽天やZOZOTOWN、Amazonなどが有名なECサイトとなります。
ECサイトでは欲しい商品を検索したり、どの商品の人気が高いのか確認したりできる機能が備わっていることがほとんどです。また、クレジットカード決済だけでなく電子マネーやコンビニ決済に対応しているものもあります。
システム開発を外注するメリット
システム開発は自社で行う/外注する、の2種類の方法があります。どちらも一長一短ですが、社内にシステム開発ができる人材がいない場合、新しい人材を採用するよりも外注するのが、一般的な選択肢と言えるでしょう。
システム開発を外注することには次の3つのメリットがあります。
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- 人材の採用・育成の必要がない
- 高度な開発も可能
- 設備の購入・準備が不要
1つ1つのメリットについて詳しく解説しましょう。
1.人材の採用・育成の必要がない
1つ目は人材の採用・育成の必要がないことです。
たとえばWebアプリを開発する場合、フロントエンジニアやサーバーサイドエンジニア、インフラエンジニアなどさまざまなポジションの人材を確保しなければいけません。
エンジニアの採用は難しいと言われることも多いです。その人材が自社にマッチするスキルを保有しているかを面接で判断するのは難しく、雇ってみて初めてわかることも多くあります。
また、エンジニアを採用すると研修コストなどもかかるでしょう。特に今後継続してシステム開発を行う予定があるわけではないなら、外注した方がコストを抑えることができます。
2.高度な開発も可能
2つ目は高度な開発も可能という点です。
開発会社はプロフェッショナル集団ですので、高度な開発スキルを保有しており、難易度の高い要求にも応えてくれる可能性があります。
たとえば、人工知能を駆使してECサイトにレコメンド機能をつけたり、他システムと連携できる複雑な業務システムを開発したり、といったようにです。
ただし、どのようなスキルを保有しているかは開発会社によって異なりますので、契約前にその企業の実績などからスキルレベルを判断することが必要になってきます。
3.設備の購入・準備が不要
3つ目は設備の購入・準備が不要という点です。
社内で開発する場合、ハードウェアや周辺装置などの購入費用がかかりますし、設置する手間や物理スペースも必要です。
また、開発用部屋などを用意しなくてはいけない場合もありますし、ランニングコストなどもかかってくるでしょう。
これらを総合して踏まえるとシステム開発は外注した方が得なケースが多いです。
システム開発を外注する際の注意点
システム開発を外注することにはさまざまなメリットがあります。一方で、外注する場合に気をつけなければならないこともいくつかあるので、そちらを紹介しましょう。
システム開発を外注する際の注意点は次の5つです。
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- 丸投げにならないようにする
- コミュニケーションコストを考慮する
- 情報漏えいに気をつける
- 契約内容は入念に確認する
- 開発企業の技術力を見極める
1つ1つの注意点について詳しく解説します。
1.丸投げにならないようにする
システム開発は外注先に丸投げにならないように気をつけたいです。こちらが何も関与しない状況だと、要望通りのシステムが納品されない可能性が高くなります。
要件定義書や設計書には目を通し、要望通りに開発が進んでいるのか確認することが重要です。
また、ある程度システムの中身を自分たちで把握しておかないと、システムがブラックボックス化してしまい、自分たちで改修ができなくなるデメリットがあります。
2.コミュニケーションコストを考慮する
システム開発を外注する場合、依頼先の企業と何度も打ち合わせを行うことになります。
最近では新型コロナウイルスの影響もあり、リモートでの打ち合わせも増えましたが、それでもコミュニケーションコストはかかることは忘れてはいけません。
コミュニケーションコストも踏まえたうえで外注すべきか決めることが大切です。たとえば、自社サイトのちょっとした修正を依頼する場合などは、コミュニケーションコストを踏まえると自分たちで行った方が効率が良い可能性があります。
3.情報漏えいに気をつける
システム開発を外注する場合、会社や顧客の情報を外注先に開示しないといけない可能性もあるため、情報漏えいのリスクには常に気を配る必要があります。
具体的には、外注先とは秘密保持契約(NDA)を締結することが重要です。また、外注先がSIer企業にも開発の一部を依頼するなら、その依頼先にもきちんとNDAを守らせないといけません。
4.契約内容は入念に確認する
契約書や見積書の内容は契約前に熟読し、疑問点があるなら担当者に質問することも大切です。
たとえば、運用・保守の対応範囲はどこからどこまでか、システムの修正依頼には何回まで無料で対応してくれるか、などは揉めることが多いので事前に確認しましょう。
5.開発企業の技術力を見極める
システム開発を行う企業は数多くありますが、中には技術力が未熟だったり、開発慣れしていなかったりする企業もあります。契約前に開発企業の技術力を見極めることが肝心です。
具体的には、開発企業のホームページから過去の開発実績を確認しましょう。自社と同じ業界の開発実績が多い企業なら、ノウハウが蓄積されている可能性が高く、安心して任せることができます。
最後に
この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。
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- システム開発の具体例:顧客管理システム/ログ管理システム/予約管理システム/POSシステム/ECサイト
- システム開発を外注するメリット:人材の採用・育成の必要がない/高度な開発も可能/設備の購入・準備が不要
- システム開発を外注する際の注意点:丸投げにならないようにする/コミュニケーションコストを考慮する/情報漏えいに気をつける/契約内容は入念に確認する/開発企業の技術力を見極める
システム開発を外注することにはさまざまなメリットがありますが、外注先を間違えるとメリットを享受できなくなる可能性もあるため、外注先選びは重要です。
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