予約システムの開発を検討しているなかで、「どんな機能が必要なの?」「いくらくらいのコストがかかるの?」といった疑問をもっている方も多いのではないでしょうか。
一口に予約システムと言っても開発方法や搭載する機能は多種多様です。今回は予約システムの開発を検討している方に向けて、搭載すべき機能や必要なコストを解説していきます。
システムを専門の開発会社に委託するとしても、社内の担当者が予約システムに関連する基礎知識を身につけることは大切です。
この記事を読んで最低限必要な知識を身につけた上で予約システムを外部に委託しましょう。
予約システムとは
予約システムは、病院や宿泊施設、美容院などで採用されている業務システムです。例えば、美容室で採用されている予約システムの場合は、ユーザーはインターネットから美容室の予約が可能です。一方美容室側では、ユーザーの予約日程、ユーザー情報、カットやパーマなどのメニューなどの情報をデジタル管理できます。
すでに多くの導入実績がある予約システムですが、機能搭載や開発方法にはどのようなものがあるのでしょうか?まずは、取り入れるべき機能と、主に採用されている開発方法を紹介していきます。
予約システムで搭載すべき機能
予約システムを開発する際には、目的に合わせた機能を搭載する必要があります。ただし、次に紹介するように搭載される機能はさほど多くありません。取り入れる目的をイメージしながら、必要な機能を確認していきましょう。
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- 予約管理機能:その名の通り、予約実績をシステムに反映する機能。リアルタイムで情報を反映するため、管理者が一目で予約状況を把握できる。いくつかの店舗で利用する場合には、管理情報を共有することも可能。
- 予約枠設定機能:ユーザーが選択する予約枠を作成する機能。カレンダーと連動した仕組みを基本とし、時間や日付、席数などに変更することもできる。また、料金やプランといった予約枠の設定も可能。
- 顧客管理機能:予約システムを利用した顧客のデータ管理をサポートする機能。氏名や年齢といった情報を保管でき、管理業務の効率化に利用できる
- 顧客分析機能:予約システムを利用したユーザー情報をもとに、顧客の傾向分析を行う機能。リピート率を把握した上で、年代や性別といった属性を参照することで、店舗の強みやマーケティング手法の確認を行える。
- メール送信機能:予約確認やキャンペーン通知など、顧客へのメールを代行してくれる機能。予約完了やキャンセルといったユーザーのアクションに合わせたメールを作成し、自動送信することができる。また、お礼やキャンペーン通知といった、販売促進につながるメールの送信も可能。
- 外部サービスとの連携機能:蓄積したデータを、外部システムと連携する機能。予約管理機能だけを搭載したシステムに、Salesforceなどの営業支援にシステムの情報を取り込むことで、オリジナルの業務管理フローを作成することも可能。
予約システムを開発する3つの方法
予約システムの開発には、大きく分けて3つの方法が採用されています。予約システムを導入する目的や予算によって取り入れるべき方法が異なるため、以下参考にしてみてください。
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- SaaS型による予約システム開発:クラウド経由で、提供されている予約サービスを利用する方法。インターネット環境とブラウザがあれば利用でき、月額課金制を採用しているサービスがほとんど
- WordPressプラグインによる予約システム開発:世界規模で利用されている、WordPressプラグイン機能を活用する開発方法。プラグインを利用することで、WordPressの機能を拡張でき、予約に必要な機能を追加できる
- フルスクラッチによる予約システム開発:すでに開発されているサービスや機能を利用せず、一からプログラミングを作成する方法。あらかじめ用意されているサービスを利用しない分、制約のないシステム構築が可能
予約システム開発のコストを決める要因とは
予約システム開発方法を理解できたところで、開発に必要なコストやそれを決める要因を確認していきましょう。費用相場を確認することで、予約システム開発の計画をより具体的なものにすることができます。
予約システムの開発にかかる費用の相場
予約システムの開発にかかる費用相場は、数千〜数百万円ほどとされています。予算の相場は次のように、開発方法によって大きな開きがあります。
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- SaaS型による予約システム:月額1,000円程度から利用可能。すでに予約システムがクラウド上に用意されているため、初期費用を抑え予約システムの利用が可能。
- WordPressプラグインによる予約システム開発:月額10,000円未満からのシステム開発が可能。開発されたプログラミングやコードをWordPress内に取り込めるため、スキルに応じたオリジナルのシステム開発も可能。
- フルスクラッチによる予約システム開発:開発するシステムによって、数百万円ほどの予算がかかるケースも。プログラムを一から構築する必要があるが、外注することで、スキルや時間がない状態でもシステムを開発できる。イニシャルコストがかかる一方で、手厚いサポートを受けられる開発方法。
予約システム開発の費用の基本的な見積り方
予約システムの開発費用は、イニシャルコストとランニングコストの2つに分類することで見積もることができます。先述したSaaS型による予約システムは、月額1,000円程度から利用することができますが、ランニングコストを支払い続ける必要があります。
また、一見高く見えるフルスクラッチによる予約システム開発は、イニシャルコストが大きい分、サポートを希望しなければランニングコストが発生することはありません。
また、フルスクラッチ開発では、開発者のレベルに応じた人月による見積もり方式が作用されています。人月とは、開発に必要なエンジニアが何人で、どのくらいの期間稼働するかという考え方です。
「1人月50万円のエンジニアが稼働」の場合は、2ヶ月で100万円、3ヶ月で150万円の人件費が発生します。その他に、社内に必要な設備があれば、ハードウェア代が加算され、人月を加えることでフルスクラッチに必要な予算が算出されます。
予約システム開発を行なうメリットとは
アナログで顧客の予約を管理する場合と比較し、予約管理システムを導入するメリットをここからは紹介します。導入には費用がかかりますが、当然予約システムを導入することにはメリットがあります。そのメリットを把握して、導入を検討するための材料にしましょう。
見込み顧客を逃さない
予約システムは、レスポンスを早められるツールです。
業界や業種にもよりますが、システムを用いず、窓口が電話やメールだけである場合には、ユーザー対応が営業時間内に限られてしまいます。その点、予約システムの開発を行う企業は、24時間365日いつでも予約を受けられる体制を作れ、見込み顧客を取り逃がすリスクを軽減できます。
「予約完了のメール」の自動送信機能をシステムに組み込んでおけば、顧客がすぐに要件を満たし、満足度を高めるという利点を手にすることも可能です。
空き状況を確認できる
予約システムを開発すれば、空き状況をリアルタイムで確認できる状況を作ることも可能です。リアルタイムで予約の空き状況をネット上でユーザーが確認できる状況を作ることで、機会損失を削減できます。
また「問い合わせを行い、返答を待つ」というユーザー側が予約に必要な一連の流れを省略できる点では、ユーザーと企業の双方のメリットといえます。
予約がキャンセルになった場合でも、すぐにキャンセルによる部屋の空きを表示させられるため、企業の機会損失対策にも有効です。
事前に決済できる
事前決済に対応できることも、予約システムを開発するメリットの1つです。取り入れるシステムにもよりますが、先払いや後払いといった、いくつかの支払いを用意することで、ユーザーの多様なニーズに対応できる体制を整えられます。
また、ノーショー対策にも、事前決済は有効です。ノーショーとは、予約をした上で連絡をせずにキャンセルをする顧客を指し、一部の業界では問題視されています。しかし、そんなノーショーも、事前決済を採用すれば売上を確保でき、顧客管理に繋げることで再発の対策を講じることができます。
管理業務を効率化できる
これまで解説してきたように、予約システムの開発は業務改善につながる取り組みです。予約管理をエクセルや書類で管理している場合と比較すると、効率化することができます。
インターネットでユーザー自身が予約できるシステムを採用しているなら、電話を受ける工数を削減でき、また、予約した日程、ユーザー情報、予約内容など、デジタルで管理できるのです。
予約情報の確認や変更、削除などデジタルで管理することで、アナログ管理と比較して効率化され、本来の業務(顧客対応など)に時間をさけ、より顧客満足度を上げることができるでしょう。
予約システム開発に適切な発注先を見定めるチェックポイントとは
予約システムの開発を依頼する場合には、発注先企業のどのような点を確認すれば良いのでしょうか?発注すべき企業の特徴はいくつかありますが、今回は「開発実績があること」と「発注先からの提案があること」の2つのポイントについて解説します。
予約システム開発の実績がある
予約システムの開発を発注する際には、依頼する企業に確かな実績があることを確認する必要があります。
具体的に確認すべき項目は、業種と業態の2つです。同業種の予約システムを開発した実績はあるのか。また、同業態の予約システムを開発した実績はどれくらいあるのか。この2つは必ず発注する前に確認しましょう。委託先企業はこれを軸に選んでも良いかもしれません。
同じ環境、同じ体制で活用され、実績があることが確認できれば、イメージしているシステムの用い方がを実現しやすいといえます。
発注先からの提案がある
発注を検討している企業からの提案があることも、重要なポイントです。特に「予約システムの開発をしたい」と具体的な要件が定まっていない段階であれば、リードしてくれる発注先に依頼することをおすすめします。
人間関係を構築することが大前提とはなりますが、予約システムで解消すべき課題や、必要な機能が具体化できていない段階では、専門家からのアドバイスに頼りましょう。ある程度リードしてくれる発注先であれば、開発過程で問題が発生した場合も責任のある対応を期待できます。
クラウド型の予約管理システムの紹介
最後に、クラウド型の予約管理システムをいくつか紹介していきます。同じクラウド型のサービスでも、それぞれに異なる特徴があるため、自社にあったものを選択していきましょう。
ResKa(株式会社MareSpera)
2018年からサービス提供が始まった比較的新しい予約システムが、株式会社MareSperaが提供するResKaです。システム自体は新しいものの、タッチパネルやマウスによるシンプルな操作性が魅力。WEBと電話での予約に対応し、顧客情報の記録といった管理機能も搭載している予約管理システムです。
ChoiceRESERVE(株式会社リザーブリンク)
幅広いニーズに対応できる点に注目が集まる予約システムが、株式会社リザーブリンクが提供するChoiceRESERVEです。クラウド型のシステムであるものの、専任スタッフがセキュリティやSEO対策にも対応。24時間の有人監視サポートも用意されているため、想定外のトラブルにも素早く対応できる予約システムです。
EIPro(イーアイピー株式会社)
自由度の高さが魅力の予約システムが、イーアイピー株式会社が提供するEIProです。手軽に利用できる分、制約を受けやすいクラウド型予約システムのなかでも、高いカスタマイズ性をもつサービスです。ある程度のWeb知識が求められることは事実ですが、CSSやJAVAに対応、ページごとのSEOキーワード設定など、独自の予約システムを構築することができます。
まとめ
予約システムの開発を検討している方は、開発方法と開発コストの確認から始めることをおすすめします。予約システムの開発は、「SaaS型」、「WordPressへのプラグイン」、「フルスクラッチ」という方法で行われ、それぞれの手法に合わせた開発コストが発生します。
クラウド技術が一般化した昨今では、多くの企業がSaaS型による手軽なシステム開発を採用しています。ただし、すでにパッケージ化されているため、オリジナルのシステムを構築することが難しく、ランニングコストによってはWordPressへのプラグインよりもトータルコストが高くなるという点がデメリットです。
予約システム開発によって解消したい課題、将来的に必要なる機能を検討しながら、手法を吟味し、最終的な開発方法を検討することをおすすめします。
株式会社エイチビーラボでは、ベトナムに特化したオフショア開発サービスを提供しております。受注側、発注側双方の課題解決につながる予約システムの開発には豊富な実績があります。予約システムの開発でお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。ご相談から、開発、運用まで親身にサポートいたします。