「基幹システムとは一体何か…?」
「聞いたことあるけど、自社に必要なのか…?」
「知りたいとは思っているけど、理解して意味があるのか…?」
と考えている企業のシステム担当者の方は多いのではないでしょうか。この記事では基幹システムについての概要や導入手順、導入のメリットデメリット、選び方など、網羅的に解説します。システム関連やITインフラなどは、無形でかつ専門用語が多いので、キャッチアップが大変でしょう。誰でもわかりやすく基幹システムについて紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください。
基幹システムとは?
基幹システムとは事業を行ううえで必要不可欠な基幹となるITシステムのことです。なくなってしまえば事業を進めることができない大事なシステムを指します。
企業の基幹業務の中には単純な繰り返し作業も多くあり、これらは人の手ではなくコンピューターによって自動化させた方が業務効率化されます。従業員は他業務に集中できるようになり、企業の売上げアップや労働時間削減につながる可能性もあります。
一方、基幹システムは途中で障害などが発生し処理が停止した場合、企業に多大な損害を与える可能性があります。そのため他システムよりも厳重に管理・運用する必要があります。
例えば、飲食店のPOSシステムのようなものです。お会計の際POSシステムがなければ、すべて手作業で行うことになり、細かいことで言えば、合計金額の算出、お釣りの計算、1日の売上など、すべて人が手作業で行うことになります。このPOSシステムがなくなれば、業務が非常に非効率となるため、飲食店にとって、これは効率的に事業を進めるうえでは、なくてはならないシステムなのです。
基幹システムの具体例
どのようなシステムが基幹システムに該当するのか表にまとめました。
システム | 概要 |
会計管理システム | 試算表作成や決算書作成業務を自動化する |
生産管理システム | 製造業の生産管理に関わる業務を自動化する |
販売管理システム | 受注〜納品までの商品やお金の流れを管理する |
在庫管理システム | 在庫情報や入出庫情報などを管理する |
仕入管理システム | 仕入先から届いた商品などの仕分け業務などを自動化する |
人事給与システム | 人事戦略や給与計算など人事に関わる業務を自動化する |
業務システムとは?
業務システムは業務を円滑に行うためのITシステムのことです。基幹システムとは違い、絶対に必要というわけではなく、突然停止しても業務を進めることは不可能ではないシステムが該当します。
たとえば、営業支援システム、社内研修システム、ドキュメント管理システムなどが業務システムに該当します。
ERPとは?
ERPはEnterprise Resource Planning(企業資源計画)の略であり、各基幹システムと業務システムを統合させた大きなシステムを指します。
各システムを統合させ1つのシステムで管理することで、さまざまな情報をリアルタイムで分析できるようになります。ERPがないと、各システムのデータを照らし合わせる手間がかかってしまいます。
基幹システムとERPはよく混同されますが、ERPは各システムを統合させたシステムであり、基幹システムとは異なるものです。
基幹システムを導入するメリット
基幹システムを導入するメリットは次の3つです。
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- 業務が効率化される
- ヒューマンエラーを防げる
- 情報の管理が楽になる
これらのメリットが良いと感じるなら基幹システムの導入をおすすめします。1つ1つのメリットについて詳しく解説していきます。
①業務が効率化される
基幹システムの導入により業務が効率化されます。
これまで手動で行ってきた書類作成や入力内容の確認作業を、機械によって自動化すれば、担当者が他の業務に時間を割くことができるでしょう。たとえば、販売管理システムを導入すれば、請求書の作成などを自動で一括で行うことが可能です。
特に、売上管理などは事業規模が大きくなれば、入力・修正の手間がかかりすぎてしまうため、早めにシステム化を検討したいです。また、業務がシステムによって自動化されれば、人件費削減にもつながります。
システム化による業務効率化のメリットは大きいと言えるでしょう。
②ヒューマンエラーを防げる
基幹システム導入によりヒューマンエラーを防げるメリットもあります。
手動入力の場合どんなに気をつけても、ミスが出てしまうことはあります。ミスを減らすためには何度も確認を行ったり、他の従業員を巻き込む必要があります。
ヒューマンエラーの種類によっては大規模な損害が発生することもあります。たとえば、ユーザーの個人情報が漏洩してしまえば、何億もの損害賠償が発生したり、企業が倒産に追い込まれたりする可能性もあるでしょう。
確認漏れや誤字、コミュニケーションロスなどのヒューマンエラーを防止できることは、システム化の大きなメリットと言えます。
③情報の管理が楽になる
基幹システムを導入することで情報の管理が楽になるメリットもあります。
これまで書類として管理していたデータをシステムのなかにまとめることが可能です。情報を一元管理することで、必要なときに必要な情報をすぐ検索して取り出すことができます。
また、基幹システムの情報は1つ更新すれば他の情報も紐付いて更新されるため、データ入力の手間を省くことができます。たとえば、顧客の担当者が変わったとき、一括で他の紐付いている情報も更新されるため、入力ミスや入力漏れが起こることがありません。
さらに、システム化を行えば紙の書類が不要になるため、書類の紛失や漏洩といったリスクもなくすことが可能です。このように基幹システムの導入によって情報を一元管理することには、さまざまなメリットがあります。
基幹システムを導入するデメリット
基幹システムを導入するデメリットは次の3つです。
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- システム停止のリスク
- 導入ハードルの高さ
- システムの老朽化問題がある
導入前にこれらの問題といかにして向き合うか検討しておくことが望ましいでしょう。1つ1つのデメリットについて詳しく解説していきます。
①システム停止のリスク
基幹システムは業務に必要不可欠なシステムであり、もし停止すると業務全体に影響を及ぼしてしまいます。基幹システムを導入する場合、厳重に扱わなくてはいけません。
たとえば、システムで扱う情報量が多くなってストレージが逼迫してしまい、障害が発生する、などといった被害を未然に防ぐ必要があります。インフラの24時間監視が必要な場合もあり、エンジニアの人材数を増やさないといけない可能性もあるでしょう。
基幹システムは安定して稼働させ続けないといけない、という点は注意が必要です。
②導入ハードルの高さ
企業によっては、基幹システム導入のハードルが高い場合もあります。
基幹システムを導入すると、基幹業務のオペレーションが大きく変更される可能性もあります。そのため、まず業務担当者の理解を得る必要があります。
従業員のなかには、今までの業務フローを変更したくないという方がいるかもしれません。システムを使い慣れてしまえば楽ですが、使い慣れるまでどうしても時間がかかるためです。
また、業務フローの変更によって顧客情報を漏洩させてしまうなどのトラブルが発生する可能性もあります。このようなトラブルを防げるように、システム導入後の業務マニュアルを作成するなどといった準備が肝心になります。
導入後、業務オペレーションが大きく変わってしまう可能性があるので、導入までのハードルが高いことはデメリットと言えるでしょう。
③システムの老朽化問題がある
基幹システムの老朽化問題とも向き合う必要があります。
システム会社に基幹システムを開発してもらったが、数年経過し古くなってしまい、そのシステムが使いにくいものになってしまうことは多くあります。
数年経過すれば業務内容も変わるため、基幹システムが使いにくくなってしまい、むしろIT化によって業務が非効率になってしまっている可能性もあるのです。
古いシステムをそのまま使い続けている企業は多いと言われています。社内にエンジニアが在籍しておらず自分たちでシステムの改修ができなかったり、システムを変更するリスクが高いがために放置し続けていたりしている企業は多いのです。
システムの老朽化問題に関しては、経済産業省も問題視しています。経済産業省は、システムがブラックボックス化しており既存システムを活かしきれず、日本でIT化が進まない要因になっていると分析しています。
参考:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」
基幹システム導入のポイント
ここまで読んで自社に基幹システムを導入したいと思った方もいるでしょう。
基幹システム導入のポイントは次の4つです。
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- 導入目的を明らかにする
- セキュリティが強固なものを選ぶ
- スケールアップに考慮されたものを選ぶ
- 操作性が高いものを選ぶ
これらのポイントを意識することで、自社にあった基幹システムを導入しやすくなります。1つ1つのポイントについて詳しく解説していきます。
①導入目的を明らかにする
1つ目は導入目的を明らかにすることです。
「なぜ基幹システムを導入するのか」理由を明確化させましょう。
ここが曖昧だったり、会社全体で認識が異なっていたりすると、システム会社に要望を正しく伝えることができず、役に立たないシステムが完成してしまう可能性があります。
また、システム導入によってどの程度の効果が得られるか、具体的な数値目標を算出しておくことも大切です。導入後に目標を達成していなければ、今後のシステムの活用を見直したり、改善したりする必要があります。
開発企業の担当者とも相談し、費用対効果を明らかにしておきましょう。
②セキュリティが強固なものを選ぶ
2つ目の導入のポイントはセキュリティが強固なシステムを選ぶことです。
基幹システムでは個人情報や企業情報が多く管理されているため、サイバー攻撃などの標的にされやすく、セキュリティ対策は重要課題になると言えるでしょう。
基幹システムのユーザー認証やアクセス制御、暗号化など、セキュリティ対策がどのように行われているか担当者に確認を取ると同時に、システム導入担当者自身も、セキュリティ分野の知識を身につけることが重要です。
曖昧な知識しか持ち合わせていない状態では、システム開発会社の提案の良し悪しを判断することができません。どんなセキュリティ、どんな基幹システムが自社にとって最適なのか判断するには、一定の知識は必要です。
③スケールアップに考慮されたものを選ぶ
3つ目はスケールアップに考慮されたものを選ぶことです。スケールアップとは、事業の変更にともなってシステムを拡張したり、スペックを上げることを指します。
さきほどシステム老朽化問題について解説しました。将来事業が拡大した場合にも、使い続けられる基幹システムであることが望ましいです。スケールアップが容易であるか、可能かであるかも担当者に確認すべきポイントと言えます。
④操作性が高いものを選ぶ
4つ目は操作性が高いものを選ぶことです。
基幹システムは派遣社員や社外の担当者も使う可能性があります。誰でも簡単に扱えたり操作方法が視覚的に感覚的にわかりやすいシステムが理想と言えるでしょう。
また、パソコンからだけでなく、スマホ・タブレットからも使いやすいシステムであるとなお良いです。あらゆる角度から操作性が高いシステムの導入を考えることもポイントです。
基幹システムのクラウド化について
昨今は基幹システムをクラウド化する事例が増えています。
クラウド化とは、クラウドサービス上にシステムを移行することです。世の中にはAWSやGCP、Azureなど多くのクラウドサービスがあります。クラウドサービスでは、システムを運用するうえで必要なインフラ環境を貸し出してくれます。
基幹システムをクラウド化するのは、いくつかメリット・デメリットがありますのでそれについて見ていきましょう。
クラウド化するメリット
クラウド化することで、システムを動かすためのインフラ(サーバなど)を自社で管理、運用する必要がないというメリットがあります。インフラの管理はクラウドサービスの提供者が行ってくれるためです。
そのため、サーバの購入費や管理費を削減できますし、インフラを管理するエンジニアの人件費も減らすことができるでしょう。
また、クラウド化すればシステムを社外でも使うことが可能です。ネット環境さえあればシステムに接続できるため、テレワークや出張時でも作業することができます。
基幹システムをクラウド化する企業が増えているのも、テレワークに対応したいからという理由が大きいと言えるでしょう。
クラウド化するデメリット
クラウド化すると自社でインフラを管理しなくて良くなる反面、クラウドサービスの提供者に依存することになります。
たとえば、クラウドサービスのメンテナンスや障害発生時は、システムの利用の制限がかかる可能性があります。これは、自社で行わないため、障害発生時や、システムのアップデートのタイミングを自社で調整することができないため、大事なタイミングと重なってしまうリスクがあります。
また、クラウド化するとサーバや周辺機器を自社で選定できません。カスタマイズの自由度が下がってしまうのもクラウド化のデメリットと言えるでしょう。
クラウド化にはこのように良い面・悪い面がありますので、基幹システムのクラウド化を検討する場合は自社にとって利点が大きいかをよく吟味することが大切です。
最後に
この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。
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- 基幹システムは、事業に必要不可欠なシステムのこと
- 基幹システムを導入するメリット:業務が効率化される/ヒューマンエラーを防げる/情報の管理が楽になる
- 基幹システムを導入するデメリット:システム停止のリスク/導入ハードルの高さ/システムの老朽化問題がある
基幹システムは企業の方向性を左右する重大なシステムであり、導入時は慎重に検討する必要があります。スケールアップがしやすくセキュリティ面も優れた基幹システムを導入するには、システム開発企業の選定が重要です。
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