ソフトウェアのテスト方法がよくわからないという方も多いのではないでしょうか。システム開発におけるテストは、最も重要な工程と言っても過言ではないです。本記事ではソフトウェアテストの方法や具体的な工程、ソフトウェアテストの7原則について解説します。
ソフトウェアテストの目的
ソフトウェアとはパソコン上で稼働するExcelやWordといったツールのことです。ソフトウェアは多くのIT企業で開発されており、ソフトウェアを開発する業界をソフトウェア業界とも呼びます。
ソフトウェアを開発する際は、必ずテスト作業を行いソフトウェアが仕様通りに動くか、処理速度や使いやすさに問題がないか確認する必要があります。開発したソフトウェアを顧客に納品したり、消費者向けに公開したりするときに、不具合があると満足度が低下してしまったり、信頼を失ってしまったりするからです。
そのため、テスト作業はソフトウェア開発のなかでも重要な工程と言われています。
また、ソフトウェア内に蓄積された情報を漏洩させてしまうような致命的な不具合があった場合、最悪何億もの損害が発生する可能性があります。
そのため多くの企業ではテスト作業に力を入れています。
ソフトウェアテストの工程
ソフトウェアテストはどのような手順で行われることが多いのか解説します。ソフトウェアテストは次の4つの工程に沿って行われるのが基本です。
-
- 単体テスト
- 結合テスト
- システムテスト
- 受け入れテスト
最初は小さい単位でテストを行い、最後にシステム全体でテストを行う、といった流れです。1つ1つのテスト工程について詳しく解説していきます。
1.単体テスト
単体テストは、1つのプログラムやモジュールのみでテストすることです。ユニットテストとも呼ばれています。
ソフトウェアのテストは、最初は小さい単位でテストし、最後にすべてのプログラムをまとめてテストするのが一般的です。その方が、テストにかかる工数を減らせるためです。また、エラーが起きたときに、それが起こっている箇所を特定しやすいためでもあります。
単体テストでは、各プログラムにテストデータを入力して期待通りに出力されるか、などを確認していきます。
2.結合テスト
結合テストは複数のプログラムを組み合わせて行うテストです。
プログラム単体では正常に動いていても、プログラム同士を組み合わせたときに不具合が見つかる可能性があります。たとえば、プログラム間でデータのやり取りを行う際にデータが破損してしまっているなどです。
各プログラムの担当者が異なる場合もあるため、結合テストでは複数人が協力しあって行う場合もあります。
3.システムテスト
システムテストとは、すべてのソフトウェアをまとめてテストすることです。ソフトウェアをユーザーと同様の動きで使用して、予定通りの機能を満たしているかテストします。
結合テストまでと異なり、本番環境とほぼ同じ環境でテストを実施する必要があります。OSやブラウザなどの種類が異なる環境でテストをすると、ソフトウェアの挙動が変わる可能性があるためです。
4.受け入れテスト
システムテストが完了したら、次に顧客側が受け入れテストを行います。受け入れテストでは、顧客の環境下でソフトウェアの使用に問題がないか確認するのです。
テストデータではなく実際のデータを使い、問題なく動作するかテストする必要があります。
受け入れテストを行い問題がなければ納品となります。開発企業は請求書を提出し、顧客は開発料金を支払う義務が発生します。
受け入れテストに関しては以下の記事で詳しく解説しているため、併せてお読みいただけると幸いです。
※関連記事
受け入れテストとは?言葉の定義や目的、実施方法を徹底解説
ソフトウェアテストの具体的方法
続いて、ソフトウェアテストの具体的な方法について解説します。テストはさまざまな角度から行うことが大切なので、テストの手法は数多くのものが考案されています。
そのなかでも代表的なものは次の5つです。
-
- 機能テスト
- 性能テスト
- セキュリティテスト
- UIテスト
- 負荷テスト
1つ1つのソフトウェアテスト方法について詳しく解説していきます。
1.機能テスト
機能テストは要件定義書に記載した機能を満たしているか確認するテストです。
まず、テスト用の入力データリストを作成します。入力データを1つずつ入力し、予定通りの出力結果が表示されるか検証を行います。
機能テストは出力結果のみを確認するテストであり、プログラムの処理方法などは考慮しないのが特徴です。
2.性能テスト
性能テストはシステムの性能を測るためのテストです。
たとえば、ソフトウェアが処理できるデータ量やシステムの応答速度、などの性能を確認し、目標とする値をクリアしているか確認します。
利用者が快適にソフトウェアを使うためには、目標を設定して理想的な性能を目指す必要があるのです。
3.セキュリティテスト
セキュリティテストはセキュリティ上の問題がないか確認するテストです。
たとえばWebシステムの場合、外部からの不正アクセスによる情報漏えいのリスクが考えられます。外部からの攻撃を防ぐためには、正しい知識の元にセキュリティチェックを行う必要があります。
4.UIテスト
UIテストはソフトウェアを実際に使うユーザーの視点に立って行うテストです。
実際のユーザーと同じように、画面にメッセージを入力したり、データを書き換えたりして問題なく処理が行われているか確認します。
Webシステムや業務システムなど操作画面が必要なシステムでは必ず行われるテストです。
5.負荷テスト
負荷テストは、ソフトウェアがどこまで負荷に耐えられるか検証するテストです。
たとえば、Webシステムにアクセスが集中した際、サーバーがダウンしてしまう可能性があります。そうなる前に対策を打てるように、ソフトウェアがどこまでの負荷に耐えられるか運用・保守担当者は知っておく必要があります。
ソフトウェアテストの7原則について
最後に、「ソフトウェアテストの7原則」について解説します。「ソフトウェアテストの7原則」にはテスト担当者なら知っておくべき考え方がまとめられています。
「ソフトウェアテストの7原則」は次の7つです。
-
- 不具合がないことは証明できない
- すべてをテストすることはできない
- テストは早期に行うこと
- 欠陥の偏在を予測すること
- 殺虫剤のパラドックスに注意
- 状況に応じてテスト方法を変える
- 不具合なし=100点ではない
ソフトウェアの開発を依頼する側もこの7原則について知っておくと、開発企業がどのような点に着目してテスト作業を行っているか理解でき、こちらから開発に関する細かい提案をしやすくなります。
1つ1つについて詳しく解説していきます。
1.不具合がないことは証明できない
テストは不具合があることを証明できる反面、不具合がゼロであることは証明できません。つまり、テストした結果不具合が見つからなかったとしても、安心してはいけない、ということです。
不具合が見つからなかった場合、そもそもそのテスト項目で正しかったのか、それらを疑うことが重要になります。テスト漏れがないように、テストリストは入念に検討する必要があります。
また「不具合はゼロにはできない」ことを前提とすることも大切です。後々、不具合が見つかることを想定し、不具合があった場合の解決フローなどをあらかじめ作っておくことが必要でしょう。
2.すべてをテストすることはできない
ソフトウェアの隅から隅までテストするということは、基本的にはできません。
なぜなら、ソフトウェア開発の工数は有限であるためです。隅から隅までテストすれば、開発工数がかかりすぎてしまい、顧客満足度を下げてしまうでしょう。
そこで、テストを行う際はテスト箇所を絞り込むことが必要です。機能や重要度、各システムの不具合検知率などから、どこを重点的にテストすべきか考えることが大切です。
3.テストは早期に行うこと
テストはなるべく早期に行う方が、早い段階で欠陥を見つけられるメリットがあります。
早い段階で欠陥を見つけることで、開発のやり直しを防ぐことが可能です。たとえば、開発の段階から静的テストを実施しソースコードのミスを見つけることで、効率アップを図ります。
4.欠陥の偏在を予測すること
ソフトウェアテストを行う際は、欠陥の偏在を予測することが大切です。
先ほど解説した通り、テストにかけられるリソースには限りがあり、隅から隅までテストを行うのは現実的ではありません。
ただ、システムの欠陥は、特定のモジュールや機能に集まりやすい傾向があります。そのため、今までの開発経験からどこを重点的にテストすべきか、ベテランエンジニアならある程度推測することが可能です。
このように欠陥の偏在を予測できるようになると、開発効率を高めることが可能です。
5.殺虫剤のパラドックスに注意
「殺虫剤のパラドックス」とは、同じ殺虫剤を使い続けると虫が耐性を持つようになってしまうため、殺虫剤を変えていく必要があるということです。
ソフトウェアテストでも、「殺虫剤のパラドックス」の考え方は重要です。
内容が同じテストを行い続けていると、そのテストでは新しい不具合を見つけられなくなっていきます。テスト項目やテスト方法は定期的に見直し、アップデートすることが大切です。
6.状況に応じてテスト方法を変える
テスト方法は状況に応じて変更しなくてはいけません。
たとえば、医療関係のソフトウェアをテストする場合、当然人命がかかっているわけですから、他のソフトウェアよりもテストを入念に行う必要があります。
一方、オンラインゲーム開発の場合、ユーザーの要望に応じて何度もアップデートを行う必要があるため、テストは正確性を担保しつつも、効率的なものにする必要があります。たとえば、テスト自動化ツールを導入してテスト期間をなるべく短くするなどです。
※関連記事
テスト自動化ツールとは?導入のメリットや注意点、ポイントを解説
7.不具合なし=100点ではない
ソフトウェアのテストを繰り返し、不具合をなくせたからといって、それで満足してしまうのはよくありません。
不具合がなくても、ユーザーのニーズを満たせなかったり、性能が競合のソフトウェアよりも劣っていたりする場合は、商品として悪いと言えるでしょう。
不具合をゼロにすることに注力するあまり、保守的なシステムを作ってしまうことはよくあります。そのため、システム開発の各工程で、「保守的なシステムになっていないか」を確認する必要があります。
ソフトウェアテストの自動化ツールについて
ここまでソフトウェアのテスト方法について解説してきました。ソフトウェアのテストは正確かつスピーディーに行う必要があります。
しかしながら、正確さと早さを両立するのは大変です。そこで最近注目されているのがソフトウェアテストの自動化ツールを導入することです。
自動化ツールを使うことで、何度も繰り返し行うテストを自動化することができ、テスト効率を大きく改善できる可能性があります。
テスト自動化ツールに関してはこちらの記事で詳しく解説しているため、併せてお読みいただけると幸いです。
※関連記事
テスト自動化ツールとは?導入のメリットや注意点、ポイントを解説
最後に
この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。
-
- ソフトウェアテストの工程:単体テスト⇒結合テスト⇒システムテスト⇒受け入れテスト
- ソフトウェアテストの具体的方法:機能テスト/性能テスト/セキュリティテスト/UIテスト/負荷テスト
- ソフトウェアテストの7原則:不具合がないことは証明できない/すべてをテストすることはできない/テストは早期に行うこと/欠陥の偏在を予測すること/殺虫剤のパラドックスに注意/状況に応じてテスト方法を変える/不具合なし=100点ではない
ソフトウェア開発においてテストは非常に重要な工程であり、ソフトウェアの品質を左右するものです。ソフトウェア開発を外注する場合は、ソフトウェアテストを効率的かつ重点的に行えるだけの優れた実績を保有する企業を選定することが望ましいでしょう。
どの開発企業を選ぶべきか分からない場合、株式会社エイチビーラボにご相談ください。
株式会社エイチビーラボでは、ベトナムに特化したオフショア開発サービスを提供しております。お客様のニーズに沿ったソフトウェア開発には豊富な実績があります。ソフトウェア開発でお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。ご相談から、開発、運用まで親身にサポートいたします。