“クロスプラットフォーム開発”とは、スマホアプリ開発においてAndroidと、iOSの両方のデバイスで動かすことができる手法を指します。
最初から複数のOSに対応できるように開発を行うため「他のOSでは利用することができない」ということがありません。
総務省の資料「情報通信白書 令和2年版」によると、日本のスマホシェア率では1位がApple(59.8%)、2位SHARP(10.6%)、3位サムスン(8.8%)の順になっています。
複数のOSが普及しているため、スマホアプリの開発においても単一のOS対応ではなく複数のOSに対応したアプリ開発が求められています。
本記事ではスマホアプリ開発におけるクロスプラットフォームの特徴や、具体的なスマホアプリ開発の手順等に関して、分かりやすく解説しています。
最後まで読んでいただくことで、クロスプラットフォーム開発に関して理解することができるでしょう。
スマホアプリの種類
スマホアプリには、大きく分けて3つの種類があります。
スマホアプリの種類 | 動作環境 | ダウンロードの必要性 | インターネット環境環境の必要性 |
Webアプリ | webブラウザ | × | ◯ |
ネイティブアプリ | 端末 | ◯ | × |
ハイブリットアプリ | 端末 | ◯ | ※ |
※アプリ動作時は不要ですが、データ動作時は必要です。
Webアプリとは、その名の通りWebブラウザ上で動作するアプリのことを指します。
アプリのインストール等の手間がなく、インターネット環境さえあればどこでも起動が可能です。
次に、ネイティブアプリですが、主にスマホやタブレット等で動作するアプリのことを指します。
一般的にスマホで利用しているアプリは、そのほとんどがネイティブアプリに分類されます。
一度Apple Store等でインストールする必要がありますが、一度入れてしまうとその後はオフラインでも利用が可能です。
なお、クロスプラットフォーム開発は、ネイティブアプリ開発における手法の一つになります。
最後に、ハイブリットアプリですが、基本はWebアプリがベースとなっていますが、ネイティブアプリの機能も兼ね備えています。
スマホアプリ開発に便利な”クロスプラットフォーム”の3つの特徴
クロスプラットフォームの特徴としては、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
-
- iOS/Androidアプリ開発が同時に行える
- プラットフォームを1つのコードで共有可能
- フロントサイドとネイティブサイドの開発の分業化ができる
特定のOSだけに絞ってスマホアプリ開発を行うのと比較して、iOS/Androidの両方で使えるのは汎用性が高く、効率的だといえるでしょう。
1. iOS/Androidアプリ開発が同時に行える
クロスプラットフォームは、別名「マルチプラットフォーム」とも呼ばれており、異なるデバイスで同じ仕様のスマホアプリを利用することができます。
近年、私たちが普段利用しているスマホ向けのアプリケーションのほとんどが、クロスプラットフォームとなっており、iOS/Androidの両方で使用が可能です。
そのため、違うOSのスマホに買い変えたからといって、アプリが使えなくなるということはありません。
2. プラットフォームを1つのコードで共有可能
これまでは特定のOS毎に、スマホアプリ開発を行ってきました。
そのため、双方のOSのプログラム実装やアップデート等を行うためには、かなりの工数がかかっていました。
しかし、クロスプラットフォームを活用して1つのコードが共有可能となったことにより、プログラミングの工数を減らすことができ、開発側の負担を減少に繋がりました。
3. フロントサイドとネイティブサイドの開発の分業化ができる
クロスプラットフォームでは、フロントサイド(ユーザーが見る画面側)とネイティブサイド(ユーザーには見えない部分)とで、開発を分業化することができます。
加えて、テストの段階でもそれぞれ分けて行うことができるため、開発を効率的に進めることができます。
クロスプラットフォームの注意点と対策方法
クロスプラットフォーム開発を行う際には、それぞれのOSに対する理解が必要となります。
OSによって特徴が異なるため、実際にスマホアプリ開発を進める前に、AndroidやiOSの特徴をしっかりと確認しておきましょう。
各OSの仕様はアップデートによって内容が変化するため、都度に確認が必要な上に、OSの仕様に合わせてアプリも同様にアップデートしなければいけません。
また、OSの定期アップデートに合わせて、開発ツール側もOSに合わせたアップデートを行う必要があります。OSのバージョンアップに対応できなかった場合、最悪アプリが使用できなくなります。
そのため、事前にインターネット上に開発ツールに関する情報が、多いかどうかを確認しておくとよいでしょう。
クロスプラットフォーム開発の手順【簡単6ステップ】
クロスプラットフォーム開発を行う工程は、主に以下のように6つに分けられます。
-
- 開発するアプリの仕様・設計を考える
- アプリ開発するための環境を整備する
- 画像や音声など必要な素材を集める
- 仕様書に沿ってプログラミングを行う
- テストを行い改善する
- 開発したアプリを公開する
基本的な流れに関しては、一般的なスマホアプリ開発と変わりありません。
一般的なアプリ開発との大きな違いは、開発工数が40〜70%程抑えられることにあります。
開発工数が少ないということは、開発コストの削減にも繋がります。
また、各OSに対応していることで、仕様変更やバグ等にも対応しやすいです。
はじめて取り組む方は、要点をしっかりと抑えた上で、スマホアプリ開発に取り組みましょう。
1. 開発するアプリの仕様・設計検討
はじめに自身が作りたいスマホアプリの仕様や設計に関して、具体的に検討しましょう。
どのようなスマホアプリを作りたいのかが具体的でないと、実際に開発する際に途中で挫折したり、バグに繋がってしまう可能性があります。
そのため、スマホアプリの仕様や設計は、時間をかけてしっかりと取り組むことが大切です。
【仕様・設計における検討項目事例】
-
- 想定しているユーザー像
- どのようなサービスを提供するのか
- サービスの強みやビジネスモデルは何か
- ボタンや画像、テキストの位置、BGMはどうするか
最初は抽象的な意見でも構いませんが、徐々に深掘りし明確にして行く必要があります。
また、開発経験が浅い初心者の方は最初は、シンプルな仕様や設計にするほうがよいでしょうのが得策です。
2. アプリ開発するための環境を整備する
作りたいスマホアプリの仕様や設計が決まったら、次にスマホアプリ開発を実際に行うための環境整備を行います。
具体的にはアプリ開発を行うために必要な、ツールやプログラミング言語の選定、テスト端末の接続などを行います。
クロスプラットフォーム開発を行う際には、作りたいアプリや使うプログラミング言語に合わせて環境を選ぶことが大切です。
例えばC#やJavaScriptを活用して、スマホゲームアプリを開発したいのであれば、開発環境としてはUnityがおすすめでしょう。
詳しいおすすめの開発環境に関しては、後述していますので参考にしてみてください。
3. 画像や音声など必要な素材を集める
実際にプログラミングを行う前に、開発するスマホアプリに必要な画像や音声などの素材を集めておきましょう。
開発を行いながら素材を探しても構いませんが、作業効率の面からあまりおすすめはできません。
また、スマホアプリ開発は定期的にテストを行い動作確認を実行するため、音声や画像等がないと正しく動作しているか確認し難いです。そのため、事前に必要な素材を集めておくとよいでしょう。
4. 仕様書に沿ってプログラミングを行う
開発環境や必要な素材等が全て揃ったら、作成した仕様書に沿ってプログラミングを行います。
開発を実際に進めるにあたり、複数人のチームで取り組む場合は、フロントサイドとネイティブサイドで分業した方が効率的です。
クロスプラットフォームでは個別に段階テストが行えるので、より作業効率を上げるためにも、分業化は有効な手段となります。
5. テストを行い改善する
スマホアプリが動くようになったら、実際に仕様書の通りに動作しているかを、個別にテストして確認しましょう。
バグやエラー等が出た場合は、再度原因を調べた上で改善するだけでなく、データ等の欠損がないかなどの確認も必要になります。
また、アプリの動作に不自然な動きがないか、出力が思ったように行えているか、などの細かいチェックも項目ごとに分けて行いましょう。
6. 開発したアプリを公開する
動作に問題がない場合は、開発したスマホアプリを公開しましょう。
iOSアプリの場合は、Apple Storeから審査を通過したら、リリース完了となります。
Androidアプリの場合は、GooglePlayからの公開となりますが、こちらは審査がないので登録したらリリース完了となります。
双方、問題なければ約2日程度で、アプリを公開することができます。
スマホアプリを公開した後も継続的なメンテナンスを行い、ユーザーのフードバックを参考にして、より良いサービスを提供していきましょう。
クロスプラットフォーム開発を行う際のプログラム環境5選
-
- Xamarin:画面デザインをiPhone、Androidアプリで共通化可能
- Cordova:HTML、JavaScript、CSSでアプリ開発可能
- Unity:ゲーム開発するためのゲームエンジン
- Flutter:Google社が提供
- Cocos2d-x:Pythonをメインで使用
クロスプラットフォーム開発を行う際の代表的なプログラム環境を、5つに絞ってご紹介しています。
作りたいスマホアプリや、利用するプログラミング言語に合わせて、開発環境を選ぶようにしましょう。
1. Xamarin|画面デザインをiPhone、Androidアプリで共通化可能
“Xamarin(ザマリン)”は、主にC#/.NET/Visual Studio等を用いて、スマホアプリを開発するクロスプラットフォーム対応の開発環境です。
元はXamarin社が開発したツールですが、現在はマイクロソフト社に買収されています。
そのため、現在はマイクロソフト社が提供しているVisual StudioにXamarinが含まれている状況です。
その他、Xamarinは日本語対応していないので、英語力が不安な方には少し扱い難いかも知れません。
※公式サイト:https://rekaizen.com/article/detail/app-development/11016
2. Cordova|HTML、JavaScript、CSSでアプリ開発可能
“Cordova(コルドバ)”では、クロスプラットフォーム開発の標準言語であるHTML, JavaScript, CSS等で開発ができます。
開発元はNitobi社でしたが、2011年にAdobe社が買収しました。
その後は、Adobe社からApacheソフトウェア財団 (ASF)に寄贈され、ツール名も”Apache Cordova”と名前を変えて提供されています。
現在は、オープンソースのモバイル開発フレームワークとして利用可能です。
汎用性が高くツールとしての歴史も非常に長いため、すでに多くの開発者が活用しています。
※公式サイト:https://cordova.apache.org/
3. Unity|ゲーム開発するためのゲームエンジン
“Unity(ユニティー)”は、スマホアプリのゲーム開発が行えるゲームエンジンになります。
開発元はUnity Technologies社であり、リリースされたのは2005年からですが、今でもゲーム開発時には良く活用されるツールの一つです。
プログラミング言語としてはC#やJavaScriptを利用して、ネイティブアプリを開発することが可能です。
これから3Dゲームアプリ等を開発したい方には、大変おすすめのゲームエンジンだといえるでしょう。
※公式サイト:https://unity.com/ja
4. Flutter|Google社が提供
“Flutter(フラッター)”は、Google社が提供しているオープンソースのスマホアプリ開発環境です。
クロスプラットホームにも対応しているため、さまざまなOSでアプリを使うことができます。
実際に開発する際には、Dart(ダート)と呼ばれるGoogleが2011年に開発した、プログラミング言語を活用します。
コードの書き方としてはC言語に似ているため、C言語を書いたことがある人は、開発に取り組みやすいでしょう。
※公式サイト:https://flutter.dev/
5. Cocos2d-x|Pythonが使われることが多い
“Cocos2d-x(ココツーディーエックス)”は、中国企業であるChukong Technologies社が開発した、オープンソースのゲーム開発向けのフレームワークです。
プログラミング言語としてはPythonが使われることが多く、さまざまな機能が実装されているため、実用性が非常に高いのが大きな特徴です。
また、Python以外にもC++やJavaScriptでの開発も、行えるようになっています。
※公式サイト:https://www.cocos.com/en/
まとめ
スマホアプリ開発におけるクロスプラットフォームの特徴や利便性等に関して、詳しく解説してきました。
-
- iOS/Androidアプリ開発が同時に行える
- プラットフォームを1つのコードで共有可能
- フロントサイドとネイティブサイドの開発の分業化ができる
すでにクロスプラットフォームでのアプリ開発は広く普及してきていますので、基礎知識や注意点等を押さえたうえで取り組んでみてはいかがでしょうか。
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