ログ管理システムを導入したいが、何から始めるべきかわからないという方も多いのではないでしょうか?本記事ではログ管理システム導入の注意点やポイントについてまとめたので、ログ管理システムに興味がある方、悩みがある方はぜひ参考にしてください。
ログ管理システムとは?
ログとはパソコンやシステムを使った履歴データのことを指します。業務システムや基幹システムなどの各プログラムでは、何日に何の処理を行ったかわかるようにログを出力していることがほとんどです。
ログを収集して後に確認したり、活用したりすることをログ管理と呼びます。ログを読みやすいように一箇所に集めておくことで、障害時にすぐにログを参照することができ、迅速な解決の役に立ちます。
ただ、ログ管理は非常に大変です。そこでログ管理システムを導入し、ログ管理を自動化する事例が増えています。ログ管理システムなら、複数のログを容易に一括管理することができ、業務効率化を実現することができるのです。
ログ管理システムの基本機能
ログ管理システムの機能は大きく4つに分けられます。
機能名 |
処理内容 |
ログの取得 |
・各プログラムから出力されるログを収集し一箇所にまとめる |
ログの保管・削除 |
・ログが漏洩することがないよう厳重に管理する ・ストレージ容量圧迫を防ぐために古いログを削除する |
ログの監視・分析 |
・ログを分析し異常なシステム利用がないか監視する |
通知 |
・ログを分析した結果問題があったら、担当者に通知を送る |
ログ管理システムで管理できるログの種類
ログ管理システムで管理できるログにはさまざまなものがありますが、そのなかでも代表的なものを7つまとめました。
ログの種類 |
用途 |
エラーログ |
・プログラムの不具合を検出する |
操作ログ |
・ユーザーの操作内容を把握する |
アクセスログ |
・アクセスしたユーザーの情報を把握する |
認証ログ |
・誰がシステムへログインしたか把握する ・ログイン時にエラー回数が多くないか確認する |
通信ログ |
・ユーザーのパソコンとサーバー間で正しく通信が行われているか確認する |
印刷ログ |
・印刷履歴を把握し、機密情報の漏洩がないか確認する |
設定変更ログ |
・システムの変更情報を把握し、問題発生時の責任者を明確にする |
ログ管理システムを導入するメリット
システムを導入する場合、必ずシステムの運用・保守が必要です。ログ管理システムを導入することで、運用・保守にかかるコスト(工数や人件費)を削減することができます。
たとえば、システムの監視を行う場合も、ログ管理システムによってログを一箇所にまとめれば、チェックをスピーディーに行うことが可能です。
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ログ管理システムの導入費用について
ログ管理システムの導入費用は一律で決まっているわけではありませんが、目安としては初期費用が4万円〜数十万円、月額費用が1万円〜数十万円程度となっています。
初期費用と月額費用を足して導入時に10万〜200万円程度の費用がかかると考えておくと良いでしょう。
システム運用においてログ管理が重要な理由
システムを運用する場合、システムからログを出力させ適切に管理することが大切です。システム運用においてログ管理が重要な理由は次の4つです。
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- 不正アクセスを確認するため
- 障害時に原因を調べるため
- マーケティングに活用するため
- 従業員の作業内容を把握するため
ログ管理を行う目的が不明瞭だと、ログ管理システムを導入しても使いこなすことができないので注意しましょう。1つ1つの理由について詳しく解説していきます。
1.不正アクセスを確認するため
ログ管理システムを導入することで、外部からの不審なアクセスを確認しやすくなります。
たとえば、システムがサイバー攻撃に侵された場合、被害を食い止めるには迅速に対応しなければいけません。ログ管理システムでは、リアルタイムでログ監視を行えるため、不審なアクセスがあった場合すぐに情報システム部にアラートを送ることが可能です。
また、外部だけでなく内部の従業員のヒューマンエラーや情報漏えいの被害も防ぎやすくなるでしょう。
2.障害時に原因を調べるため
ログ管理システムを導入することで、障害時に原因を調べやすくなります。
たとえば、ECサイトで商品の購入ができない障害が発生した際、プログラムが出力するログを分析すれば、すぐに原因を特定できる可能性があります。
また、システムにログ分析を毎日行わせれば、障害発生前に不具合に気がつく可能性もあり、被害を最小限に食い止めることもできるかもしれません。
ログ管理システムはこのように、システム運用・保守に大きく貢献します。
3.マーケティングに活用するため
ログ管理システムは実はマーケティングにも活用することも可能です。
たとえばログ管理システムで、ユーザーのアクセス履歴や操作履歴を一元管理すれば、Webサービス内のどのコンテンツが人気が高いのか、一目瞭然となります。
Webサービスを運営する場合、マーケティングは非常に重要です。特に昨今はWebサービス運用企業が増えたため、競合に差をつけるにはユーザーのニーズに沿った施策を打ち立てていく必要があります。
マーケッターにとってもログ管理システムは役立つものとなるでしょう。
4.従業員の作業内容を把握するため
ログ管理システムは従業員の作業内容を把握することにも活用できます。
昨今はテレワークを導入する企業が増え、自宅から業務システムにアクセスすることになり、誰がどのタイミングで何の作業をしたのか、わかりにくくなっています。
ログ管理システムを導入すれば、誰が何時にどのシステムにアクセスしたか確認することができます。障害やトラブルが起こった際に、誰に責任の所在があるのかわかりやすくなるでしょう。
また、業務システムのログ分析を行うことで、従業員が非効率な作業を行っていないかも把握できます。マネージャーやプロジェクトリーダーなどの管理者にとっては活用できるシステムです。
ログ分析結果を業務フロー改善に活かせば、生産性アップにもつながります。
ログ管理システムを導入する注意点
ログ管理システムを導入する際の注意点を解説します。注意点は次の4つに分けられます。
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- 従業員のプライバシーに気をつける
- ログを一元管理できるようにする
- 保存するデータ量が増える
- ログ管理以外のセキュリティ対策もしっかりと
これらの注意点を念頭に入れたうえでシステム導入を進めることが大切です。1つ1つの注意点について詳しく解説していきます。
1.従業員のプライバシーに気をつける
先述の通り、ログ管理システムでは従業員の作業内容が把握できると説明しましたが、その際注意すべきことがあります。それは、従業員のプライバシーに気をつけることです。
たとえばテレワークで、私用でも使っているパソコンから社内システムにアクセスすると、従業員のプライベートな情報がわかってしまう可能性もあります。従業員のプライバシー情報の管理には注意しましょう。
2.ログを一元管理できるようにする
ログ管理システムを導入すると、あれもこれもと管理するログを増やしすぎてしまうこともあります。
ログが増えすぎてしまうと、障害発生時にどのログを参照すべきかわかりにくくなり
、迅速な対応ができなくなってしまう可能性もあります。
管理が煩雑になってしまうと本末転倒です。ログは増やしすぎないよう注意してください。また、収集したログはすぐに参照できるよう一元管理することも大切です。
3.保存するデータ量が増える
ログ管理システムを使い続けていると、サーバー内に保存するデータ量が増えてしまう可能性もあります。
ログ管理システムを使う場合、サーバーの容量をある程度確保しないといけません。たとえば、クラウドサービスを使っている場合、容量を増やすためにプランを変更しなければいけなくなる可能性もあります。
ログは不必要に増やさないことが大切です。また、古いログは定期的に削除するよう設定しておくことも重要でしょう。
4.ログ管理以外のセキュリティ対策もしっかりと
ログ管理以外のセキュリティ対策もしっかり行うことが大切です。
ログ管理システムは、外部からのサイバー攻撃などの検出に役立ちます。しかし、ログ管理システムの役割はあくまで不正アクセスを感知することです。
不正アクセスを遮断することはできないため、セキュリティ対策が不十分な場合、被害が発生してしまう可能性があります。
そのため、不正アクセスを遮断するためのセキュリティ対策が別途必要になります。たとえば、サーバーのソフトウェアの定期アップデートやSQLインジェクション対策、不要なシステムの停止処理などを行い、セキュリティを強化することが大切です。
機密情報が漏えいした場合、何億もの損害が発生することもあります。ログ管理を徹底しているから問題ない、というわけではないため注意しましょう。
ログ管理システムの選定のポイント
最後に、ログ管理システムの選定のポイントを解説します。ログ管理システムは次の4つの基準を元に選定すると良いです。
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- クラウドかオンプレミスか検討する
- 管理すべきログを洗い出す
- リアルタイムで収集できるか確認する
- ログの容量を確認する
この4つに着目することで、より自社に合ったログ管理システムを導入しやすくなるでしょう。1つ1つの選定ポイントについて詳しく解説していきます。
1.クラウドかオンプレミスか検討する
1つ目はクラウドかオンプレミスか検討することです。
AWSやGCPなどのクラウドサービスを使ってシステムを運用することをクラウド化と言います。ログ管理システムをクラウド化することで、社外からでもアクセスしやすくなるメリットがあります。
また、インフラの運用・保守はクラウド提供事業者側が行ってくれるため、運用・保守のコストダウンを図れる可能性もあります。
ただし、クラウドの場合セキュリティ面を不安視する方も多いでしょう。ログ管理システムで機密情報などを多く扱う場合、セキュリティを重視できるオンプレミスの方が良い場合もあります。
クラウドとオンプレミスには双方にメリットがあるため、自社に合った運用方法を選定すると良いです。
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2.管理すべきログを洗い出す
2つ目は管理すべきログを洗い出すことです。
あらゆるプログラムからログを出力させてシステムで管理しようとすると、管理が難しくなってしまいます。また、ログのデータ量が膨大となり、サーバーの容量が足りなくなるなど、トラブルのもととなる可能性があります。
ログ管理システムで管理すべきログは、システム導入前に社内でよく吟味しておく必要があります。
3.リアルタイムで収集できるか確認する
3つ目はリアルタイムで収集できるか確認することです。
ログ収集や分析がリアルタイムでできないと、サイバー攻撃や不具合発生時に迅速な対応を行うことができません。
完全にリアルタイムで監視できるシステムは難しいですが、できるだけ間隔をあけず、短いスパンでログ監視ができるシステムが望ましいでしょう。
4.ログの容量を確認する
4つ目はログの容量を確認することです。
管理すべきログの種類だけでなく、出力されるログがどれほどの容量になるか計算しておく必要があります。もし容量が大きくなるなら、それに対応できるシステムを選定しなくてはいけません。
最後に
この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。
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- システム運用においてログ管理が重要な理由:不正アクセスを確認するため/障害時に原因を調べるため/マーケティングに活用するため/従業員の作業内容を把握するため
- ログ管理システムを導入する注意点:従業員のプライバシーに気をつける/ログを一元管理できるようにする/保存するデータ量が増える/ログ管理以外のセキュリティ対策もしっかりと
- ログ管理システムの選定のポイント:クラウドかオンプレミスか検討する/管理すべきログを洗い出す/リアルタイムで収集できるか確認する/ログの容量を確認する
システム運用においてログ管理は重要であるため、ログ管理システムを導入する際は実績が豊富な開発会社に依頼することが大切です。
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