MVP開発とは?そのメリットと開発手法について徹底解説

2022年9月7日

MVP開発とは?

Mvp開発に疑問を持っている

MVP(Minimum Viable Product)開発とは、ユーザーが求める最小限のコア機能を提供する手法のことを指します。
MVP開発の目的は、低リスク・短期間での検証を実現させることです。最小限の機能のみを提供するので、低コスト・短期間で実装でき、すぐにユーザーに利用してもらいフィードバックしてもらうことで検証頻度を高めるのです。

仮にユーザーに確認を取らないまま工数をかけて開発を行った後にミスが発覚し、大きな戻り作業が発生した場合、多大な時間と人件費が無駄になってしまいます。そのような事態を避けるために最小限の機能を実装するMVP開発を実施することで、ユーザーに確認をとりながら開発を行い効率よく作業を進めていくことができます。

MVP開発はリーンスタートアップのひとつです。

リーンスタートアップの1つ

「無駄を省き、いかに失敗のダメージを減らすか」というマネジメント手法のことをリーンスタートアップといい、MVP開発はリーンスタートアップの手法のひとつになります。

つまり、リーンスタートアップとはできるだけ少ない費用や手法で最低限の開発を行い、ユーザーの反応を繰り返し確認することです。大きな認識齟齬が起きることを避け、ビジネスを無駄なく回していくことができます。

先の見通しが立たないまま、小規模な開発や事業をスタートすると予期しない工数がかかり、想定外の時間とコストがかかってしまいます。その無駄を省くことができるリーンスタートアップは、優れた戦略のひとつとして注目を集めています。

通常のソフトウェア開発とどう違うのか?

通常の開発は「完成度」に重きをおくことに対し、MVP開発は「スピードとユーザーが求める機能が実装されているか」に重きをおいて開発をしています。

通常のソフトウェア開発では、コア部分だけではなく細部まで開発した後、テストしユーザーに確認をもらう流れになります。

それに対してMVP開発は、一旦コア部分だけの開発を行い、ユーザーに確認をもらうため、出戻りが発生したとしても少ない改修で済ませることができるのです。結果、スピーディーに開発を進めることができ、ユーザーが求める機能を実装していることにつながっているという訳です。

※関連記事
ソフトウェア開発とは?開発の種類や必要とされる職種について解説

MVP開発のメリット

Mvp開発のメリット

これまでMVP開発の特徴について解説してきました。ここからはMVP開発の4つのメリットについて解説していきます。

低コスト

短期間かつ、コア部分のみの開発を行い、他の部分はできるだけ改修、開発を行わずに作業を進めることに重点を置いているため、初期コストを最小限に抑えることが可能です。

スモールスタートが可能

コア機能のみの開発であるため、最少人数・最小コストを実現できます。早い段階でユーザーからフィードバックをもらうため、認識齟齬が起きにくく、大きな出戻りが発生しにくいというメリットもあります。

開発スピード向上

スピーディー、かつ最小限での開発、テストを繰り返し行うことで、バグの発見やユーザーとの認識齟齬を早期発見することに貢献します。その結果、リリースまでの開発スピードを上げ、ユーザーの囲い込みや市場優位性を確保することができるというメリットがあります。

ユーザー視点で開発が可能

MVP開発では、最小限の開発を行う⇨ユーザーにフィードバックをもらうという流れで開発が進みます。よってユーザー評価を意識し、繰り返し評価を実施するためユーザー視点での開発が可能になります。開発側の独断で作業が進むわけではないため、ユーザーとの認識のずれが起きにくく、手戻りが発生する可能性を極力減らすことができます。

MVP開発のデメリット

Mvp開発のデメリット

ここからはMVP開発のデメリット3つについて解説していきます。メリットとデメリットを両方知ることでMVP開発をより深く理解することができ、自社の状況にMVP開発があっているかどうか確かめてください。

長期間(2か月以上)の開発には向かない

MVP開発は短期間で開発する手法です。ウォーターフォールのような長時間かかる開発手法には向きません。

よって小規模の管理画面開発やECサイトの開発など、規模が小さい開発には向いていますが、大企業の多数のユーザーが扱うシステムなどにはMVP開発は向いていないでしょう。

もし長期期間での開発を想定しているなら、MVP開発は採用しない方がいいでしょう。

エンジニアスキルに依存する

MVP開発は単なる開発のスキルだけではなく、ユーザー評価時にコミュニケーションスキルも重要になってきます。

開発レベルは高いが、コミュニケーション能力が低いエンジニアにMVP開発を任せるとユーザーとの連携が疎かになってしまい、開発が滞ってしまう可能性があります。よってMVP開発が成功するか否かはエンジニアのスキルによって左右されてしまいます。

上層部に理解されにくい

MVP開発は新しい開発の手法であるため、旧来の開発手法を行なってきた上層部に理解されにくいというデメリットがあります。

これまで実績を出してきた企業や古い文化が根強く残っている企業の上層部に、効率や人的リソースのメリットを説明しても、提案を拒否されるという状況は珍しくありません。

MVP開発を行う上での心得

Mvp開発のチェック

自社でもMVP開発をぜひ取り入れたいと考えている企業様も多くいらっしゃるのではないでしょうか。ここからは実際にMVP開発を行う上での心得を3つほど紹介していきます。

既存の考えにとらわれない

従来の開発手法では、システムやアプリケーションの完成を見据え計画し、細部までこだわった開発が行われていました。

しかしMVP開発では、最短・最小という新しい考え方をもとに開発を進めていくことが求められます。これまでの手法とは根本的に目的が変わってくるため、戸惑ってしまうエンジニアも多くいます。

そこでMVP開発に慣れているエンジニアや外注先に開発を任せてしまうというのもひとつの手段になるでしょう。それができないのであれば、MVP開発の特徴、メリット、デメリットを受け入れた上で開発を進めていくしかありません。

エンドユーザーとの強力なリレーションを構築する

MVP開発では、通常の開発よりもエンドユーザーの負担が大きくなってしまいます。それは何度も確認をお願いするからです。

つまりエンドユーザーとの連携が不可欠となります。MVP開発手法を取り入れる前に、エンドユーザー側に開発の内容と、この開発手法を採用しても問題ないのかをしっかりと確認しましょう。

「完璧」ではなく「最短・最小限」を目標にする

MVP開発では不明確なユーザー評価を明確にし、軌道修正しながら製品を開発することが目的となります。これまで通り「完璧」を目指して開発を進めていくと無駄な時間を要するばかりで、ユーザーへの価値提供を達成することができません。

例えば、1から開発するのではなく、似た機能があればそれを応用し、開発の時間を短縮するなどです。もしくは、実際に開発を行わずに開発後の画面遷移のイメージの確認が取れれば余計な手間を省くことにつながります。そうして最短・最小限の開発を実現させることができるのです。

MVP開発手法

Mvp開発の手法

MVP開発手法の具体的な概要について解説していきます。

プロトタイプ

MVP開発の中で最も代表的な開発手法といえばプロトタイプでしょう。プロトタイプとはデモンストレーション、試験的な意味で最短・最小限の開発を行い、フィードバックを受けて改善する手法のことです。

開発の際に使用するデータは検証のために限定されたものを用い、アウトプットも利用シーンに限定されたものを出力します。データを限定することで開発コストを抑えることができます。

例えば「twitter」は、社内のコミュニケーションツールとして試験的に開発されたものですが、社内からのフィードバックを受けて一般向けにリリースされたものです。

スモークテスト

プロダクトの概要をまとめた短い資料や動画を作成し、製品の説明をしながら顧客に対して価値をアピールする方法がスモークテストです。ユーザーが試聴して興味を持つか、プロダクトを発表する前にサイトを作成しユーザが利用登録を行うのかをテストします。

本格的な開発を行う前に、ユーザーにどの程度需要があるのかを確かめることが目的です。需要が高かった場合、ある程度利益を見込んで開発を進めることができます。

明確なアイディアはあるもののまだ形にできていない場合などに有効な手法となります。スモークテストを実施した事例として有名なのがクラウドストレージサービスの「DropBox」です。

コンシェルジュ

マンパワーによって顧客ニーズを探し出し、改善に取り組む方法がコンシェルジュです。具体的には、開発する製品を全てマニュアル化し、ユーザーに確認をもらうことで意見を直接吸収することができます。

サイトやプロダクトを用意することなくユーザーのニーズをつかむことができるため、コストを抑えることができます。直接ユーザーの意見を集めるため、間違いの少ない検証結果を集めることができます。

コンシェルジュの代表的な事例としては民泊仲介サービスの「Airbrb」があります。

オズの魔法使い

変わった名称ではありますが、「オズの魔法使い」もMVP手法のひとつです。

映画「オズの魔法使い」では魔法使いとされた人物が実際は中年のおじさんだったという話からこの名称がつけられました。本来であればシステム化されているはずのフロントプロダクト(WEBサイトなど)を実際には人間が手作業で動かすことで、開発初期にかかる多大なコストを避けるMVP手法です。コンシェルジュと同じくマンパワーを使うため、最初は人的なコストがかかってしまうのが難点です。

グルメ情報サイトの「食べログ」はサービス立ち上げの前に手動でデータベースを構築していたことが知られています。

LP(ランディングページ)

LP(ランディングページ)手法とは、LP上に問い合わせフォームを設置し、事前登録数のトランザクションをはかることで、ユーザーニーズがどれだけあるかを検証するものです。単なる数値としてニーズを知ることができるだけでなく、商品の価値に共感するユーザーとの接点を確保することにもつながります。

実際にSmartHRの代表宮田さんは、LPを作成しFacebookで2万円ほどの広告を出すと、3日間で100件近い申し込みがあり、顧客ニーズをつかむ手応えを感じたとインタビューでお話ししています。

Seo Image Editbanner

まとめ

この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。

    • MVP開発とは?
    • MVP開発のメリット、デメリット
    • MVP開発の心得について
    • MVP開発の手法と具体例

MVP開発は新しい手法であるため、従来の開発に慣れている方は新しい手法を受け入れる必要があります。MVP開発を専門的に行なっている企業にMVP開発を外注化すれば、安全確実なMVP開発を実現させることができるでしょう。
株式会社エイチビーラボでは、ベトナムに特化したオフショア開発サービスを提供しております。MVP開発には豊富な実績があります。クラウドやITインフラ、システム関連でお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。ご相談から、開発、運用まで親身にサポートいたします。

【MVP開発 関連記事】

人気の投稿

著者

株式会社HBLAB
株式会社HBLAB
HBLABは、顧客満足度の高いサービスを提供し、IT業界全般、特にオフショアに関する情報を参考することで最適な意思決定に役に立つことを目指しています。経験豊富なアドバイザーによる意見やコンサルティングを含む高品質なブログ記事を配信しています。

お問い合わせ

個人情報の取扱いに関する確認事項を必ずお読みの上、お問い合わせ下さい。は必須入力項目です。

Scroll to Top