オフショア開発とは?メリットや成功のポイントを解説!

2021年10月11日

コスト削減や優秀なエンジニアの確保を目的として、オフショア開発を検討する企業は多くあります。

今回は、オフショア開発を依頼する前に知っておきたい基礎知識と、成功させるためのポイントをご紹介します。

【目次】

    1. オフショア開発とは
    2. オフショア開発のメリット・デメリット
    3. オフショア開発の契約形態
    4. オフショア開発を成功させるためのポイント
    5. オフショア開発での理解不足・認識相違の防止策
    6. まとめ

 

1.オフショア開発とは

オフショア開発とは、自社で使用している情報システムやソフトウェアの開発を海外にある関連子会社や親交のある企業などへ依頼することです。

一般的にオフショア開発を行う場合、システムの実装やテストなどを海外の企業へ委託します。
そして営業や保守、サポートといったクライアントと直接やり取りが発生する業務を自社がある本国に置きます。
システムに不具合やトラブルがあった際にすぐ対応できるようにするためです。

日本企業のオフショア開発依頼先は、アジア諸国が多い傾向にあります。
それはオフショア開発を依頼する日本企業の子会社がアジアに多いことや、アジア諸国の企業努力によって、オフショア開発における技術の成長が目覚ましいことや、人件費のコスト面が優れているためです。

 

国内でのオフショア開発の現状

近年の日本ではDX化が推奨されているものの、ITリソースの供給が国内だけでは追いついていないのが現状です。

国内ではIT人材にかかる人件費が高騰しており、技術力の高い人材は既に大企業が囲い込みを行っています。
そのため、中・小企業では自社でシステム開発等を行いたくても人材の確保が難しい上に、国内で開発会社に依頼するのも困難な状況です。

なお、国内で比較的開発コストが安い地方のシステム開発会社等に依頼することを、一般的には「ニアショア開発」と呼びます。(オフショア開発との違いは、外注先との距離)

 

オフショア開発国における技術力の向上

ITリソースの不足とコスト高騰の解決策として、IT人材を多数抱えるアジア諸国に注目が集まっており、オフショア開発の対象国として注目されています。

オフショア開発の依頼先として人気のあるベトナムでは、国全体の取り組みとしてIT人材の教育と輩出に力を入れていることやベトナム国内の職業の中ではトップクラスの給与を得られることから、優秀な人材の多くがIT業界を目指すという構造ができています。

その優秀な人材たちが新たな開発手法やツールを生み出し、ノウハウが蓄積されてきたことによりAIやIoT、AR/VRなどの技術が向上していることも発展の理由のひとつとなっています。

 

2.オフショア開発のメリット・デメリット

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実際にオフショア開発を依頼する際に発生するメリットとデメリットを紹介します。
アジア諸国へ依頼することで人件費などの開発コスト削減ができるなど、メリットは比較的イメージしやすいものがあります。
さらにデメリットも事前に把握することで起こりうるトラブルを想定でき、影響を最小限に抑えらるでしょう。

 

オフショア開発のメリット

オフショア開発を海外へ委託することによるメリットは主に2つあります。

    • 開発コストの削減ができる
      オフショア開発の大きなメリットは、コスト削減ができることです。
      ITシステムの開発におけるコストの内訳は、人件費が大きな割合を占めています。
      日本と比較して人件費の相場が安い国のシステムエンジニアに依頼すれば人件費の単価を抑えられるため、開発コストを削減できます。

    • 優秀な人材を確保でき、さまざまな注文にも対応しやすくなる
      国策として優秀なIT人材の育成に力を入れているベトナムなどでは、優秀なエンジニアを確保しやすくなっていることもメリットのひとつです。
      一度優秀な人材にを確保できれば、今後も違うプロジェクトでの発注がしやすくなる可能性があります。
      自社のやり方やノウハウを毎回違う企業に説明するよりは、すでに把握してくれている企業や人材に依頼することで工数削減も可能です。

メリット面はコスト削減ができることがメインですが、自社のやり方を把握してくれる優秀な人材を確保することで、今後は毎回オフショア開発のプロジェクトが発生するたびにその企業やエンジニアに相談ができる環境を整えられるということも将来的なメリットになりえます。

 

オフショア開発のデメリット

オフショア開発のデメリットは以下の内容が挙げられます。

    • 認識相違を防ぐための準備に時間がかかる
      実際にITエンジニアが開発を行う際に使用するプログラミング言語は世界共通ですが、言語の違いによる認識相違から、求めている完成品との乖離が発生してしまうケースもあります。
      このようなミスを防ぐために、要件定義書や仕様書の翻訳、認識の確認などに多くの時間と手間がかかることもデメリットの一つです。
      また、国によっては時差が原因で思うような頻度で打合せができず、緊急時にも即座に連絡が取り合えないというリスクも存在します。

    • 価値観や文化、仕事に対する姿勢が異なる
      依頼元と委託先の国が違うことで、価値観や文化、働いている従業員の仕事に対する姿勢の違いによりトラブルや納期遅れが発生する場合もあります。
      認識の相違だけではなく仕事に対する姿勢の違いから、完成品の品質レベルが求めていたものよりも低くなってしまうこともあります。
      さらに、プロジェクトの途中でエンジニアの退職や入れ替わりが発生する可能性もあり、この場合は新しいエンジニアへ改めて要件定義や仕様書の認識をすり合わせなければなりません。

 

オフショア開発におけるデメリットは、言語の違いによる認識相違や、仕事に対する姿勢の違いによるものが多いです。国内でアウトソーシングするようなイメージで利用してしまうと、高確率で失敗してしまうでしょう。
納品物の品質が低いと、最悪の場合プロジェクトを最初からやり直さなければなりません。
企業選定の際は全体のコストの安さが決め手で依頼したものの、結果として予定以上のコストがかかってしまったというケースもあります。

これらのデメリットを最小限に抑えるため、企業選定の段階でしっかりとコミュニケーションが取れる企業やエンジニアを選ぶこと、これらのデメリットが発生することを想定した上で対策を立てることが非常に重要です。

また、オフショア開発の失敗事例は数多くインターネット上に公開されていますので、失敗例を参考にしながら注意すべき点を考慮し、対策を練った上で取り組むとよいでしょう。

 

3.オフショア開発の契約形態

オフショア開発の業務契約を結ぶ際、契約形態として「ラボ契約」か「受託契約」のどちらかを選択しなければなりません。
企業内でリソースを持つことの多い日本企業では、プロジェクト毎に受託契約を結ぶことが多い傾向にあります。

一方で、ラボ契約は一定期間を定めて契約し専属チームを作って委託先の企業へ依頼する方法です。受託契約とラボ契約にはそれぞれ以下のようなメリットがあります。

 

【受託契約のメリット】

    • 依頼した品質と納期が保証される
      受託契約は、依頼した仕事を完成させることが「成果」とみなされる契約体系です。
      依頼元の企業が提示した要件や仕様に基づく品質で、期日までに完成品を納品することを前提に開発がスタートします。
      依頼側としては求めた品質と期日を守ることが保証されるため、安心して依頼できるというのがメリットです。

    • 開発にかかる工数を削減できる
      海外の企業に開発を依頼することで、同じコストでも多くの人材を確保できます。
      優秀な人材を多くアサインすることで、
      開発にかかる工数を削減した上で納品が可能です。

【ラボ契約のメリット】

    • 契約期間中、優秀な人材を確保できる
      一定期間優秀なエンジニアを確保できることで、自社が要求していた品質レベルの完成品が予定通り納品される可能性が高くなります。
      また、要件定義書や仕様書の内容がエンジニア側にしっかりと理解されていて認識に相違がなく、実装作業やテストなどもスムーズに進めば納品される時期も早まるかもしれません。

    • メンバーが固定されるため、ノウハウの蓄積が可能となる
      プロジェクト遂行のために確保された固定メンバーが作業のノウハウの蓄積を行うことで、今後また新たなプロジェクトや類似の業務委託をする際に依頼がしやすくなります。
      依頼元の企業も企業選定の手間が省け、委託される企業も利益が上がるためお互いに良い関係を築けます。

    • プロジェクト内で仕様変更や追加が発生しても新たに料金がかからない
      受託契約の場合は依頼するプロジェクトごとに料金が発生しますが、ラボ契約は期間で契約を行います。
      そのため、契約期間中であればプロジェクトの大幅な仕様変更や追加の依頼が発生しても追加料金が発生せずコストを抑えられます。

ラボ契約においての注意点は、依頼したプロジェクトが予定より早く完了したとしても契約期間中は費用が発生することです。
依頼したプロジェクトが納期よりも早く完了する可能性がある場合、継続して依頼できる業務が他にもあればラボ契約が適しているでしょう。

 

4.オフショア開発を成功させるためのポイント

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メリットとデメリットをふまえた上で、海外でのオフショア開発を成功させるためのポイントを解説します。
コミュニケーションロスなどを最小限に抑えるため、まずは契約先の企業を慎重に選定することが重要です。
依頼元と同じ国から依頼を受けた実績がある等、ある程度ノウハウがあり言語の違いによる認識の相違が少なく、要件定義や仕様書の準備を行える企業かを見極める必要があります。

 

発注先に適切な企業を選ぶ

オフショア開発を依頼する企業を選ぶ際、プロジェクトの内容や自社の特性に合わせて複数の会社に見積もりをもらい検討することをおすすめします。
日本との取引が多いオフショア開発会社には、ある程度のノウハウを持っている企業や日本語が堪能な海外エンジニア(ブリッジSE)が在籍する企業も多いため、料金の安さだけでは判断せず円滑な業務進行と管理・監督を行える企業と契約できるよう慎重に選定を行いましょう。

 

要件定義・準備を綿密に行う

海外でのオフショア開発の場合、要件定義書や仕様書の内容を明確に記載することは非常に重要です。
例えば、日本の企業が海外の企業へオフショア開発を委託する場合、日本では通じる「暗黙の了解」が通じないことがほとんどです。
アジア諸国に限らず、海外の企業へ委託をする際は要件定義書や仕様書に記載されていないことは基本的に納品物には実装されないと認識しておきましょう。

認識の相違により求めている品質レベルの完成品が納品されなかった場合は作り直しとなり、追加でコストが発生し納期も延長され、予定していた実装日に間に合わない等のトラブルが発生します。
トラブルを防ぐためにも、国内の企業へ発注する場合より綿密な仕様書の作成を行う必要があります。

 

物理的な距離や言葉の違いによる理解不足を考慮する

オフショア開発で想定できる問題のひとつに、言語の違いによって意思疎通が上手くいかず品質や仕様の相互理解が進まないというものがあります。
この原因として、地理的な距離や時差による打合せ不足や進捗状況の管理不足などが挙げられます。

事前にこのような問題が発生することを想定し、お互いの企業に通訳をつける等、事前に対策を立てておきましょう。
この問題を放置したまま進めると、プロジェクト自体が失敗に終わってしまう可能性もあります。
依頼している企業側は、依頼先の企業へ自社のやり方に全てを合わせてもらうよう強制するのではなく、お互いに文化が違う国であることを理解しあった上で対策や取り組みを考える必要があることを認識しておきましょう。

 

5.オフショア開発での理解不足・認識相違の防止策

オフショア開発を海外へ委託する際は、依頼側の要望を100%に近い形で理解してもらい、認識の相違をほぼゼロに近づけた状態でプロジェクトをスタートさせることがベストといえます。
言語や文化の違いによるコミュニケーションロスを防ぐための防止策について紹介します。

 

ローコンテクストなコミュニケーションを意識する

ローコンテクストなコミュニケーションとは、自国の価値観や文脈が少なく言葉にしたことを率直な意味として捉えるコミュニケーションのことを言います。
依頼元の企業は、言葉にしないことは理解されない・言葉にしたことがそのままの意味として理解されることを前提に要件定義書や仕様書の作成を行いましょう。
また、打合せや毎日の報告をする際の要件の伝え方、チャットでの会話やドキュメントの作成などのコミュニケーションにおいても、こちらの要求や意思が相手にわかりやすく明確に伝えられるよう意識する必要があります。

 

共有資料のインスペクション

トラブルが起きやすいコミュニケーションロスや認識の違いを最小限に抑えるための対策として、作成したマニュアル等のドキュメントが翻訳前後で意味の異なる内容になっていないか専門家に確認を依頼するのも一つの方法です。
記述されている内容や自社のルール・定義なども、エンジニアが実装作業に入る前にあいまいな表現がないかを確認し依頼側の要求・要件が正しく伝わる形に修正してもらいます。
ドキュメント類の品質が向上することで、プロジェクトが進行していく過程で発生する認識の相違によるミス・バグの発生の防止や開発スピードの向上にもつながります。

 

6.まとめ

オフショア開発とは、自社で使用している情報システムやソフトウェアの開発を海外にある関連子会社や親交のある企業などへ依頼する開発手法です。オフショア開発を利用する主なメリットは、以下の3つです。

    1. 開発コストの削減が可能
    2. 優秀な人材を確保でき、さまざまな開発案件と言語にも対応しやすくなる
    3. ラボ契約で、事業のスケーラビリティに対応できる

オフショア開発を受けているアジア諸国の企業は、IT技術面も人材のスキルも近年急速に成長しています。
しかし、
言語や文化の違いによる相互理解が上手くいかないことやコミュニケーションロスの発生リスクは避けられません。
そのため、何かしらの問題は発生することを事前に想定した上で、ミスやトラブルを抑える事前の対策を行うことでリスクを最小化しつつ開発を推進するとよいでしょう。

 

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