物件登録や進捗管理など、不動産に関わる業務の効率化を進める不動産管理システム。賃貸や仲介といった業務を行っている担当者は、導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな方々に向けて、不動産管理システムの概要や導入することによる効果などを中心に解説していきます。利便性の高いものであることは事実ですが、解決すべき課題に合わせたシステム選びが重要です。不動産管理システムの導入や開発に失敗しないためにも、ぜひ最後まで読んで概要を理解しましょう。
不動産管理システムとは
一言で表現すれば、賃貸や仲介に関わるさまざまな業務の効率化を進めるシステムの総称を不動産管理システムと呼びます。
不動産管理システムという言葉に集約されていますが、賃貸物件の管理や不動産売買の管理、マンションの管理、仲介の効率化、営業支援といった機能を包括しており、企業の課題を解消できることが1番の魅力です。
不動産管理システムの機能とは
業務を効率化できる不動産管理システムですが、搭載されている機能はさまざまです。まずは多くのシステムに搭載されている機能を、仲介業務と賃貸管理の2つに分けて解説していきます。
仲介業務に関する機能
不動産管理システムに搭載されている1つ目の機能が、仲介業務に関する機能です。利用するシステムによって異なりますが、多くの不動産管理システムは主に次の7つの機能を搭載しています。
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- 売上管理機能:煩雑になりがちな不動産売買の売上管理をサポートする機能です。入出金のスケジュール管理だけでなく、利益獲得に必要な売上額などを一目でチェックできます。
- 物件登録機能:システム上に物件を登録する際に用いる機能です。一度登録すれば、自社ホームページだけでなく、利用しているサイトへの自動反映も可能であり、入力補助機能を利用することで、物件情報の入力作業を効率化することも可能です。
- 広告出稿機能:不動産広告を複数のサイトに表示させる機能です。出稿したい素材を選ぶことで、サイトに合わせた形での自動投稿ができ、入力の不備も自動で検出してくれます。
- チラシの自動作成機能:チラシの作成をサポートしてくれる機能です。不動産管理システムにテンプレートが用意されているため、利用したい素材を選ぶだけで見栄えのするチラシを手間をかけずに作成することができます。
- 営業サポート機能:商談状況の管理をサポートしてくれる機能です。顧客からの問い合わせに対するアクションや、提案済みの物件を一覧で表示することができます。また、顧客ニーズに合わせた、提案をサポートする機能も搭載されており、担当者以外の第三者も提案の根拠を把握することができます。
- 修繕やクレームの対応機能:賃貸業務の核となる、入居者への対応をサポートする機能です。新規顧客への提案と同様に、過去の打ち合わせ履歴などを一覧で管理できます。
- Web接客機能:商談が進めにくい顧客との打ち合わせをサポートしてくれる機能です。来店が難しいユーザーに対応するために必要なWEB機能が搭載されており、内見や重要事項説明を効率化することができます。
このように不動産管理システムには、仲介業務を自動化する多くの機能が搭載されています。上手に活用することで、アナログベースで処理している物件登録や広告出稿といった業務を効率化できます。
賃貸管理に関する機能
不動産管理システムに搭載されている2つ目の機能が、賃貸管理に関する機能です。多くの不動産管理システムが、次の4つの賃貸管理に関する機能を搭載しています。
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- データベースの作成機能:ニーズに合わせた検索結果を表示するための、データベースを作成する機能です。築年数やこだわり条件などの項目を作成できます。
- 契約機能:契約作業の効率化をサポートしてくれる機能です。契約に必要な情報を入力すれば、契約書や重要説明事項書類といったの各種書類を自動作成でき電子契約への応用も対応しています。。
- 物件管理機能:クラウドを利用して、物件管理の効率化を行う機能です。修繕や点検、クレーム対応といった業務の進捗、写真などのデータを一元で管理しています。現場に居合わせることなく、契約者との商談履歴などを把握できます。
- 更新管理機能:更新に関するさまざまな処理をサポートしてくれる機能です。更新日が近づいた物件のリマインド、更新通知書、契約書の自動作成にも対応しています。
- 入出金の管理に関する機能:家賃の入金管理をサポートする機能です。照合や消込、報告といった作業を行え、報告書への情報も自動的に反映してくれます。
不動産管理システムを導入するメリットとは
管理業務の効率化はもちろん、契約獲得率の向上やトラブル防止といったメリットもあります。不動産システムを導入するメリットを理解し、自社に必要であるのか、判断材料にしてください。後述するそれぞれのメリットが現状の課題解決につながるのか、意識しながら理解してみましょう。
管理業務を効率化できる
不動産管理システムを導入することで得られる1つ目のメリットが、管理業務を効率化できるというものです。先ほども触れたように、不動産管理システムには物件登録機能や広告出稿機能が搭載されており、多くの業務をIT化できます。
特に多くの不動産を扱う企業には、業務を効率化しつつ情報漏洩リスクに備えられる点が大きな魅力といえます。不動産管理システムにより、データの一元管理が可能になり、書類の紛失といったヒューマンエラーを減らすことができます。ミスをリカバリーに奪われる工数削減につながるため、業務効率化や生産性の向上が見込めるのです。
契約獲得率の向上を見込める
契約獲得率の向上を見込めることも、不動産管理システムを導入することで得られるメリットの1つです。多くの不動産を扱う企業のなかには、「新規契約の受注が必要」と考えていながら既存顧客の対応や管理業務に追われ、注力できていない企業も少なくはありません。
そのような状況を上手く改善してくれるのが不動産管理システムです。既存の管理業務を自動化することで管理担当者の工数を大きく削減できます。その削減できた工数を新規契約の獲得につながる業務に充てることができるのです。
掲載サイトのメンテナンスだけでなく、ユーザーの検索条件のデータ化といった機能によって、提案にかける時間を短縮でき、契約獲得率を高めることができます。
不動産管理に関連するトラブルを防止できる
不動産管理に関するトラブルを防止できることもメリットの1つです。不動産管理システムには、更新手続きや入金手続きといった管理業務を体系化する機能が搭載されています。
これらの機能によって「必要な事前通知がなく、更新料の支払いを拒否されてしまう」や「入金確認ミスによってクレームに発展する」といったトラブルを防止できます。
また、アカウントをもっていれば、パソコンやタブレットでも期間内に行うべきタスクを確認できます。更新手続きや入金作業といった期限のある作業をピックアップできるだけでなく、複数の担当者の目を通すことで、企業や組織全体でタスク忘れ防止に取り組むことが可能になります。
不動産管理システムの導入手順
これまでに触れてきたように、不動産管理システムは仲介、賃貸に関するさまざまな業務を効率化してくれるツールです。ここからは不動産管理システムの導入手順を紹介します。手順を理解することは、後に導入を決定したあとの安心につながります。
不動産管理システムの導入を検討する段階から、手順を把握していれば、導入が決定した後にスムーズに行動できるでしょう。
クリアにしたい課題を明確にする
不動産管理システムを導入する際の最初のステップは、クリアにしたい課題を明確にすることです。
不動産管理システムに限らず、システムは企業の課題を解決するためのソリューションです。課題が明確ではない状態で導入しても、費用を支払っただけで失敗してしまうでしょう。
不動産管理システムを導入するという意思決定も大切ですが、組織にマッチしない、導入後に機能しないといったリスクに対応するためにもサービスを活用する理由が必要です。
そのために、まずは解決したい課題を明確にするのです。管理業務に携わっている関係者にヒアリングを行ったり、課題を洗い出して解決したい優先順位を整理したりとこのステップが最も大切です。
必要な機能やサポートを検討する
不動産管理システムを導入する2つ目の手順は、必要な機能やサポートを検討することです。不動産管理システムには、物件登録機能や契約機能など、さまざまツールが搭載されています。
ただし、システムが充実していても「うまく機能しない」「トラブルが発生してしまう」といった事態が起こることも念頭においておきましょう。業務効率化を進めながら、トラブルに対応できるサポートについても検討しておく必要があります。
必要な専門業者のリサーチを行う
必要な専門業者のリサーチを行うことが、不動産管理システム導入に向けた3つ目の手順です。
具体的には過去の実績が明確であること、問い合わせに対する対応スピードなどを確認しましょう。まずはインターネットでそれぞれ候補の会社を調査し見比べます。これだけでは不十分であるため、気になった会社には直接話しを聞くもの良いでしょう。
話を聞いている中で先述の通り、実績や開発についてヒアリングし信頼できる企業であるか確認していきます。また、打ち合わせに至るまでの連絡スピードやコミュニケーションのとりやすさも確認することもできます。
システムに投資できる予算を決める
不動産管理システムの4つ目の導入手順が、システムに投資できる予算を決めるというものです。不動産管理システムの予算は数万円〜数十万円とされており、利用するシステムの開発手法によってコストが大きく変化します。一般的に用いられている開発手法は、次の2つです。
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- オンプレミス型:業務内容にマッチする形で、専用のシステムを開発する手法。社内に独自のサーバーを設ける必要があり、初期費用システムによっては数十万〜数百万円の予算が必要になることも。一方で、独自のシステムであるため使い勝手が良く、カスタマイズ性に優れ、またランニングコストを抑えられる。
- クラウド型:クラウド上のソフトウェアを利用する開発手法。すでにフォーマットが決まったシステムを利用するため、カスタマイズ性に欠けるが、インターネットにつながる環境であれば、場所を選ばずアクセス可能。初期費用がほとんどかからない分、月々のシステム利用料が発生する。
このようにオンプレミス型を選ぶか、クラウド型を選ぶかによって、必要な初期費用とランニングコストに大きな違いが生じます。解消したい課題だけでなく、事業の展望に合わせた開発手法を選択することが重要です。
主な不動産管理システムを紹介
最後に、導入実績が豊富な不動産管理システムを紹介していきます。導入を検討している段階であれば、これから紹介するシステムで、機能や予算といったイメージを具体化していきましょう。
みらいえ(株式会社いえらぶGROUP)
1つ目に紹介する不動産管理システムが、株式会社いえらぶGROUPが提供するみらいえです。みらいえは、賃貸営業のサポート機能が充実した不動産管理システムです。PCやスマホに最適化されたホームページ作成や、Googleのリスティング広告への自動出稿など、営業の手が回りにくい業務をサポートしてくれます。
その他、登録情報の再利用や契約書、重要事項説明書等の自動作成機能を搭載。入出金に伴う、月次収支報告書や年間収支報告書の自動作成も可能です。解約処理機能も搭載されており、空室の情報を即時にホームページやサイトに反映してくれます。
ESいい物件One 賃貸管理(株式会社いい生活)
株式会社いい生活が提供するESいい物件One 賃貸管理も、豊富な導入実績を持つ不動産管理システムの1つです。特に募集情報の管理システムに高評価が集まり、入居中の物件をホームページやサイトで非掲載にする、自動学習機能を搭載した入力アシストといった点に魅力があります。帳票も186のテンプレートが用意されているため、クラウド型のサービスでありながら、自社の運用に合わせた活用方法を採用できます。
ITANDI BB(イタンジ株式会社)
3つ目に紹介する不動産管理システムは、イタンジ株式会社が提供するITANDI BBです。ITANDI BBは、スマホやタブレットで手軽に物件検索から内見予約、入居申込までを一連の流れで行える不動産管理システムです。システム化することで24時間いつでも内見予約を受けられるため、「電話や問い合わせが面倒」というユーザーを取り逃がさず、機会損失を大きく減らすことが可能です。
SP-Ⅱ(株式会社ビジュアルリサーチ)
20年以上の不動産システム開発の経験をもつ、株式会社ビジュアルリサーチが提供するシステムがSP-Ⅱです。特に台帳管理に特化したサービスであり、契約者データ及び取引業者データ基本情報はもちろん、設計図や契約書類などの情報もすべて一括で保存することができます。また、税理士監修のもと開発された主要な財務会計ソフトへの連動機能を搭載したハイエンド向けのプランも用意。物件登録や契約機能を備えた不動産管理システムであることは間違いありませんが、税務もまとめてしまいたい企業にはSP-Ⅱがおすすめです。
賃貸管理システム(アットホーム株式会社)
不動産総合サイトを運営する、アットホーム株式会社が手がける不動産管理システムが賃貸管理システムです。賃貸管理システムは、その名の通り賃貸管理に特化したサービスである点に特徴があります。また、基本の台帳プラン」の他に、契約や更新、解約に関する情報管理を行える契約管理プラン、入出の管理までを行える家賃管理プランを用意。賃貸を取り扱いながら、カバーしたい業務に合わせたプランを選べる点が賃貸管理システムの1番の魅力です。
まとめ
物件登録や進捗など、不動産業務の効率化をサポートしてくれるサービスが不動産管理システムです。
サービスによって多様な機能が搭載されていますが、契約管理や入金管理、広告出稿管理などの幅広い業務を効率化できます。ただし、利便性の高いサービスが数多く開発され、選びにくくなっているという注意点も存在します。まず導入するというスタンスも大切ですが、解決すべき課題に合わせたシステム選びがなにより重要です。
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