Webアプリの開発に興味があるが、どのプログラミング言語を選択すべきかわからないという方もいるのではないでしょうか。本記事ではRubyという言語のメリット・デメリットやRuby開発の費用について解説します。
Rubyとは?
Rubyは1995年に公開されたプログラミング言語です。主にWebアプリ開発に使われていて、PHPやPythonと並んで人気があります。
Rubyは、日本人のまつもとゆきひろさんが開発した言語ということでも有名です。
Ruby on Railsとは?
Ruby on RailsはRubyのフレームワークのことです。フレームワークとは、開発時に使う枠組みのことで、Webアプリ開発で使用する機能があらかじめパッケージ化されています。
フレームワークを使うことで、自分でソースコードを書く量が減るため、開発にかける工数を抑えることが可能です。また、テストにかかる工数も減らすことができるでしょう。
フレームワークの中でもRuby on Railsは優秀さが認められています。Rubyフレームワークは他にもあるのですが、Ruby on Railsのシェア率が圧倒的です。
そのためRubyを学ぶ側も、基本的にはRuby on Railsを学べば開発をすすめることができます。
PHPやPythonとの違い
PHPもRubyと同じくWebアプリ開発で使われている言語であり、シェア率としてはPHPの方が上です。PHPは学習コストが低く扱いやすいため、初心者から上級者まで人気があります。
またPythonもWebアプリ開発に使われる言語ですが、人工知能や機械学習を取り入れたアプリケーションやシステムの開発によく取り入れられるのが特徴です。Pythonには機械学習ライブラリが多くあり、効率的に人工知能開発を行うことができます。また、Pythonは可読性の高さも評価されており、現在もっとも人気が高い言語です。
プログラミング言語の注目度をまとめた「TIOBE Index for June 2022」ではPythonが1位となっています。対してPHPは13位、Rubyは19位です。
ただ、RubyにもRuby on Railsという優秀なフレームワークがあるなど長所はいくつかあり、開発時にRubyを選択する企業も多くあります。
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Rubyで開発されたものの例
Rubyは誰もが知っている有名企業のサービスでも多く使われています。Rubyで開発されたサービスの代表例が次の5つです。
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- クックパッド
- Airbnb
- Hulu
- 食べログ
1つ1つのサービスについて詳しく解説していきます。
1.クックパッド
クックパッドは料理のレシピサイトです。
登録したユーザーは自由にレシピ情報を公開することができます。また、公開された情報は誰でも閲覧でき、料理の参考にすることが可能です。
クックパッド開発者ブログによると、フルタイムでRubyの開発をしているエンジニアが2人しかいないようです。Rubyは開発コストを抑えられるため、クックパッドのような大規模なサイトでも、少ない人数でも問題ないことがわかります。
2.Twitter
Twitterは世界的に有名なSNSの1つです。
Twitterでは趣味や仕事の合う人と繋がったりコミュニケーションを図ったりすることができます。また、他人の書き込みを拡散したりブックマークしたりすることも可能です。
Twitterは世界中にユーザーがいるため、クレームや要望も運営に多く寄せられます。Rubyはソースコードの可読性も高いため、スピーディーに改良することが可能です。
3.Airbnb
Airbnbは民泊したい人が民泊情報を検索できるサービスです。
一般の民宿にはホテルよりも安く泊まれます。ただ、個人でサイトを運用していることが少ないため、探すことが難しいです。Airbubなら多くの民泊情報を一括で閲覧することができます。
4.Hulu
Huluは動画配信サービスです。月額料金を支払うことで動画を好きなだけ観ることができます。このような動画配信サービスもRubyで開発することが可能です。
5.食べログ
食べログはレストランの情報やレストランに行った人の口コミを閲覧できるサイトです。全国のレストランの情報を確認することができるため、多くの人に利用されています。
食べログはサービス開始後2年程度でRuby on Railsを採用し、サイトをフルリニューアルしたようです。Ruby on Railsの採用によりコード量が減り開発スピードの向上が見込めます。
Rubyで開発するメリット
Rubyで開発するメリットは次の3つです。
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- 学習コストが低い
- 開発工数を抑えられる
- システム改修も素早く行える
Rubyでの開発がPHP・Pythonと並んで人気がある理由はこれら3つの特徴があるためです。1つ1つのメリットについて詳しく解説していきましょう。
1.学習コストが低い
Rubyは他言語よりも学習コストが低く、これはメリットといえるでしょう。
Rubyは、文法が平易でありプログラミング未経験者でも学習しやすくなっています。また、C言語のようにハードウェア部分を理解していなくても、ソースコードを書くことが可能です。
さらに、Rubyは日本人が開発した言語のため日本語の情報が多くあり、開発の時につまずいたらすぐ調べることができます。
2.開発工数を抑えられる
Rubyは開発工数を抑えやすいのもメリットです。
Ruby開発の特徴といえば、なんといってもRuby on Railsがあることでしょう。Ruby on Railsを使えば、かなり開発作業を短縮することが可能です。Ruby on Railsは15年以上現場で使われていることからも、その優秀性がわかります。
3.システム改修も素早く行える
Rubyはシステム開発だけでなく改修も素早く行うことが可能です。
Webアプリ開発では最初から完璧なものをリリースするのではなく、コアとなる機能のみ付けてリリースし、後からユーザーの要望を元に機能を追加していくことが多くあります。
ソースコードが読みやすく改修がしやすいRubyは相性が良いと言えるでしょう。
Rubyで開発するデメリット
続いて、Rubyで開発するデメリットを3つ解説します。
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- 機械学習には不向き
- 大規模開発には不向き
- 処理速度が遅い
Rubyで開発を行う場合、これらのデメリットがあることを考慮しなくてはいけません。1つ1つのデメリットについて詳しく解説していきます。
1.機械学習には不向き
Rubyは人工知能開発やディープラーニングを使った開発には向かないのが弱点です。
Pythonの将来性が高いのは、機械学習にも使えるのが大きいと言われています。機械学習は今後私達の生活を動かす可能性が高く、注目度の高い技術分野です。
Rubyでも機械学習の実装はできないこともないですが、Pythonの方が向いているため実務ではほとんど使われていません。
2.大規模開発には不向き
Rubyは大規模開発にはあまり向いていません。
大規模なWebシステムを開発する場合、Javaが使われることが多いです。Javaは長年大規模開発で使われ続けてきた言語であり、今後も他の言語に変わる可能性は低いでしょう。
また、Rubyは人によってさまざまな書き方ができてしまう言語です。書き方をある程度統一するためには、コーディングルールを設ける必要があります。
ただ、大規模開発では社外にも開発の一部を外注することが多く、社外エンジニアにまでコーディングルールを守ってもらうことが難しいという問題もあるでしょう。
3.処理速度が遅い
プログラミング言語のソースコードをコンピューターに読みませるには、一旦機械語に翻訳する必要があります。
Rubyはソースコードを1行ずつ機械語に訳す方式を取っており処理速度が遅いです。
とはいえ、Webアプリではそもそも処理速度がシビアに求められる場面は少ないため、このデメリットはそこまで気にする必要はないでしょう。
開発でRubyを導入している企業の特徴
続いて、Rubyを開発で導入している企業の特徴について解説します。
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- ベンチャー・スタートアップ企業が多い
- アジャイル開発を導入する場合が多い
Rubyを開発に活用している企業は上記2つに該当する場合が多いです。Ruby導入企業の特徴を知ることで、Ruby開発の長所・短所がより見えてきます。
1.ベンチャー・スタートアップ企業が多い
ベンチャー企業やスタートアップ企業では、Webアプリの開発にRubyを採用しています。Rubyは開発コストを抑えやすいため、創業したばかりでお金がない企業でも使いやすいからです。
また、Rubyでの開発はフレームワークがRuby on Railsにほぼ1本化されています。そのため、別のフレームワークを勉強しなくて良いのもメリットです。
たとえば、PHPにはLaravelやCakePHPなど有力なフレームワークが複数あり、Laravelは知っているが、CakePHPは知らないというエンジニアもいるはずです。
もし転職した企業がCakePHPを使っている場合、1から勉強しないといけません。しかし、少ない人数で回しているベンチャーの場合、1から勉強させる余裕はないでしょう。このような観点からも、Rubyはベンチャーにとって使いやすいと言えるでしょう。
2.アジャイル開発を導入する場合が多い
Ruby導入企業は、アジャイル開発を導入している場合も多いです。アジャイル開発とは、要件定義からテストまで、短いスパンで何度も繰り返し行う開発手法です。何度も開発を繰り返すことで、システムの完成度を上げていきます。
アジャイル開発では開発・テストを素早く行わなくてはいけません。そのため、ソースコードの記述量を抑えられるRuby on Ralisと相性が良いと言えます。
Webアプリ開発にかかる費用について
最後に、RubyでのWebアプリにかかる費用についてまとめました。各開発分野ごとの表を作成しましたので、外注時の参考にしてください。
Webアプリの種類 | 費用目安 |
ECサイト | 60万円〜 |
SNS | 100万円〜 |
掲示板 | 50万円〜 |
マッチングサイト | 100万円〜 |
ゲーム系 | 300万円〜 |
動画配信サイト | 80万円〜 |
CMS(コンテンツ管理システム) | 80万円〜 |
あくまで目安であり、追加機能の種類などによって費用は大きく異なるのでご注意ください。
また、Webアプリの開発費用は大きく人件費と固定費用に分けられます。これら2つがどのように決められるのか、詳しく解説していきましょう。
人件費
人件費とはエンジニアの作業コストのことです。開発費用の大半が人件費となります。
開発費用を抑えたいなら、なるべく人件費が少ない企業に依頼するのがコツです。たとえば、オフショア開発を行っている企業は人件費の安い海外エンジニアに委託しているため、人件費を半分未満に抑えられる可能性もあります。
エンジニアの詳しい人件費に関しては次の記事でも解説していますので、併せてお読みください。
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エンジニア一人月にかかる費用の相場|条件で変わる相場を解説
固定費用
固定費とはWebアプリの開発に必要な設備の購入・運用の費用です。
RubyでのWebアプリ開発の場合、サーバーの購入費用や維持費、ドメイン代などが固定費用になります。固定費用はそこまでかかるものではないうえに、企業によって差も生まれにくいです。
最後に
この記事で説明してきた内容をまとめると以下のとおりです。
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- Rubyで開発されたものの例:クックパッド/Twitter/Airbnb/Hulu/食べログ
- Rubyで開発するメリット:学習コストが低い/開発工数を抑えられる/システム改修も素早く行える
- Rubyで開発するデメリット:機械学習には不向き/大規模開発には不向き/処理速度が遅い
- 開発でRubyを導入している企業の特徴:ベンチャー・スタートアップ企業が多い/アジャイル開発を導入する場合が多い
RubyはWeb開発を素早く開発できる優れたプログラミング言語です。しかし、実際にWeb開発を行うには、JavaScriptやMySQLなどの言語も扱える人材が必要であるため、ハードルが高いと感じる方が多いかもしれません。
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