C言語開発に興味があるものの、具体的に何ができるのかわからず、C言語を選択すべきか他の言語に変更すべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。本記事ではC言語開発のメリット・デメリットや活用例について解説します。
C言語とは?
C言語は1972年に開発されたプログラミング言語です。組み込みソフト開発などで使われており、代表的なプログラミング言語の1つと言えるでしょう。
C言語はC++はPHP、Pythonなどさまざまな言語の元になっているのが特徴です。そのため、C言語を習得すれば他言語も理解しやすくなると言われています。
C++との違い
C++は1983年にC言語を元にして作られたプログラミング言語です。C言語にオブジェクト指向を取り入れて作られました。
オブジェクト指向は、プログラムを実装する方法の1つです。プログラム内の関連するメソッドやデータをオブジェクトという単位でまとめ、それらを組み合わせてシステムを開発します。
オブジェクト指向を取り入れることで、ソースコードの可読性が上がるだけでなく、改修作業がしやすくなるメリットがあるため、特に大規模開発での利用率が高いです。
現在、C++は業務システムやゲーム開発などで多く使われています。ただし、C言語の機能を追加している分、C言語よりも学習コストが高いと言えるでしょう。
C#との違い
C#とはMicrosoft社が開発したプログラミング言語です。
C言語と名前が似ておりC言語の影響も受けていることは確かなのですが、実際の文法は離れています。むしろJavaの方が文法は近いかもしれません。
C#はC言語よりも学習難易度が低くなっています。プログラミング初心者の方でも習得することが可能です。
また、C#はゲーム開発やWindowsアプリ開発で多く使われています。特にゲーム開発では、Unityというゲーム開発プラットフォームで動かせる言語であり、導入企業が多いです。
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C言語で開発できるものの例
C言語は汎用性が高く、さまざまな開発に活用することが可能です。C言語で開発できるものの例を4つ挙げます。
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- 組み込みソフト
- OS
- その他ソフトウェア
- 機械学習ライブラリ
1つ1つ開発できるものの例について詳しく解説します。
1.組み込みソフト
組み込みソフトとは、家電製品やカーナビなどに組み込まれるコンピューターのことです。たとえば、エアコンに組み込まれたコンピューターは、リモコンの操作を受信したり自動で掃除を行ったりすることができます。
C言語は処理速度が早いことが大きな特徴です。そのため、リアルタイムで動かす必要のある組み込みソフトの開発に使いやすいと言えるでしょう。
組み込み開発分野は、需要が高まってきています。特に最近はIoT製品という、インターネットに接続できる家電が話題となっており、将来性が高い分野と言えるでしょう。
2.OS
OSはOperating Systemの略であり、他のソフトウェアを動かすためのソフトウェアのことです。WindowsやMac、LinuxなどはすべてOSに含まれます。また、AndroidやiOSなどスマホ用のシステムもOSに該当するでしょう。
C言語はシステムの根幹部にあたる部分の開発に優れているため、OS開発にも多く使われています。たとえばオープンソースのOSであるLinuxはC言語によって開発されており、C言語が使えれば公開されたソースコードからLinuxの処理内容を知ることが可能です。
3.その他ソフトウェア
基本的にC言語はどの分野の開発でも活用することが可能です。幅広い環境で動かすことができるのもC言語のメリットでしょう
たとえば、業務システムや基幹システムの開発にはJavaが使われることが多いですが、C言語でも開発している企業はあります。
また、日常のちょっとした作業を効率化させる簡単なプログラムなどもC言語で開発することができます。たとえば、テキストファイルに書き込まれた情報をExcelに転記させる、といったプログラムも作れます。
C言語での開発について学ぶ場合、このような簡単なプログラムから作ってみると良いでしょう。
4.機械学習ライブラリ
機械学習ライブラリの開発にもC言語は適しています。
機械学習や人工知能と言うと、Pythonを思い浮かべる方が多いでしょう。ただ、Pythonはあくまで機械学習ライブラリを呼び出しているだけであることがほとんどで、実際に機械学習の処理を行っているのはC言語やC++で開発されたライブラリです。
ライブラリとしてプログラムをパッケージ化することで、他のプログラムから呼び出して使うことができます。そのため、Pythonを扱うエンジニアはC言語ライブラリの中身を理解していなくても扱うことが可能です。
C言語で開発するメリット
続いて、C言語で開発するメリットを3つ挙げます。
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- 処理速度を重視できる
- 汎用性が高い
- 他言語の理解がしやすくなる
これらのメリットがあるため、C言語は長年にわたり多くの企業で活躍していると言えます。1つ1つのメリットについて詳しく解説していきましょう。
1.処理速度を重視できる
C言語は処理速度が早いため、パフォーマンスを重視した開発ができるのがメリットです。
プログラミング言語には大きくインタープリタ型とコンパイル型の2種類がありますが、C言語はコンパイル型に該当します。
インタープリタ型は、ソースコードを一行ずつ機械語に翻訳しながら実行する方式であり、コンパイルが必要ない反面、処理速度が遅くなってしまうのが難点です。一方、コンパイル型はソースコードを一度まとめて翻訳しその後に実行するため、処理速度が早くなります。
さらにC言語はCPUやメモリなどの効率化を図れる機能もあり、プログラマーの技術力次第ですがさらに高速なシステムを開発することも可能です。
未だにC言語での開発が多くの企業で行われているのは、処理速度の早さが大きな要因でしょう。
2.汎用性が高い
C言語は汎用性が高く、さまざまな分野に活用できるのがメリットです。
元々C言語はUnixの移植を目的として作られた言語でした。しかし、その後言語としての優秀さが認められ、今では業務システムやゲーム開発などでも使われています。
C言語は歴史が長いため、さまざまな分野での利用が試されているのです。
C言語での開発方法を学ぶことで、幅広い案件に参加することができます。習得に多少の時間は必要であるものの、それに見合うメリットがあると言えるでしょう。
3.他言語の理解がしやすくなる
C言語はさまざまな言語に影響を与えているため、C言語をマスターすれば他の言語の文法も概ね理解することができます。
プログラミング言語によって開発できるものは異なるため、複数言語を習得すればそれだけ幅広い業務をこなせるようになります。
実際、情報系の大学でもC言語での開発を最初に学ぶことも多いです。C言語での開発方法を学ぶことで、エンジニアとしての基礎力を身につけられます。
C言語で開発するデメリット
続いて、C言語で開発するデメリットを3つ挙げます。
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- 学習コストが高い
- オブジェクト指向で書けない
- Webアプリやスマホアプリ開発では使われにくい
これらのデメリットはどうしてもネックになります。1つ1つのデメリットについて詳しく解説していきましょう。
1.学習コストが高い
C言語での開発は学習コストが高いのがデメリットです。
勉強しようと思っても、途中で挫折してしまう人も多くいます。特にポインタはメモリやCPUの仕組みまで理解していないと使いこなすのが難しいです。
C言語を扱える若いエンジニアは少なくなってきています。そのため、組み込みシステム開発を進めようと思っても、人材採用が上手くいかない可能性もあるでしょう。
2.オブジェクト指向で書けない
C言語開発はオブジェクト指向で書けないのもデメリットです。無理やりオブジェクト指向で書くことはできますが、必要な機能が用意されていないため大変でしょう。
オブジェクト指向で開発すると、開発作業を分担しやすくなったり、セキュリティーを強化させやすくなったりするメリットがあります。
3.Webアプリやスマホアプリ開発では使われにくい
C言語はWebアプリやスマホアプリ開発ではあまり採用されません。
C言語は汎用性が高いため、それらの開発にも使えないことはありません。ただ、他に使いやすい言語があるためC言語が選ばれることは少ないです。
たとえば、Webアプリ開発ではPHPやPythonなどが多く使われています。PHPやPythonはC言語よりも学習コストが低いです。開発スピードが要求されるWebアプリ開発では、学習コストが低い言語の方が相性が良いと言えます。
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C言語での組み込みシステム開発は外注も可能
ここまで解説してきた通り、C言語は学習難易度が他言語よりも高いです。そのため
組み込みシステム開発を行いたくても、C言語をマスターしたエンジニアを採用するのが難しい可能性もあるかもしれません。
また、組み込みシステムの開発には、アセンブラ言語や電子基板の設計などの技術も必要であり、それらまで習得した人材はなかなか見つからないでしょう。
そこでおすすめは組み込みシステム開発を外注することです。開発企業によっては、Webアプリやスマホアプリだけでなく、組み込みシステム開発も請け負っていることもあります。
C言語での組み込みシステム開発を依頼する際のポイント
最後に、C言語での組み込みシステム開発を依頼する際のポイントをまとめました。ポイントは次の2つです。
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- 組み込みシステムの開発実績を確認する
- 開発スケジュールを共有してもらう
1つ1つのポイントについて詳しく解説していきます。
1.組み込みシステムの開発実績を確認する
1つ目はC言語での組み込みシステムの開発実績を確認することです。
C言語での組み込みシステムの開発は、Webアプリやスマホアプリとはまったく異なるスキルが必要になります。他の開発実績が豊富でも組み込みシステムが得意とは限りません。
開発企業の担当者に、組み込みシステムの開発実績はどの程度あるのか、実際に質問してみるのが良いでしょう。さらに、組み込み系のなかでもIoT製品が得意なのか、スマホなどの小型機器型組み込み系が得意なのかなど細かい点も把握すると良いです。
2.開発スケジュールを共有してもらう
2つ目は開発スケジュールを共有してもらうことです。
開発スケジュールの共有を要求すれば、開発企業側もより正確なスケジュールを立てなくてはという意識が働き、より細かいスケジュールを立ててもらえるかもしれません。
特に組み込みシステムは万が一不具合が発生すると、ユーザーから家電製品を回収しなくてはいけない可能性もあります。すると、多くのコストがかかってしまいますし、ユーザーからの信頼も失ってしまうでしょう。
そのため、テストにどの程度の期間を費やすかは重要になります。もちろん、期間が長すぎるとその分コストが上乗せされてしまうため、コストとのバランスも肝心です。
最後に
この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。
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- C言語で開発できるものの例:組み込みソフト/OS/その他ソフトウェア/機械学習ライブラリ
- C言語で開発するメリット:処理速度を重視できる/汎用性が高い/他言語の理解がしやすくなる
- C言語で開発するデメリット:学習コストが高い/オブジェクト指向で書けない/Webアプリやスマホアプリ開発では使われにくい
- C言語での組み込みシステム開発を依頼する際のポイント:組み込みシステムの開発実績を確認する/開発スケジュールを共有してもらう
IoT製品の流行もあって組み込みシステム開発は今後需要が高まると推測されます。しかしながら、C言語は難易度が高いため、C言語をマスターした人材を雇うのは難しいかもしれません。
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