ブリッジSEという言葉を聞いたことはあるが、具体的にどういうポジションなのかわからないという方も多いのではないでしょうか。ブリッジSEはオフショア開発における重要な仕事です。本記事ではブリッジSEの仕事内容や平均年収、必要なスキルについて解説します。
ブリッジSEとは?
ブリッジSEとは、オフショア開発における日本企業と海外の開発現場の橋(ブリッジ)渡しの役割を担うエンジニアのことです。SEの一種ではありますが、要件定義や設計などの一般的なSEの業務を行うのではなく、マネジメント業務やクライアントとのコミュニケーションなどが中心となります。
ブリッジSEは、国内のエンジニアが担当することが多いです。英語などの外国語を話せるエンジニアが、海外のエンジニアとやり取りを行います。
また、通常のエンジニアよりも広範囲に渡るスキルが求められます。そのため、転職難易度も高いですし、難易度に見合う給与をもらえることが多いのです。
オフショア開発とは?
オフショア開発とは国外のエンジニアに開発を依頼することです。
アメリカや中国などよりも、ベトナムやタイなど、発展途上国のエンジニアに依頼する事例が多数あります。発展途上国は日本よりも人件費が安く、半分程度なこともあります。そのため、オフショア開発を行うことで開発費用をおさえられるメリットがあります。
また、海外エンジニアは技術力が高いことも特徴です。日本ではプログラミング教育などが遅れていることもあり、エンジニアの数が不足しているため、海外のエンジニアの力を借りることができるのはメリットでしょう。
もちろん、言語の壁などもあるため国外に開発を依頼するのは容易なことではありません。しかしオフショア開発にはメリットも多く、今後さらに広まることが予想されます。
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ニアショア開発とは?
ニアショア開発は国内の地方エンジニアに開発を依頼することであり、オフショア開発とはまた別の種類です。
地方のエンジニアは東京よりも人件費が安いため、オフショア開発ほどではないですが、ニアショア開発でも開発費用をおさえることができます。また、オフショアと違い言語の壁がないメリットもあります。
ニアショア開発に関しては、以下の記事で詳しく解説しているため、併せてお読みいただくとより知識を深めることができます。
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ブリッジSEの平均年収
ブリッジSEの平均年収は700万円程度と言われています。
ブリッジSEは一般のSEよりも幅広いスキルが求められます。また、オフショア開発の成功・失敗を左右する重要ポジションのため、一般的なSEと比較して給料が高い傾向にあります。
優秀なブリッジSEを確保するのは難しいため、給料を高くしないと採用が難しいという事情もあるでしょう。
ブリッジSEの仕事内容
ブリッジSEの仕事内容は多岐にわたりますが、その中でも代表的なものは次の5つです。
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- プロジェクトの説明を行う
- 設計書の翻訳
- プロジェクトの管理
- 納品物の確認
- 依頼先への報告
1つ1つの仕事内容について詳しく解説していきます。
1.プロジェクトの説明を行う
ブリッジSEはオフショア先のエンジニアに対して、プロジェクトの概要を説明します。開発するシステムの種類や仕事の進め方、開発スケジュール、それぞれの担当ポジションなど、エンジニアが知っておかなくてはいけないことは、すべて伝えるのです。
もちろん日本語ではなく、海外の言葉で説明する必要があります。そのためブリッジSEは外国語が堪能な人でないと務めるのは難しいでしょう。最低でも2ヶ国語を使いこなせる言語力が必要です。
また、海外エンジニアは入れ替わりが発生することがあるため、新人が入ってきたらその都度プロジェクトの説明を繰り返す必要もあります。
2.設計書の翻訳
SEと言えば設計書作成の仕事を思い浮かべる方も多いかと思いますが、ブリッジSEは設計書を作成するだけでなく、現地の言葉に翻訳する必要もあります。
単に翻訳するだけでなく、専門用語のニュアンスなどがわかりやすく伝わるよう配慮する必要があります。認識に齟齬が生まれないよう、わかりにくい箇所には適宜補足を加えていきます。
単に外国語の文法を理解しているだけでなく、生きた言葉を使える必要があるでしょう。
3.プロジェクトの管理
ブリッジSEは開発現場でプロジェクトの管理を行います。
スケジュールの調整や各エンジニアの進捗管理、予算の管理などの一般的なマネジメントスキルが求められます。プロジェクトリーダーのような立ち回りも求められるため、必然的にマネジメントスキルも求められるのです。
また、開発が遅れている場合に人員を追加したり、障害発生時に解決方法を指示したり、臨機応変に対応する能力も必要でしょう。
4.納品物の確認
オフショア先で開発が完了したら、ブリッジSEがシステムの品質チェックを行います。
システムに不具合はないか、処理に問題がある点はないか、システムの要件はすべて満たしているか、などをチェックし、問題箇所は担当者に修正を依頼します。
特に、システムの画面に表示される言葉がきちんとした日本語になっているかは重要です。日本語に問題がある場合、ブリッジSEが自ら修正しないといけない場合もあります。
5.依頼先への報告
プロジェクトの進捗や障害発生時などは、ブリッジSEが依頼先の企業に報告する必要があります。ブリッジSEは文字通り現地と企業の橋渡しを行うポジションです。
また、依頼先の企業から追加で要望が出た場合、速やかに現地のエンジニアに伝える必要があります。ただし、スケジュール的に要望の反映が難しい場合、依頼側と話し合い折衷案を提案するなどの対処が必要になります。2ヶ国語を話せるだけでなく、交渉や円滑なコミュニケーションスキルが求められるのです。
ときにはブリッジSEは、依頼先と現地の板挟みになることもあります。
ブリッジSEに必要なスキル・経験
続いて、ブリッジSEに必要なスキル・経験について解説します。ブリッジSEとしての業務をこなすには最低限次の5つのスキルを保有している必要があります。
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- 語学力
- コミュニケーション能力
- マネジメント経験
- 幅広いITスキル
- 異文化に対する理解
1つ1つの必要なスキル・経験について詳しく解説していきます。
1.語学力
ブリッジSEには現地のエンジニアとスムーズにコミュニケーションが取れるだけの語学力が求められます。
語学と言えば英語と思われがちですが、オフショア開発では英語圏以外の国にも開発を依頼することが多いです。たとえば、ベトナムのエンジニアに依頼する場合ベトナム語が話せる必要があります。
ベトナム語などが話せるエンジニアはそこまで多くないため、人材探しに苦労する企業も多いです。
2.コミュニケーション能力
ブリッジSEは依頼側の企業と現地の橋渡し役を担う必要があり、コミュニケーション能力が必要不可欠と言えます。
コミュニケーション能力が欠けていると、現地のエンジニアに指示を正しく伝えられず、要望とは異なるシステムが完成してしまう可能性もあります。
そうなると開発がやり直しになってしまい、せっかくオフショア開発でコストダウンを図った意味がなくなってしまいます。
また、依頼側の企業とのやり取りも円滑に行う必要があるため、語学力だけでなく、調整や交渉など、高度なコミュニケーション能力が必要となるのです。
3.マネジメント経験
ブリッジSEには、プロジェクトマネージャーと同レベルかそれ以上のマネジメントスキルが求められます。
各エンジニアに的確に指示を出し、パフォーマンスを発揮できるようアシストしないといけません。マネジメント経験がないとブリッジSEになるのは難しいと言えます。
4.幅広いITスキル
ブリッジSEには幅広いITスキルが求められます。
ブリッジSEは実際に開発作業を行うわけではありません。しかし、システムの設計書を正しく翻訳したり、仕事内容について指示を出したりするには、プログラミングやサーバー、ネットワークなどのITスキル全般が必要になります。
5.異文化に対する理解
ブリッジSEは異文化に対する理解も求められます。日本と海外では文化や慣習がまったく異なることもあるためです。
海外のエンジニアに指示内容を聞いてもらうには、相手と信頼関係を築く必要があります。異文化に対する理解がないと信頼関係を築くことができず、指示通りに動いてくれない可能性もあるでしょう。
オフショア開発を行う理由
ここまでブリッジSEの仕事内容や必要なスキルを解説してきました。ブリッジSEの業務を完璧にこなすのは大変であり、優秀なエンジニアでないと勤まらないでしょう。
企業側も優秀なブリッジSEを雇うのは大変です。外国語が話せてマネジメント経験があってITスキルも高いエンジニアはそう多くはないでしょう。
では、なぜブリッジSEを確保してまで海外にシステム開発を依頼するのでしょうか?それは、次の3つのメリットがあるためです。
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- 開発コストを削減できる
- 他国の優秀な人材を確保できる
- 開発チームが固定できる
これらのメリットがあるため、オフショア開発は今注目を集めています。1つ1つのメリットについて詳しく解説していきます。
1.開発コストを削減できる
1つ目は開発コストを削減できることです。
海外のエンジニアの方が日本よりも人件費が安いことが多いです。特にベトナムやタイは物価が安いため、これらの国に開発を依頼する企業が増えています。
ただし、オフショア開発ではコミュニケーションコストや移動コストはかかります。これらのコストも踏まえたうえで、どれほどのメリットがあるのかを吟味する必要はあるでしょう。
2.他国の優秀な人材を確保できる
2つ目は他国の優秀な人材を確保できることです。
日本では今エンジニア不足が問題となっています。システムやアプリの需要は年々高まっていますが、プログラミングを行える人材は足りていないのが現状です。
経済産業省(みずほ情報総研株式会社)は、2030年には約79万人のIT人材が不足すると推察しています。
※参考
- IT 人材需給に関する調査 -調査報告書(みずほ情報総研株式会社)
エンジニアが不足しているため、エンジニアを採用したくても上手くいかない企業も多くあります。そこでオフショア開発を行い、海外のエンジニアの技術力活用を考える企業が増えています。
3.開発チームが固定できる
3つ目は開発チームが固定できることです。
社内にエンジニアが不足している場合、システム開発を請け負っているSIer企業などに外注する方法もあります。しかし外部に丸投げしてしまうと、社内にノウハウが蓄積されないという問題があります。
また、外部のSIer企業は当然自社専用ではないため、長く付き合い続けても開発の質が高まりにくく、効率が良くないと言えます。
オフショア開発なら自社専用の開発チームを編成できるため、開発を長く続けることでチームの技術力が成長していき、システムの品質が高まっていくメリットがあります。
開発チームが固定できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
最後に
この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。
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- ブリッジSEの仕事内容:プロジェクトの説明を行う/設計書の翻訳/プロジェクトの管理/納品物の確認/依頼先への報告
- ブリッジSEに必要なスキル・経験:/語学力/コミュニケーション能力/マネジメント経験/幅広いITスキル/異文化に対する理解
- オフショア開発を行う理由:開発コストを削減できる/他国の優秀な人材を確保できる/開発チームが固定できる
オフショア開発のメリットを活かせるかはブリッジSEの実力にかかってきます。システム開発を依頼する際は、優秀なブリッジSEが在籍しているか確認するのが望ましいです。
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